1. コラム
  2. コラム
  3. オフィスにWi-Fi導入!無線LAN機器の種類や導入のポイントを徹底解説

オフィスにWi-Fi導入!無線LAN機器の種類や導入のポイントを徹底解説

無線LAN機器には、家庭用Wi-Fiルーター・法人用Wi-Fiルーター・Wi-Fiアクセスポイントという3種類の選択肢があります。オフィスや店舗にWi-Fi導入することを検討しており、機器の選び方や活用方法が把握できていない方もいるのではないでしょうか。

無線LAN機器の性能差やゲストWi-Fiの設定機能の有無、Wi-Fi導入のポイントを知ることで、Wi-Fi環境の構築を具体的に検討できます。

Wi-Fi導入に関連するインフラ整備も進め、ビジネス環境をトータルにアップグレードしましょう。そこでこの記事では、無線LAN機器の種類やオフィス・店舗にWi-Fi導入するメリット・課題・ポイントについてご紹介します。

オフィスにWi-Fi導入!無線LANとの違いって?

Wi-Fiは電波でデータ通信をする規格のひとつです。規格は「Wi-Fiアライアンス」によって策定されており、数年おきに新しいバージョンが登場しています。基本的に数m~数十m程度の範囲内における、大容量データの無線通信を目的として制定される無線通信技術です。

オフィス内や家庭内のネットワークは「LAN(Local Area Network)」と呼びます。LANは接続方法によって2種類に大別され、メタルケーブルで接続するのが「有線LAN」、無線通信技術で接続するのが「無線LAN」です。

有線LANは基本的にLANケーブルでデバイス・ルーターを有線接続し、無線LANは基本的にWi-Fiでデバイス・Wi-Fiアクセスポイントを無線接続します。

Wi-Fiは有線LAN並みの高速・安定したデータ通信を目的に策定された技術で、実質的に無線LANを実現するのはほとんどがWi-Fiによる無線接続です。このため無線LANを指してWi-Fiと呼ぶことも多く、無線LANとWi-Fiはほぼ同義語として認知されています。

ルーターとWi-Fiアクセスポイントの違いって?

Wi-Fi接続にはWi-Fiルーターを使うという固定観念があるかもしれませんが、Wi-Fiルーターは2種類の機能を組み合わせています。Wi-Fiルーターはルーター機能とWi-Fiアクセスポイント機能のある無線LAN機器です。

ルーター機能複数デバイスの送受信データを取りまとめ、適切な経路選択をする機能。LANの末端でインターネットなどの外部ネットワークとの接続を担う
Wi-Fiアクセスポイント機能Wi-Fiの基地局(電波の送受信をする機器)となる機能。Wi-Fiを利用する際には機器にWi-Fiアクセスポイント機能が必要

小規模なLANでは機能一体型のWi-Fiルーターを使用するケースが一般的ですが、ルーター機能とWi-Fiアクセスポイント機能を分離し、ルーターとWi-Fiアクセスポイントという2種類の機器を分ける運用方法もあります。この場合はルーターとWi-FiアクセスポイントをLANケーブルで接続し、Wi-Fiアクセスポイントでデバイスと無線通信をする仕組みです。

Wi-FiアクセスポイントとWi-Fi接続するPCやスマホは、電波でデータをやりとりする親機と子機の関係で、コードレス電話の親機と子機の関係に似ています。

オフィスにWi-Fi導入するならどの無線LAN機器がおすすめ?

オフィスにWi-Fi導入するならWi-Fiアクセスポイント機能のある無線LAN機器の設置が求められます。無線LAN機器の選択肢は家庭用Wi-Fiルーター・法人用Wi-Fiルーター・Wi-Fiアクセスポイントの3種類です。それぞれの無線LAN機器の特徴と、無線LAN機器が対応するWi-Fi規格について解説します。

家庭用Wi-Fiルーター

家庭用Wi-Fiルーターは自宅で利用する一般的なWi-Fiルーターです。メーカーや機種は豊富で安価ですが、同時接続数が少なく、大容量のデータ通信に弱い傾向があります。

あくまでホームユースを前提として設計された無線LAN機器なので、小規模な家屋内で2~3名(10台程度まで)が同時接続するなら対応できる程度です。機能も限定的なので、オフィス内の利用には向きません。オフィスにWi-Fi導入するなら別の選択肢を検討しましょう。

法人用Wi-Fiルーター

法人用Wi-Fiルーターはビジネス用途に機能が強化されたWi-Fiルーターです。あくまで目安ですが、同時接続数は最大50台(20名)程度で、最大80㎡(25坪)程度のフロアまでなら対応できます。

機種によっては壁面や天井に設置できるので、小規模オフィスなら有効な選択肢です。家庭内Wi-Fiルーターとは異なり、来客用にフリーWi-Fiの設定もできます。

ただし、ルーター機能・Wi-Fiアクセスポイント機能一体型なので、インターネット回線の差込口から離れた場所に設置しにくいのは注意点です。

Wi-Fiアクセスポイント

無線LAN機器を設置する際、既存のルーターがある状態で家庭用・法人用のWi-Fiルーターを増設すると「二重ルーター」の状態になり、ネットワーク設定が複雑になります。これを回避するには既存のルーターをWi-Fiルーターに置き換える方法もありますが、ネットワーク設定をやり直すので手間がかかります。

Wi-Fiアクセスポイントは、アクセスポイント機能に特化した通信機器です。Wi-Fiサービス事業者が使う「AP」という単位はWi-Fiアクセスポイント数を指します。導入に際して既存のルーターを置き換える必要はありません。ネットワーク構成はそのままで、Wi-Fiアクセスポイントを増設・設定するだけでオフィスにWi-Fi導入ができます。

同時接続数は法人用Wi-Fiルーターより多く、情報処理能力も高い機種が一般的です。接続可能範囲も広く、フリーWi-Fiの設定もできるので、1APを増設するだけで快適なWi-Fi環境が得られます。さらに、大規模オフィスでも要所にWi-Fiアクセスポイントを設置して全範囲をカバーできるなど、拡張性の高さも魅力です。

無線LAN機器が対応するWi-Fi規格

Wi-Fiには複数の規格(バージョン)があり、規格によって最大通信速度が異なります。現在は第5世代の「IEEE 802.11ac(Wi-Fi 5)」が主流で、最大通信速度は6.9Gbpsです。

最新規格は第6世代の「IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)」で、最大通信速度は9.6Gbpsとなっています。この数値はCAT6やCAT7といった高速なLANケーブルと同等で、快適なWi-Fi接続にはWi-Fi 6の利用がおすすめです。ただしWi-Fiの最大通信速度は規格上の理論値で、実効速度はWi-Fiルーターの機種や障害物の有無などの条件で低下します。

また、デバイスによって対応するWi-Fi規格は異なり、最新のWi-Fiルーター・Wi-FiアクセスポイントやPC・スマホならWi-Fi 6対応のものが多いでしょう。Wi-Fi 6には下位互換機能もあり、接続デバイスに合わせて最大通信速度を発揮できるので、Wi-FiルーターやWi-FiアクセスポイントはWi-Fi 6対応のものを選択するのがおすすめです。

オフィスや店舗にWi-Fi導入するメリットと課題

オフィスや店舗にWi-Fi導入するなら家庭用Wi-Fiルーターでは性能・機能面で不十分なケースが多いため、法人用Wi-FiルーターまたはWi-Fiアクセスポイントを選択しましょう。拡張性で考えれば増設の容易なWi-Fiアクセスポイントがおすすめです。ここでは、オフィスや店舗にWi-Fi導入するメリットと課題を解説します。

オフィスにWi-Fi導入するメリット

オフィスにWi-Fi導入すると、LANケーブルの配線に縛られず、自由なレイアウトでワークスペースを整備できます。LANケーブルを引っかけることによる転倒、接続デバイスの落下や故障を防止できることも利点です。

LANポートのないスマホやタブレットもWi-Fi接続して業務利用できます。会議室にノートパソコンを持ち込み、Wi-Fi接続で社内情報にアクセスするといった利用方法も可能です。

さらに、社員が固定的なデスクを持たない働き方、つまり「フリーアドレス」が実現できます。Wi-Fiは社員用だけでなく来客用にも利用可能です。フリーWi-Fiを設定すれば、来客用のWi-Fi環境も同時に整備できます。

店舗にWi-Fi導入するメリット

店舗にWi-Fi導入するとデバイスまでのLANケーブルの配線がないので、店舗の美観を損なわずにインターネット環境を提供できます。導入によって店舗のレイアウトを変える必要もありません。

さらに、スマホやタブレットでも快適にインターネットを利用できます。フリーWi-Fiを提供することで集客効果が望めることや、企業イメージが向上することも利点です。店舗用の業務用デバイスでWi-Fiを利用する環境も整うので、タブレット端末のレジやセルフ注文システムの導入も容易になります。

【Wi-Fi導入の課題】速度・安定性の不安

LANを構築する方法は主にLANケーブルによる有線接続かWi-Fiによる無線接続の2種類ですが、通信速度に関してはLANケーブルのほうが速く、安定しています。LANケーブル中を流れる電気信号は干渉を受けにくく、最大通信速度を発揮しやすい特徴がありますが、電波を利用するWi-Fiはさまざまな要因によって実効速度が低下するのは注意点です。

オフィスを電波が減衰しにくいレイアウトに調整する方法もありますが、Wi-Fiルーターはインターネット回線の差込口から離しにくいことに注意を要します。この点、自由な位置に増設できるWi-Fiアクセスポイントは有利です。

また、店舗にWi-Fi導入する際、「つながりにくいWi-Fi」という印象があると企業イメージはマイナスになってしまいます。Wi-Fiの速度・安定性は機種にもよるので、間違いのない機種選び・サービス選びを心がけましょう。

【Wi-Fi導入の課題】セキュリティレベル

社内LAN内の機器には機密情報を保存したサーバーも含まれます。有線LANだと社内情報への接続経路は限定されますが、Wi-Fiを利用すると接続経路の一部が開放された状態です。

Wi-Fiの電波が届く範囲内からは常に不正アクセスやアカウント情報窃取のリスクがあると考え、セキュリティ対策をすることは必須と考えましょう。

同一LAN内のネットワークにWi-Fi経由でアクセスできる状態だと、Wi-Fiの設定画面への不正アクセス、ネットワークカメラやビデオ機器といったIoT機器の乗っ取り・不正操作の被害に遭う恐れがあります。第三者が共有フォルダ内のデータへ簡単にアクセスできてしまうのも懸念点です。

対策としては、社内で利用するSSIDやパスワードをネットワーク上に公開しないこと、来客用にセキュアなフリーWi-Fiを設定することが挙げられます。店舗にWi-Fi導入する際は「危険なWi-Fi」という印象があると企業イメージはマイナスになってしまうため、来客から見たセキュリティレベルも大切です。

オフィスや店舗にWi-Fi導入する際の4つのポイント

オフィスや店舗にWi-Fi導入するなら、簡単かつ安心して使える安定したWi-Fiであることが大切です。これらの条件を満たさなければ、コスト面・セキュリティ面の懸念がある上、「使えないWi-Fi」になりかねません。ここからは、オフィスや店舗にWi-Fi導入する際の4つのポイントを解説します。

1.ゲストWi-Fiの設定でセキュリティ対策

「ゲストWi-Fi(ゲストネットワーク/ゲストポート)」は来客用にインターネット接続機能だけを提供するネットワークです。ゲストWi-Fiを設定すると社員用のネットワークと通信経路を分離できるので、来客が社内情報や業務用デバイスにアクセスすることはありません。誰もが安心して使えるWi-Fi導入を目指しましょう。

なお、家庭用Wi-FiルーターにはゲストWi-Fiを設定する機能がありません。来客用にフリーWi-Fiを設定するには、ゲストWi-Fi機能のある法人用Wi-FiルーターかWi-Fiアクセスポイントの導入が必須です。

ゲストWi-Fiに接続する際、通常はSSID(ネットワークの識別名)とパスワードを入力しますが、QRコードを読み取るだけで接続できる機種もあります。QRコードを印刷して店舗内のテーブル上など目立つ場所に置いておけば、来客専用のフリーWi-Fiを簡単に運用可能です。

2.Wi-Fiが簡単に導入・利用できること

ネットワークアクセスの効率化を目的としてオフィスにWi-Fi導入するとしても、設置や設定が難しい無線LAN機器だと、管理者側の業務の負担になってしまいます。導入の容易さよりも重要なのは、設定後の運用方法が簡単であることです。

スマホアプリで簡単に設定を操作できたり、Wi-Fiの利用状況をグラフで確認できたりする無線LAN機器・サービスを選びましょう。また、Wi-Fi接続に当たって複雑な認証プロセスがあると、ユーザーにWi-Fiの利用を敬遠されてしまいます。社員や来客からしても、簡単に利用できるWi-Fiであることが大切です。

3.同時接続数やフロアの広さを吟味

無線LAN機器によって同時接続数や通信可能な範囲は異なります。接続デバイスの数が10台未満程度であれば家庭用Wi-Fiルーターの導入も考えられますが、導入に当たってネットワーク構成を変える必要がある上、ゲストWi-Fiにも対応しません。

ビジネス用途で候補に上がるのは法人用Wi-FiルーターかWi-Fiアクセスポイントですが、同時接続数や通信可能範囲、拡張性を加味してWi-Fiアクセスポイントのほうが有利です。

また、Wi-Fiの電波が届くのは見晴らしの良い場所でも100m程度で、遮蔽物のあるオフィスや店舗ではさらに通信可能範囲は縮小します。フロアの広さや遮蔽物の配置を加味し、要所にWi-Fiアクセスポイントを設置するとよいでしょう。

また、無線LAN機器が対応するWi-Fi規格は第5世代のIEEE 802.11ac(Wi-Fi 5)でも十分高速ですが、拡張性という意味では第6世代のIEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)に対応しているものをおすすめします。

4.サポート体制が整ったWi-Fiサービスを選ぶ

無線LAN機器は自前で購入・設置することもできますが、セキュアかつ安定したネットワーク構築には専門知識と手間・コストを要します。さまざまな企業がビジネス向けのWi-Fiサービスを提供しているので、サポート体制にも優れたWi-Fiサービスを選択するのがポイントです。

Wi-Fi導入からトラブル解決、Wi-Fiアクセスポイントの増設や撤去まで、安心して任せられるサービスを選びましょう。Wi-Fiアクセスポイントはサービス事業者によって使用する製品が異なるので、管理の簡単さや同時接続数、運用コストなどのバランスを検討することも大切です。

ネットワーク環境のトータルなアップグレードはイッツコム!

Wi-Fi導入とセットで検討したいのは、社外ネットワークから社内LANへのセキュアなアクセスや、オンラインでファイル共有・コラボレーションができるシステムの導入です。イッツコムのモバイル閉域接続や有償版boxをセットで導入すれば、ネットワーク環境をトータルにアップグレードできます。

モバイル閉域接続

オフィスのWi-Fi環境を整備するとコアオフィス勤務の従業員はフリーアドレスで働けますが、テレワーカーや営業担当者、つまり社外で働く従業員のネットワーク利用には懸念が残ります。そこで導入したいのがイッツコムの「モバイル閉域接続」です。

モバイル閉域接続はVPNの仕組みを利用した通信サービスで、PC・タブレット・スマホに専用SIMを挿入するだけで、閉域網を経由して社内LANへセキュアにアクセスできます。

従業員のデバイスは専用SIMによって通信回線も得られるため、テレワーク環境との親和性は抜群です。インターネット接続の際も社内LANを経由するので、トラフィック管理や社内セキュリティポリシーの維持にも役立ちます。

box

従業員のネットワーク利用が活発化すると、データを保存・共有するプラットフォームの整備が問題になります。ここで導入したいのが、法人向けに開発された高セキュアなクラウドストレージ「box」です。

boxは各国の政府機関・金融機関・医療機関に採用されるほど高セキュアである上、インターネットベースかつクロスプラットフォーム対応なので、従業員は接続場所・デバイスにかかわらずセキュアにデータの保存・共有ができます。

1,500以上の業務アプリとシームレスに連携できる上、社外のコラボレーターとのオンライン共同編集にも活用できるので、コラボレーションプラットフォームを一元管理できるのも大きな利点です。

まとめ

オフィスや店舗にWi-Fi導入をするなら、簡単に増設できてゲストWi-Fiにも対応するWi-Fiアクセスポイントがおすすめです。社員だけでなく来客にとっても使いやすく便利なWi-Fi環境を構築しましょう。

イッツコムはモバイル閉域接続・boxによるセキュリティ対策やワークフロー管理の他、ZoomやホットプロファイルによるWeb会議や営業支援、光回線やWi-Fi接続によるインフラ整備まで幅広いサービスを提供しています。ビジネス環境のトータルなアップグレードをお求めなら、多彩なサービスを自由に組み合わせられるイッツコムにご相談ください。