法人向け光回線の契約方法・提出書類から選び方・注意点まで徹底解説
目次
光回線サービスは法人向けのものと個人向けのものがあります。法人向け光回線は固定IPアドレスの払い出しや法人名義での領収書発行などのサービスを受けられるため、法人契約なら法人向け光回線が有利です。
オフィスや店舗などの光回線導入に当たり、法人契約について理解を深めたい方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、法人向け光回線の契約の流れや個人向けとの違い、選び方のポイントを紹介します。
光回線とは?法人に選ばれる理由
光回線は、光ファイバーケーブルを使ったデータ伝送回線です。主にユーザーの設備と通信事業者の設備を接続するアクセス回線に使われ、高速なインターネット接続を提供します。
導入時に配線や開通工事が必要ですが、以下のような特徴から、法人向けインターネット回線の主流となっています。
・圧倒的に高速で大容量の通信が可能
・長距離通信でも安定性が高い
・電磁ノイズの影響を受けにくく、通信の傍受も難しい
・基本的に通信容量の制限がない
モバイルWi-Fiルーターやホームルーターにもメリットはありますが、通信速度・安定性・通信容量などを重視するなら、光回線は最も信頼できるインターネット回線です。
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光回線の法人契約の流れ
光回線の法人契約の流れは、基本的に個人契約と同じですが、オフィスや店舗への導入に当たっては選択する回線に注意が必要です。建物の構造によっては、通常よりも工事が長引くこともあるでしょう。以下では、光回線の法人契約を6つのステップに分けて説明します。
1.回線事業者を選ぶ
光回線の回線事業者は、光ファイバーケーブルによるアクセス回線を提供する事業者です。法人契約に対応する回線事業者は、主に以下3種類に分けられます。
・フレッツ光: NTT東日本・西日本が提供する、高い人口カバー率を誇る光回線
・コラボ光:光コラボレーション事業者がフレッツ光回線を借り受けて提供するもの
・独自回線:電力会社やケーブルテレビ局が提供する光回線
フレッツ光とコラボ光はどちらもフレッツ光回線を用いますが、コラボ光はNTT東日本・西日本とは異なる独自のキャンペーン・特典サービスなどを提供しています。独自回線は、提供エリアは限られるものの、通信速度の速さ・安定性やエリア特化型の充実したサービスを受けられることなどが利点です。自社のニーズに適う回線事業者を選びましょう。
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2.プロバイダ(ISP)を選ぶ
プロバイダ(インターネットサービスプロバイダ/ISP)は、インターネット接続サービスやメールアドレスなどの付加サービスを提供する事業者です。専業のプロバイダもあれば、回線事業者がプロバイダサービスを一括提供する形態もあります。
フレッツ光はプロバイダサービスを提供しないため、提携するプロバイダを選ぶことが必要です。コラボ光や独自回線はプロバイダサービスを一括提供することが一般的で、回線事業者選びがプロバイダ選びを兼ねます。事業者によって付加サービスの充実度や月額料金などに違いがあるため、よく比較検討しましょう。
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3.プランやオプションを選ぶ
法人向け光回線は、複数のプランや選択式のオプションを提供していることが一般的です。大企業のニーズに対応するハイグレードなプランもあれば、通信速度を抑えた低コストなプランもあります。付帯するセキュリティサービスやサポートサービスもさまざまです。事業者によってはスマホ・テレビ・電気などとのセット割を利用できるプランも提供しています。
また光回線の他にネットワーク関連のビジネスツールを提供している事業者なら、開業などに必要なサービスを一括導入でき、契約や伝票を1つにまとめることが可能です。光回線の導入目的や事業規模、必要なネットワーク環境などを加味して、最適なプラン・オプションを選びましょう。
4.問い合わせと申し込み・契約
電話やWebで事業者に問い合わせをし、開通工事の申し込み・契約に進みましょう。基本的に光回線事業者の工事範囲は、光コンセントとONU(光回線終端装置)の設置・接続までです。事前にWi-FiルーターやPC・複合機などの設置場所、電源の取り回しやLANケーブル配線などを計画しておきましょう。
問い合わせ後には、設置場所を調査した上で見積もりが出されます。フレッツ光回線と独自回線は別の回線設備を使用するため、すでに光コンセントがある物件でも、設置工事が不要とは限りません。
工事費用や工事完了までの期間は、建物の設備状況などにより変動します。賃貸物件の場合、管理会社やオーナーに工事の許可を取っておくことも必要です。業務に支障が出ないよう、早めに準備を進めましょう。
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5.開通工事と立ち会い
工事日程を調整したら、光回線の開通工事に進みます。光回線未導入物件の場合、工事の流れは以下の通りです。
1.電柱から建物内に光ファイバーケーブルを引き込む
2.建物内で配線して室内に光コンセントを設置
3.設置したONUと光コンセントを接続
4.開通テストに問題がなければ工事完了
物件の設備状況にもよりますが、開通工事にかかる時間はおおよそ2~3時間程度です。フレッツ光やコラボ光を導入する場合、現在の整備状況によっては立ち会い不要の無派遣工事になります。独自回線の導入には基本的に立ち会いが必要です。作業員に光コンセント・ONUの設置場所などを指示できるように、担当者が立ち会える準備をしておきましょう。
6.開通工事後のインターネット接続設定やWi-Fi設定
インターネット接続設定やWi-Fiルーターの設定、機器間の接続などはユーザー自身で行います。事前のネットワーク計画に基づき、LANケーブル配線やWi-Fi接続設定を行いましょう。
インターネット接続設定については、事業者から受け取った設定ガイドなどが役立ちます。問題があれば回線事業者またはプロバイダのヘルプデスクに問い合わせましょう。なお光回線・プロバイダ一体型のコラボ光や独自回線なら、サポート窓口は1つです。
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光回線の法人契約時に提出する書類
法人向け光回線の契約時に必要な提出書類は、事業者によって異なります。提出を求められる可能性のある書類は、担当者の本人確認書類や登記簿謄(抄)本、印鑑登録証明書や開業届などです。
契約する光回線サービスによっては、法人を証明する書類の提出は必要ありません。スムーズに契約を進められるように、問い合わせ時に提出書類を確認しておくとよいでしょう。
光回線・プロバイダの法人向けと個人向けの違い
法人向け光回線は固定IPアドレスの払い出しに対応していることが多く、ビジネスユースに必要なセキュリティサービスや法人専用のサポート窓口なども利用できます。個人向け光回線に比べ、一般的に通信の安定性が高く、法人名義で領収書や請求書を発行できることも利点です。
1.固定IPアドレスを取得できる
法人向け光回線は個人向けとは違い、固定IPアドレスを取得できるのが魅力の1つです。
IPアドレスとはインターネットにおける住所のような役割を持つものですが、数に限りがあり、個人用では接続の度に空いているIPアドレスが自動で割り当てられます。プライベートでの利用であれば、この仕様(動的IPアドレス)でも問題はありません。
しかし、法人で自らのサービス・商品提供のためにWebサイトを運営する必要がある場合、IPアドレスが固定されていないと利用者がサイトにアクセスできません。このような場合に固定IPアドレスがあると、利用者がきちんとアクセスできるサイト構築が可能になります。
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2.充実したセキュリティサービス
固定IPアドレスを取得すれば、自社内でVPNサーバを設定・運用し、リモートアクセスの利便性・セキュリティを高められます。
事業者によってはアンチウイルス・ファイアウォールや閉域網接続、クラウド型の統合脅威管理(UTM)など、さまざまなセキュリティサービスもセットで提供可能です。
法人向け光回線にセキュリティサービスを組み合わせることで、ウイルス感染・不正アクセス・DDoS攻撃など、さまざまなサイバー攻撃の脅威から自社のネットワークを防衛できます。
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3.サポート体制が充実している
サポート体制がしっかりと整っているかも、法人向け光回線と個人向けの違いです。法人の業務での運用なので、万が一のときには時間帯に関係なく、即座の対応が必要になる場合があります。
サポート対応の質や遅れによって発生した損失は、そのままビジネスの損失に直結するかもしれません。よって、サポートの対応内容や時間が充実している法人向け光回線は多いです。
4.専用回線の導入で混雑の影響を受けにくい
一般的な個人向け光回線は「共有型」という回線を使用しています。共有型は1本の回線を複数のユーザーで共有するため、安価なのが魅力ですが、アクセスが集中した場合には速度が下がってしまいます。例えるなら、渋滞の道路で車がほとんど進まなくなってしまうような状態です。
しかし、法人向け光回線には専用回線を使う「専有型」という方式があります。これは文字通り、自社専用の回線なので、他者の利用による影響を全く受けません。Web会議などを利用する際には、データのやりとりも増えるので、安定した速度が出せる回線が理想です。業務をスムーズに行う観点からも、回線方式はしっかりと確認しておきましょう。
5.法人名義で領収書が発行される
個人契約の場合、料金の支払い方法は原則としてクレジットカード払いや口座振替となり、領収書の発行に対応していない事業者も見られます。しかし法人向け光回線なら、法人名義で領収書や請求書を発行することが可能です。事業として、インターネットを使うことは多いため、税申告の際に領収書があれば「経費」として扱えます。
光熱費同様に、月々の固定費としては大きいものなので、コスト面でも重視しておくべき要素です。
法人向け光回線を選ぶときのポイント
光回線を法人で契約する場合には、いくつかポイントとなる箇所があります。事前にしっかりと確認せずに契約してしまうと、さまざまなデメリットによって業務に支障が出る可能性もあります。
そこでここからは、事前にチェックするべきポイントを紹介します。導入前に自社に必要な部分を確認し、ぜひ参考にしてみてください。
1.対応エリア
光回線にはさまざまな回線事業者がありますが、それぞれ提供エリアが異なります。回線速度やサービス内容も重要ですが、エリアに対応していなければ、そもそもサービスを利用できません。
まず、自社で導入しようとしている回線の提供エリアが対応しているかを確認しましょう。提供エリアは、各光回線サービスの公式サイトで確認できます。エリアに対応しているものをいくつか候補としてリストアップし、その中から希望する条件を元に絞っていくとよいでしょう。
2.回線速度
ビジネス用途であれば、回線速度は重要な要素です。業務内容によっては、大容量のデータのやりとりをすることもあるかもしれません。このような場合は回線速度が業務効率に直結します。
たいていの光回線では下り最大1Gbpsとなっていますが、中には2Gbpsのものもあります。ただし、多くは「ベストエフォート方式」といい、あくまで理論的に可能な速度を示しているので、実測値では公称値よりも劣ることがあるでしょう。
そのような場合には「帯域保証」や「帯域優先」などが付与されているかも重要なポイントです。これらは回線混雑時であっても定められた速度の保証や、速度確保のためにデータ通信を優先してくれるサービスです。導入の際には、最大速度だけでなく、このような点も確認しておくとなおよいでしょう。
3.回線の提供タイプ
インターネット回線には「共有型」と「専有型」の2種類があります。
共有型はその名の通り、複数人で1つの回線を使用します。共有で利用するため、料金が安いのは魅力ですが、アクセスが集中した場合には回線速度が落ちてしまうのがネックです。
一方の専有型は、自社専用の回線です。共有型とは違い、他者の通信状況による影響を受けません。ECサイトなどで自社商品やサービスを販売しているような場合は、安定した通信環境の専有型がおすすめです。
4.サポート体制
インターネットにはさまざまなトラブルが付き物です。物理的な問題にせよ、システム的な問題にせよ、利用していれば何かしらのトラブルに見舞われることがあります。
個人の利用であれば、私的なデータなどに被害は留まります。しかし、法人での利用となれば、回線トラブルの深刻度合いによっては多大な損失を被り兼ねません。もしものときに慌てずに済むように、対応可能時間や内容は事前にしっかりと確認しておきましょう。
5.料金
ある程度候補をリストアップしたら、判断基準として「料金」を比較しておきましょう。光回線サービスは、全国各地でさまざまな回線事業者・プロバイダが存在します。提供する回線の速度や、付帯サービスは似たようなものが多くありますが、実は必ずしも料金が同じわけではありません。
場合によっては、似たような提供内容なのに1,000円以上の価格差が発生していることもあります。望む回線スペックやサービスを満たすものが複数出てきた場合には、しっかりと料金を比較した上で検討しましょう。
法人向け光回線を契約する際の注意点
基本的に光回線は通信制限がかかりませんが、短期間に大量のデータをアップロードすると通信制限がかかることもあります。契約拘束期間のある光回線は解約金がかさむ場合もあり、「IPv6 IPoE」の対応状況は通信事業者によって異なることも注意点です。
1.サービスによっては速度制限がかかる場合も
光回線は基本的に月間のデータ通信量が無制限となっているものがほとんどです。しかし一部の回線サービスや、提供しているプランによっては、月間データ容量の上限が設けられており、速度制限がかかる場合があります。
こうした注意事項は多くの場合、カタログやサービス紹介ページに記載されています。見落とさないように注意し、不安な場合は導入前に提供会社へ問い合わせましょう。
2.契約拘束期間のある光回線は解約金がかさむ場合も
法人向け光回線は2~3年の契約拘束期間を定めていることが一般的です。契約更新月以外に解約すると、事業者が定めた解約金を支払うことになります。なお改正電気通信事業法により、2022年7月1日以降に締結された契約について、解約金は月額料金が上限です。
とはいえ契約更新月以外に解約すると、光回線の使用料やオプション料金について、最大でそれぞれの月額料金分の解約金を支払うことになります。また工事費用を月割で支払う契約内容となっていた場合、残債を一括請求される場合があることも注意点です。解約金に不安があれば、契約期間の縛りがない法人向け光回線を選ぶとよいでしょう。
3.「IPv6 IPoE」の対応状況は通信事業者によって異なる
新しいインターネット接続方式「IPv6 IPoE」への対応状況は、通信事業者によって異なります。
従来のインターネット接続は「IPv4 PPPoE」によるものです。IPv4で割り当てられるIPアドレスは枯渇しており、PPPoEには通信事業者のネットワーク終端装置(NTE)を経由することによる通信速度低下などの問題があります。
現在のインターネットはIPv6への移行が進んでおり、IPoEはIPv6ネットワークへの高速アクセスが可能です。法人向け光回線を契約するなら、IPv6 IPoEに対応したサービスを選択しましょう。
【関連記事:Wi-Fi6とIPv6の違いとは?メリットや利用方法をわかりやすく解説】
IPv6 IPoE対応の高コスパな法人向け光回線ならイッツコムにお任せ
法人契約ができる光回線は、オプション構成が複雑なものも多く、結局どれがベストか選びにくい場合もあるでしょう。低コストでパフォーマンスの高い光回線をお求めなら、法人向け光回線「イッツコム光接続サービス」がおすすめです。
下り最大2Gbpsの高速回線である上、IPv6 IPoEにも標準対応し、時間帯を問わず安定した高速インターネット通信ができます。基本サービスを最小限とすることで家庭向け光回線並みの低コストを実現しており、必要に応じて固定IPアドレスの払い出しも可能です。
イッツコム自前の光回線網を使用する独自回線のため、光回線・プロバイダサービスを低コストで一本化でき、トラブルの際も1つの窓口でスピーディに対応できます。契約拘束期間はなく、フレッツ光などとの併用やイベント時などの短期間利用など、さまざまなニーズに柔軟に対応できるのも利点です。
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まとめ
法人向け光回線は個人向けとは違い、法人名義で領収書や請求書を発行でき、基本的には固定IPアドレスの払い出しにも対応できます。法人なら法人向け光回線を契約するのが有利ですが、契約拘束期間やIPv6 IPoEの対応状況などには注意しましょう。
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