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法人向けインターネット回線の選び方は?個人向けとの違いも徹底解説

ビジネスシーンで主流となっているのは光回線です。光回線には法人向けと個人向けの2種類があり、個人向け光回線でも法人契約は可能です。ただし、法人向け光回線を選択すると、ビジネスに特化したさまざまなサービスを活用できる利点があります。

この記事では、法人向け光回線・個人向け光回線の違い、ニーズを満たす光回線サービスの選び方を解説します。一般的に、サービス提供エリア内であれば、通信品質が安定し、コストパフォーマンスに優れる独自回線を導入するのが賢明です。特に法人向けの独自回線は、ビジネスの効率化に大きく貢献する可能性があるため、検討をおすすめします。

法人のインターネット回線にもプロバイダ・回線事業者の契約が必要

インターネット回線を利用するには、インターネット接続サービスを提供する「プロバイダ」と、アクセス回線を提供する「回線事業者」との契約が必要です。両方の契約が必要となることは、法人でも個人でも変わりません。サービス形態によってはプロバイダサービスとアクセス回線を一括提供しています。

インターネット接続サービスを提供するプロバイダ

インターネットサービスプロバイダ(ISP/Internet Services Provider)を略してプロバイダと呼びます。プロバイダとは、契約者にIPアドレスを発行し、インターネット接続を仲介する事業者です。

他にも専用のメールアドレスの発行と運用や、ウイルス・迷惑メールフィルタなど、会員向けにさまざまなオプションサービスを提供します。

プロバイダはインターネットに接続された通信拠点を持っていますが、「アクセス回線(通信拠点と顧客を結ぶ回線)」がなければサービスを提供できません。

アクセス回線を提供する回線事業者

回線事業者とは、インターネット接続に必要な、有線または無線のアクセス回線を提供する事業者です。有線回線には光回線・ケーブルテレビ回線・ADSL、無線回線にはWiMAXやLTEなどがあります。

回線事業者によるアクセス回線を通じてプロバイダの通信拠点を経由することで、インターネット接続ができる仕組みです。

このためインターネット接続をするにはプロバイダ・回線事業者の両方と契約します。NTT東日本・西日本の光回線網を借り受けて独自サービスを提供する「コラボ光(光コラボレーションモデル)」は、プロバイダ・回線事業者が一体化したサービスです。

法人契約する主なインターネット回線は4種類

インターネット回線にはいくつかの種類があります。現在主流なものは光回線です。光回線の代わりにケーブルテレビ回線を利用するケースもあります。固定回線を利用しにくい、あるいは利用できない環境だと、モバイル回線を利用するケースもあります。

光回線(FTTHやFTTO)

光回線とは、光ファイバーケーブルを建物内や室内まで引き込み、光信号で高速通信を行うインターネット回線のことです。大多数の企業が導入している主流のインターネット回線といえます。

光回線の配線方式にはいくつかの種類がありますが、一般的なものはFTTH(Fiber To The Home)やFTTO(Fiber To The Office)です。

自宅内やオフィス内の光コンセントまで光ファイバーケーブルを引き込み、室内に設置したONU(光回線終端装置)で光信号と電気信号を変換することで、高速通信を利用できます。導入には開通工事が必要です。

モバイル回線(SIMカード)

モバイル回線は4G LTEやWiMAXなどの無線通信規格を用いたインターネット回線です。契約情報を記録した「SIMカード」を端末に差し込み、通信事業者の基地局を経由してインターネットに接続します。

モバイル回線の主な契約タイプは以下の通りです。いずれも工事は必要ありません。

  • モバイルWi-FiルーターとSIMカードをセット契約する
  • 据え置き型のホームルーターとSIMカードをセット契約する
  • SIMカードのみ契約して手持ちのスマホやモバイルWi-Fiルーターなどに差し込む

【関連記事:SIMカードとは?基礎知識から企業向け活用術や選び方まで分かりやすく解説

ケーブルテレビ回線(HFC)

ケーブルテレビ局(CATV)によるインターネット回線もあります。従来型のHFCサービスは、ケーブルテレビの受信に使う金属製の同軸ケーブルと光ファイバーケーブルとを組み合わせ、テレビとインターネットを両方利用する仕組みです。

ケーブルテレビ局から特定のポイントまでは光ファイバーケーブルを、特定のポイントからオフィスまでは同軸ケーブルを用いることから、「光ハイブリッド方式」と呼ばれることもあります。

「光回線のサービスエリア外」「電波が届きにくい」といった地域では、インターネット回線の有力な選択肢になり得るでしょう。しかしオフィス内は同軸ケーブルになるため、通信速度や安定性は光回線に及びません。近年はHFCサービスに代わって光回線サービスを提供するケーブルテレビ局も一般的です。

ADSL(アナログ電話回線)

ADSLはアナログ電話回線を利用したインターネット回線です。2000年代初頭には標準的なインターネット回線でしたが、2000年代半ばに登場した光回線には通信速度・安定性などの面で大きく劣ります。

全国的に光回線への置き換えが進んでおり、一部例外を除いて、各サービス事業者はADSLの新規加入を終了しています。サービス提供自体も随時終了しているため、限られたエリアのみインターネット回線の候補になり得ます。

法人向けインターネット回線のメリットは?個人向けとの違い

法人向け光回線は、ビジネスユースのインターネット活用を想定したさまざまなサービスを提供しています。例えば、複数の固定IPアドレスの払い出しや企業向けのセキュリティサービス、法人専用のサポート窓口などです。専有型や帯域保証型など企業のニーズを満たす回線種別も選択でき、法人名義での領収書・請求書の発行にも対応できます。

複数の固定IPアドレスを取得できる

多くの法人向け光回線は、複数の「固定IPアドレス」の払い出しに対応しています。IPアドレスは、PCやサーバなどのネットワーク機器を特定するための識別番号で、インターネット上の住所に例えられます。個人向け光回線は基本的に、「動的IPアドレス」のみを提供します。

  • 動的IPアドレス:再接続のたびに変更されるIPアドレス。「アクセスする側」の機器はこれで問題ないことが多いが、「アクセスされる側の機器」には支障が生じやすい
  • 固定IPアドレス:再接続しても常に一定のIPアドレス。ファイルサーバやWebサーバなどへ割り当て必須となることが多い

法人向け光回線は、固定IPアドレスを標準で1つ、オプションで複数払い出せるプランを提供していることが一般的です。例えばWebサーバに固定IPアドレスを割り当てることで、いつでも変わらないURLでアクセスできるようになり、公式Webサイトなどを社外に公開できます。他にも、PCやネットワークカメラの遠隔操作などにも活用できます。

企業向けのセキュリティサービスを利用できる

法人向け光回線は、ビジネスシーンでのインターネットセキュリティ向上に役立つサービスをオプション契約できる場合があります。

ファイアウォールをはじめ、IDS(不正侵入検知システム)やIPS(不正侵入防御システム)などにより、光回線を通じたデータ通信が保護されます。こういったセキュリティソリューションは社内ネットワーク内で設置・運用することもできますが、プロバイダ設備でセキュリティ対策ができるとより安心です。

また、固定IPアドレスの割り当てを受ければ、社内ネットワーク内にVPNサーバを構築することもできます。物理的な専用線よりも安価に、比較的高セキュアな拠点間接続やリモートアクセスができる環境を整えられます。

充実したサポートを受けられる

個人向け光回線より充実したサポートを受けられることも、法人向け光回線の特徴です。個人向け光回線のサポート窓口は、ユーザー数が多いサービスだと混雑しやすく、保守対応時間内に必要な回答を得られないケースも珍しくありません。

法人向け光回線は、法人専用のサポート窓口を利用できます。サービスによっては早朝や夜間に電話対応や訪問修理ができ、法人特有の悩みもスムーズに解決できるでしょう。

特にプロバイダ・光回線一体型のサービスの場合、サポート窓口を一本化できるため、「どの窓口に連絡すべきか分からずトラブル対応が遅れる」といったリスクを軽減できます。

ビジネスユースに向いた回線種別を選べる

法人向け光回線は、ビジネスユースに向いた回線種別を選べることも利点です。個人向け光回線でも、スペック上の通信速度が最大1Gbpsかそれ以上・以下かといったプランの選択肢はあります。法人向け光回線の場合、回線が「共有型」か「専有型」かという選択肢があります。

一般的な個人向け光回線は、共有型かつ「ベストエフォート型」です。複数ユーザーとアクセス回線を共有する上、通信速度の保証はありません。

法人向け光回線なら、1ユーザーで回線を独占できる専有型を選べます。サービスによっては「帯域保証型」や「帯域確保型」の契約もでき、常に一定の帯域を安定して利用できます。

法人名義で領収書や請求書を発行できる

法人向け光回線は個人ではなく法人として契約でき、法人名義で領収書や請求書を発行できることも利点です。これらの書類があることで、インターネット回線の使用料を経費として計上することが容易になります。

サービスによっては個人事業主の他、法人格のない組合や公共団体でも契約できます。個人経営のカフェや士業事務所、集合住宅の管理組合や自治会・町内会など、さまざまな用途で利用可能です。導入の際は専任の営業担当者がニーズをヒアリングするため、不明点があってもしっかりフォローしてもらえます。

インターネット回線を法人契約する際の注意点

法人向け光回線はオフィスのインターネット環境の改善に役立つさまざまなサービスを利用できます。一方で、法人契約の場合は個人契約に比べ、導入・利用開始までに時間がかかる場合もあります。サービス内容に魅力があっても、法人契約に対応していない回線種別があることも注意点です。

契約書類が多く時間がかかる

個人契約に必要な書類は、免許証などの本人確認書類のみで済むケースがほとんどです。しかし、法人契約を結ぶ際は企業情報が記載された書類が必要になるため、契約の締結まで時間がかかります。登記簿謄本や印鑑登録証明書は法務局で取得する必要がありますので、計画的に準備を進めましょう。

  • 登記簿謄本もしくは印鑑登録証明書(発行日より3か月以内で現住所が記載されているもの)
  • 担当者の証明書(会社名の記載がある社員証のコピーや名刺など)
  • 担当者の本人確認書類(免許証・マイナンバーカードなど)
  • 公共料金領収証などの補助書類(発行日より3か月以内で現住所が記載されているもの)

必要書類は業者によって異なりますが、多くの場合上記の書類が求められます。実際の必要書類は、問い合わせて確認しましょう。

契約できないプロバイダがある

プロバイダの中には法人契約を扱っていないところもあるため、法人名義では契約できないケースがあります。契約したいプロバイダが法人契約を受け付けていない場合は、個人名義で契約しなければなりません。その場合は、法人向けのサービスは利用できないので注意が必要です。

法人向けインターネット回線の選び方

法人向け光回線の必須スペックとして、通信速度や安定性が挙げられます。通信品質やコストパフォーマンスで考えると、IPv6 IPoE対応の独自回線がおすすめです。独自回線のサービス提供エリアは一部地域に限られるものの、インターネット回線の冗長化にも便利に活用できます。

通信速度と安定性で選ぶ

法人向け光回線は一般的な下り1Gbpsよりもスペック上の通信速度が速いサービスもありますが、回線の安定性に大きく影響するのは、インターネット接続方式が「IPv4 PPPoE」「IPv6 IPoE」どちらかということです。IPv6 IPoE接続は従来のIPv4 PPPoE接続よりも回線の混雑が起こりにくく、夜間や休日でも安定した通信が期待できます。

IPv6 IPoE接続対応の法人向け光回線の中でも、特におすすめなのは、ケーブルテレビ局や電力会社などが自前の光回線設備で提供する独自回線です。フレッツ光やフレッツ光網を利用するコラボ光に比べてユーザー数が少なく、また他社に縛られず設備増強ができるため、実効速度の速さ・安定性に優れます。

【関連記事:独自回線と光回線は何が違う?光回線の種類一覧と特徴を徹底整理

コストパフォーマンスで選ぶ

法人向け光回線の大きな特徴は、サービス品質の高さです。特に充実したサポート体制が整っていますが、その分月額料金が個人向けより高くなることがあります。また、個人向けで一般的な工事費値引きやキャッシュバックなどの特典は少なめです。そのため、契約の際は含まれるサービスを精査し、本当に必要な機能だけを適切な料金で利用できる回線を選択することが重要です。

料金体系については、光回線の種類によって異なります。フレッツ光などの場合、月々の支払いは回線使用料とプロバイダ料金の2本立てになります。一方、コラボ光や独自回線では、光回線とプロバイダサービスを1社で一括提供するため、通常はまとめた月額料金で済み、コストを抑えられます。

サービス提供エリアで選ぶ

自社のオフィスや店舗が、利用したい法人向け光回線のサービス提供エリア内にあるかどうかも確認が必要です。

NTT東日本・NTT西日本が整備する光回線網を使用するフレッツ光やコラボ光は、47都道府県で利用できます。独自回線は通信速度の安定性や月額料金などに魅力がある一方、サービス提供エリアは自前の光回線網を整備している一部地域に限られます。また、同じ事業者でも、回線種別によって提供エリアが異なる場合もあります。

契約を検討している事業者の公式Webサイトから、サービス提供エリアを確認しておきましょう。

インターネット回線の冗長化には独自回線を選ぶ

企業で契約するインターネット回線が障害を起こすと、各種クラウドサービスなどを利用できなくなり、ビジネスがストップする恐れもあります。そこで重要となるのがインターネット回線の二重化(冗長化)です。メイン回線に加えてバックアップ回線を用意することで、平常時にも障害時にも安定したインターネット接続ができます。

二重化のニーズには、事業者独自の回線網を利用した独自回線の法人契約がおすすめです。契約するインターネット回線を「コラボ光+コラボ光」のような構成ではなく、「コラボ光+独自回線」とすることで、通信回線とプロバイダの両方を二重化できます。

【関連記事:インターネット回線の冗長化とは?仕組みや具体的な構成例を一挙解説

回線工事が必要な場合は早めに申し込む

企業のインターネット回線として最もおすすめなのは、高速かつ安定した光回線です。ADSLやCATVから光回線への乗り換え、または既存の光回線とは別の事業者による独自回線を導入する場合、まず回線工事を依頼する必要があります。

回線工事には予約が必要です。シーズンによっては開通まで1か月以上かかる場合があるため、早めに工事を依頼することをおすすめします。

【関連記事:インターネット回線の工事費用の目安は?法人向け光回線のコスパを高める方法も解説

インターネット回線を法人契約するならイッツコム!

イッツコムは契約拘束期間がない高コスパな独自回線「イッツコム光接続サービス」、Wi-Fi6対応で死角のないWi-Fi環境を整備できる「かんたんWi-Fi」を提供しています。インターネット回線の二重化や一時利用のニーズにも柔軟に対応できる上、多台数接続時の安定したWi-Fi環境の整備も可能です。

契約拘束期間がない高コスパな独自回線「イッツコム光接続サービス」

法人契約の光回線にとって、通信速度・安定性やコストパフォーマンスは重要です。「イッツコム光接続サービス」なら、下り2Gbps・上り1Gbpsの高速な法人向け光回線を低コストで利用できます。IPv6 IPoEに標準対応し、通信が混み合いやすい時間帯にも速度低下を起こさず、安定したインターネット接続が可能です。

独自回線によるプロバイダ・光回線一体型のサービスであるため、インターネット回線の二重化にも向いています。また、契約期間の縛りはありません。工事期間やイベント時などの一時的な利用にも柔軟に対応可能です。

Wi-Fi6対応で死角のないWi-Fi環境整備「かんたんWi-Fi」

インターネット回線の強化とともに検討したいのが、Wi-Fi環境の整備です。Wi-Fiルーター1台だと電波の死角が生じやすく、同時接続台数にも懸念があります。安定性の高いWi-Fi環境を構築するなら、Wi-Fiアクセスポイント(AP)の増設を検討しましょう。

イッツコムが提供する「かんたんWi-Fi」なら、高性能APを何台でも、ケーブル接続をするだけの簡単設定で手軽に増設できます。

「ハイエンド6」プランのAPは「Wi-Fi6」に対応するため、近年モデルのスマホやタブレットのスペックを最大限に発揮したインターネット接続が可能です。従業員用と来客用のネットワークを分離できるゲストWi-Fi機能もあり、1AP当たり100台まで、快適かつ安全なWi-Fi通信ができます。

まとめ

法人向け光回線は、固定IPアドレス付与や法人専用サポート窓口など、ビジネスに役立つさまざまなサービスを利用できます。通信品質やコスト面で比較すると、法人向け独自回線が有利です。インターネット回線の増強に伴うWi-Fi環境の整備には、業務用Wi-Fiアクセスポイントを導入しましょう。

イッツコムは「イッツコム光接続サービス」や「かんたんWi-Fi」により、オフィスや店舗のネットワーク環境整備を総合的にサポートできます。インターネット回線のアップグレードをお考えなら、最適なWi-Fiサービスも一括で提案できるイッツコムにご相談ください。