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リモートワーク中に自宅のWi-Fi速度が遅い!原因と解決方法は?

多くのリモートワーカーは日常的にWi-Fi接続をしますが、通信速度の遅さが生産性低下を招いているケースは珍しくありません。Wi-Fi接続が遅い原因を把握し、通信速度の悩みを解決したい方もいるのではないでしょうか。

リモートワークに必要なWi-Fi速度の目安を把握し、遅さの原因や解決方法を知ることで、通信環境改善のための具体的な施策が検討できます。IPv6 IPoE接続の重要性も知り、適切な通信環境を整備しましょう。そこでこの記事では、Wi-Fi速度が遅い原因や基本的・根本的な解決方法についてご紹介します。

リモートワークに必要なWi-Fi速度の目安は?

リモートワーカーは自宅でWi-Fi接続をすることが多いでしょう。しかし通信速度が遅く、業務中にストレスを感じたり生産性が低下していたりするという声も多く耳にします。

遅さの原因を探る前に、実際の通信速度がどれくらいで、必要な通信速度にどれほど足りていないのかを把握することが大切です。ここでは通信速度の計測方法と、快適な通信速度の目安を解説します。

まずは通信速度を計測しよう

インターネットの通信速度を計測する簡単な方法は、Google検索で「スピードテスト」と入力して検索することです。検索結果の最上部に「インターネット速度テスト」が表示されるので、右下の「速度テスト」を選択しましょう。これだけで自動的に下り(ダウンロード)速度・上り(アップロード)速度が測定できます。

テスト結果で「どのような使い方が問題なくできる速度か」という目安も表示される仕様です。他にも、Fast.comやUSEN GATE 02といったスピードテストサイトでも、簡単に通信速度を計測できます。

リモートワークで快適な通信速度の目安

ストレスなくファイルをダウンロードできる通信速度の目安は、下り30Mbps程度です。下り1Mbpsでダウンロードするなら、10MBのファイルで約1分30秒、100MBのファイルで約15分かかります。下り10Mbpsなら10MBのファイルを約9秒、100MBのファイルを約1分30秒でダウンロード可能です。

動画などの大容量ファイルをダウンロードしない場合は、下り10Mbps以下でも問題なくWi-Fi接続できるでしょう。下り50Mbpsなら1GBのファイルでも約3分でダウンロードできるので、体感速度はかなり速く思えます。

Zoomミーティングで必要な通信速度の目安

Zoomミーティング中はリアルタイムで双方向通信をするので、下り速度だけでなく上り速度もパフォーマンスに影響します。ビデオを使うとかなり高速な通信速度が必要と思えるかもしれませんが、下り・上りともに1Mbps程度の通信速度でも問題ありません。ベンダーによる推奨通信速度は以下の通りです。

・ビデオ(高品質):下り600kbps・上り600kbps
・ビデオ(HD):下り1.2Mbps・上り1.2Mbps
・グループビデオ(高品質):下り1.2Mbps・上り600kbps
・画面共有(サムネイルなし):下り50kbps~75kbps・上り50kbps~75kbps
・画面共有(サムネイルあり):下り50kbps~150kbps・上り50kbps~150kbps

リモートワークでWi-Fi速度が遅い7つの原因

リモートワーク環境においては自宅のWi-Fi速度はさまざまな原因で低下します。例えば、社内LANへのアクセスや同時接続数の多さ、デバイス・Wi-Fiルーターで対応しているWi-Fi規格の古さなどです。ここでは、Wi-Fi速度が遅くなる主な原因を7つに分けて解説します。

1.社内LANにアクセスしている

リモートワーカーが社外から社内LANにアクセスする場合、コアオフィスの通信回線の帯域を利用します。例えば、オンプレミスのファイルサーバーを利用していたり、VPNサーバーをコアオフィスに設置する形でVPN接続をしていたりする場合です。

複数のリモートワーカーの同時アクセスによりトラフィックが集中し、自社のネットワークリソースの問題でWi-Fi速度が遅くなるケースもあるでしょう。特に大容量ファイルをやり取りする場合に遅くなります。

2.自宅側の同時接続数が多い

社内LANにアクセスしない場合でも、さまざまな原因でWi-Fi速度は遅くなります。例えば、自宅で契約しているプロバイダにアクセスが集中して「渋滞」しているケースです。

プロバイダはインターネット接続の窓口として、自前の通信設備で契約者のトラフィックを管理しています。夜間や土日などの時間帯は同時接続数が多くなるので、他の契約者の影響を受けて通信速度が低下するケースは珍しくありません。

また、マンションタイプの通信回線を契約している場合、他の入居者による帯域利用の影響を受けて通信速度が遅くなるケースもあります。Wi-Fiルーターに複数機器を同時接続していることも速度低下の原因です。

3.不必要なアプリが起動している

リモートワーカーはクラウドサービス・Web会議システム・チャットツールなど、複数のアプリを使い分けて仕事をするのが一般的です。インターネット接続をするアプリが多いほど、帯域は圧迫されて通信速度は遅くなります。

特に影響を受けやすいのは、Windows Updateなどの大容量ファイルをダウンロードするアプリがバックグラウンドで動作している場合です。この場合、業務に直接必要のないアプリを停止することで通信速度を改善できます。

4.Wi-Fi規格が古い

Wi-Fiは電波による無線通信をする技術規格のブランド名です。Wi-Fi規格にはバージョンがあり、バージョンによって最大通信速度の違いがあります。最新のWi-Fi規格は第6世代の「IEEE 802.11ax(Wi-Fi6)」です。

PC・タブレット・スマホやWi-Fiルーターが対応しているWi-Fi規格は古いバージョンの場合もあり、規格上の最大通信速度のせいで通信速度が遅いケースもあります。

現在最も一般的なのは第5世代の「IEEE 802.11ac(Wi-Fi5)」です。これも十分高速ですが、第4世代の「IEEE 802.11n(Wi-Fi4)」以前を利用していると、通信速度の遅さを感じやすい傾向にあります。

5.Wi-Fiルーターの配置が悪い

Wi-Fi接続をしている間は、Wi-Fiルーターとデバイスが電波を発信し続けている状態です。送信・受信の電波強度が十分なら通信速度は安定しますが、電波は障害物や距離の影響を受けて減衰します。

Wi-Fiルーター・デバイスの近くに強い電波を発する家電製品(特に電子レンジ)があったり、Wi-Fiルーター・デバイス間に分厚い壁や障害物があったりすると、Wi-Fiの通信速度は遅くなる仕組みです。Wi-Fiルーターを床に直置きしている場合も、電波が拡散しやすいので通信速度に影響を受けます。

6.Wi-Fiルーターの性能不足

Wi-Fiルーターは機種によって電波強度が異なり、電波が届く範囲や推奨同時接続数も異なります。また、Wi-FiルーターはCPUや記憶装置を備えた通信機器なので、データの処理速度の遅さが原因で通信速度に影響を生じるケースも少なくないでしょう。

Wi-Fiルーターの性能不足が原因になりやすいのは、古い機種を使っている場合です。古いWi-Fiルーターを何年も使い続けていると、大容量ファイルのダウンロード時などに通信速度の遅さを感じやすい傾向にあります。

7.IPv4 PPPoEで接続している

「IPv4 PPPoE」という通信方式で接続している場合も、通信速度は不安定になりやすい状態です。プロバイダはインターネット接続を中継しますが、通信方式に合った通信機器を施設内で運用しています。

IPv4 PPPoEは「網終端装置」と呼ばれる通信機器を必要とする通信方式で、インターネット接続の際は全てのデータが網終端装置を経由する仕組みです。契約者が多いプロバイダや、夜間・休日など利用者数が多い時間帯は、網終端装置の渋滞によって通信速度が遅くなりやすい傾向にあります。

解決!IPv6 IPoE接続でリモートワークのWi-Fi速度がアップ

Wi-Fi速度に関して多くのリモートワーカーが直面している問題は、IPv4 PPPoEで接続することによる通信速度の不安定さです。これはプロバイダ・Wi-Fiルーターの仕様が関わる問題なので、意識的に対策しなければ改善できません。ここでは、IPv6 IPoEやIPv4 over IPv6によるWi-Fi速度の改善について解説します。

主流の通信方式はIPv4 PPPoE

IPv4 PPPoEで接続すると通信データは網終端装置を経由するので、トラフィック集中によって通信速度が遅くなりやすい問題を抱えています。厳密にいうと網終端装置を経由するのは「PPPoE」という通信方式で、「IPv4」はインターネットの通信規約のバージョンです。

現在主流な通信方式はIPv4 PPPoEですが、IPv4で割り当てられるIPアドレスは枯渇しているので、実質的に無限のIPアドレスを割り当てられる「IPv6」への移行が進んでいます。

IPv6 IPoEで接続すれば高速化できる

「IPv6 IPoE」はIPv4 PPPoEの問題を解決できる最新の通信方式です。「IPoE」は網終端装置を経由しないので、プロバイダの施設内におけるトラフィック集中を回避しやすく、通信速度の根本的な高速化に役立ちます。

なお、IPoEと組み合わせられるのはIPv6のみで、IPv4は対応していません。高速なIPoEを利用するにはIPv6と組み合わせたIPv6 IPoEを導入します。

IPv4 over IPv6という通信方式も

IPv6 IPoEを利用するとWi-Fi速度の高速化が期待できますが、IPv6 IPoEでインターネット接続するにはコンテンツ側がIPv6に対応していることを要します。IPv6に対応したコンテンツはまだ少数派なので、IPoEの利点を活かしながらIPv4のコンテンツにも接続できる「IPv4 over IPv6」という通信方式が流行している状況です。

IPv4 over IPv6は基本的にIPv6で接続しますが、IPv4のコンテンツに接続する際に通信パケットをIPv6であるように見せかけ、どのようなコンテンツでもIPoEで接続できます。

IPv6 IPoEやIPv4 over IPv6接続で必要なもの

IPv6 IPoEやIPv4 over IPv6で接続すると、IPv4 PPPoE環境よりも高速なインターネット通信が可能です。ただし、新しい規格なので、IPv6 IPoEやIPv4 over IPv6を利用するには以下の2点を要します。

・IPv6 IPoEやIPv4 over IPv6に対応したWi-Fiルーター
・IPv6 IPoEやIPv4 over IPv6に対応したプロバイダ

「Wi-Fiルーターとプロバイダが目的の通信方式に対応していること」が求められます。通信パケットの問題なので、PCやスマホの機能とは無関係です。

Wi-Fi速度を高速化するIPv6 IPoE以外の方法6選

Wi-Fi速度を上げる根本的な解決方法のひとつに、IPv6 IPoEで接続することが挙げられます。IPv6 IPoEで接続するには、Wi-Fiルーターの買い換えやプロバイダの乗り換えが必要です。ここでは、通信速度改善の基本的な方法から根本的な方法まで、段階的に解説します。

1.デバイスや通信機器を再起動する

PCやスマホの処理能力が低くなると、通信データの処理も停滞するので、体感速度は遅くなります。デバイスを起動させ続けると一時ファイルやエラーが蓄積し、処理速度が遅くなっていく仕組みです。

また、Wi-Fiルーターや光回線で利用するONU(光回線終端装置)も、起動させ続けると処理速度が低下するケースもあります。こういったケースはデバイスや通信機器を再起動させることで、通信速度低下の解消が可能です。

2.Wi-Fiルーターの配置を最適化する

Wi-Fiの電波は障害物や距離の影響を受けて減衰するので、Wi-Fiルーターの配置を最適化することで通信速度を安定させられます。配置最適化のポイントは以下の通りです。

・Wi-Fiルーターとデバイスの間に障害物を置かない
・Wi-Fiルーターとデバイスを分厚い壁で隔てない
・通信経路やデバイス・Wi-Fiルーターの近くに電波を発する機器、特に強い電波を発する電子レンジを置かない
・電波は水に吸収されるので水回りの近くも避ける
・Wi-Fiルーターをデバイスに近付ける
・Wi-Fiルーターを床に直置きしない

3.5Ghz帯でWi-Fi接続する

電波には周波数があるが、Wi-Fiの電波は2.4Ghz帯か5Ghz帯のいずれかを使っています。2.4Ghz帯は電子レンジをはじめとした家電製品など、さまざまな機器も使う周波数帯なので、混信によって通信速度が低下しやすい仕組みです。

同じ周波数帯を利用する利用機器が少ない5Ghz帯で接続すれば、安定した通信速度が得られます。Wi-Fiルーターによって仕様は異なりますが、2.4Ghz帯はネットワーク名の末尾が「2G」、5Ghz帯は「5G」になっているのが一般的です。末尾が5Gのネットワークに切り替えれば、5Ghz帯でWi-Fi接続できます。

4.LANケーブルで有線接続する

Wi-Fi接続はケーブルレスで利用できるのが大きな利点ですが、電波は空気中を伝播させるので、有線接続よりも速度が安定しない傾向にあります。Wi-FiルーターのLANポートからLANケーブルで有線設備すれば、安定した接続が可能です。

ただし、LANポートのないスマホやタブレットは、専用のアダプターを使わない限り有線接続できません。LANケーブルは規格によって最大通信速度の違いがあるので、「カテゴリ5e(CAT5e)」以上(最大通信速度1Gbps以上)のものを使うのがおすすめです。

5.Wi-Fiルーターを買い換える

通信速度の根本的な高速化方法として考えられるのは、Wi-Fiルーターを買い換えることです。高速化が期待できるIPv6 IPoEやWi-Fi6を利用するには、それぞれの規格に対応した新しい機種に買い換える必要があります。Wi-Fi6なら2.4Ghz帯・5Ghz帯の両方に対応しているので、2.4Ghz帯が安定しないならいつでも5Ghz帯に切り替え可能です。

また、一般的にWi-Fiルーターは頻繁に買い換える機器ではないので、低スペックの機種を選ぶと数年後にはスペック不足になることも考えられます。電波強度や同時接続数などのスペックも加味して、なるべく高機能な機種を選びましょう。

6.プロバイダを乗り換える

Wi-Fiルーターの買い換えとともに、通信速度の根本的な高速化方法として考えられるのが、より高速・安定したプロバイダに乗り換えることです。Wi-Fiルーターを調整しても通信速度が速くならない場合、プロバイダを変えて劇的な高速化ができるケースもあります。

プロバイダの選び方として押さえたいポイントはIPv6 IPoEに対応していることです。IPv6 IPoE対応のWi-Fiルーターと組み合わせることで、通信速度の高速化が期待できます。大手プロバイダは夜間・休日に利用者が集中して遅くなりやすいので、比較的契約者数の少ない地域密着型のプロバイダを選ぶこともポイントです。

リモートワークの通信環境を整えるならイッツコム!

リモートワーク環境では社外ネットワークから社内LANへのアクセスも多いので、コアオフィスの通信環境を整えることも大切です。高速かつ安定した法人向け光回線のイッツコム光接続サービスや、専用SIMを挿入するだけでセキュアアクセスができるモバイル閉域接続を解説します。

安定性が魅力!イッツコム光接続サービス

イッツコムの法人向け光回線「イッツ光接続サービス」は、イッツコム独自の光回線網を利用した、光回線・プロバイダ一体型のサービスです。下り最大2Gbps・上り最大1Gbpsの高速回線で、ネットワークリソースが不足しやすいリモートワーク環境でも、安定したインターネット環境が得られます。

IPv6 IPoEに標準で対応していることもポイントです。ONUにはWi-Fiルーター機能を標準搭載しているため、オフィス内でのWi-Fi利用にもスムーズに対応できます。トラブルの際のサポート窓口はひとつなので、問題の切り分けや連絡もスピーディーです。

セキュリティを強化!モバイル閉域接続

リモートワーク環境で問題になることのひとつはインターネットセキュリティです。リモートワーカーが社内LANやインターネットにアクセスする際のセキュリティ対策を求められますが、一般的なVPNサービスは設定・管理の煩雑さなどの問題点もあります。

イッツコムの「モバイル閉域接続」は、デバイスに専用SIMを挿入するだけで、閉域網経由で社内LANに接続できる通信サービスです。

PC・スマホ・タブレットに挿入した専用SIMで自動的に経路を判別するので、面倒な設定やアカウント管理は必要ありません。インターネット接続の際も社内LANを経由するので、セキュリティポリシーの標準化にも役立ちます。

まとめ

リモートワーク中にWi-Fi速度が遅い場合、根本的な解決方法はプロバイダ・光回線の乗り換えです。社内LANに接続することが多ければ、自社の通信環境の改善も求められます。さらにモバイル閉域接続なら、専用SIMによって通信回線も得られるので、「Wi-Fiを使わないセキュアな無線通信」が可能です。

イッツコムは光回線やモバイル閉域接続の他に、容量無制限のクラウドストレージ「box」やSFAツールの「ホットプロファイル」など、多彩なICTソリューションを提供しています。通信環境の改善と、それに伴う生産性向上をお求めなら、複数サービスを組み合わせて相乗効果が得られるイッツコムにご相談ください。