コスト削減とは?価値創出に向けた考え方や実行手順、アイデアやツールを解説
目次
利益拡大を求める多くの企業はコスト削減に取り組みます。「コストのムダが多い」あるいは「利益が上がらない」と感じており、コスト削減について理解を深めたい企業担当の方もいるのではないでしょうか。
コスト削減と利益拡大の正しい在り方やコスト削減のプロセス・アプローチ方法を知ることで、長期的な観点での成功が目指せます。ICTツール活用による「体験」の再構築や価値創出にも目を向け、コスト削減と利益拡大を実現しましょう。
そこでこの記事では、「減らす」よりも「変える」という視点で、コスト削減の正しい在り方やプロセス・アイデアについてご紹介します。
コスト削減と利益拡大の正しい在り方
コスト削減は利益拡大を目的とした活動で、コスト構造を改善するためには支出を伴う場合もあります。利益拡大を達成するもうひとつのアプローチは売上高アップで、長期的に見れば価値創出に向けた投資が重要です。まずはコスト削減と利益拡大の正しい在り方を解説します。
コスト削減の目的は利益拡大
コスト(Cost)とは、英語で「商品の生産に必要な費用(原価)」を指し、利益とコストには「利益 = 売上 − コスト」という関係があります。コスト削減とは、利益を得るためのコストを削減する取り組みで、その目的は利益を拡大させることです。
コスト削減の取り組みは自社の資産を削ることになるため、将来的な成長を阻害する恐れもあります。また過度なコスト削減は社員の反発も予想され、社員のパフォーマンス低下や売上低下につながる場合は、コスト削減の目的に合致しません。そこでコスト削減と同時に、働き方・仕事環境の改善につながるような施策が求められます。
利益拡大には売上高アップも必要不可欠
利益拡大を達成するもうひとつの方法は、売上高を上げることです。しかし多くの顧客は企業の利益に関心がありません。そこで単に顧客の数を増やすのではなく、顧客と良好な関係を築く中で価値提供をし、企業に対する愛着や信頼を醸成することが求められます。
つまり顧客ロイヤリティを向上させ、リピート率向上やクロスセル・アップセルにつなげることで、LTV(顧客生涯価値)の最大化を目指すことが重要です。そのためにはコストより価値にフォーカスし、コストと創出価値がミスマッチしている部分にメスを入れる取り組みが求められます。
利益向上は価値創出に向けた投資も重要
アクセンチュアが2021年9月30日に公表した調査レポートによると、価値創出を目的としてクラウドに継続投資している企業は、コスト削減だけでなく利益向上や競争優位性の強化を達成しています。逆に一時的なコスト削減に向けてクラウド移行をした企業は、クラウド先進企業に比べて競争優位性に劣るという結果です。
また同年6月28日公表の調査レポートによると、イノベーションに向けてテクノロジー投資を拡大した企業の収益成長率は、出遅れた企業の5倍に上ることも分かっています。 コスト削減と投資は相反するように思えるかもしれません。しかしコスト削減の目的である利益拡大を達成するには、価値創出に向けた投資が重要です。
(参考: 『一時的なコスト削減に向けたクラウド移行は、競争優位を失うリスクを伴うことが判明――アクセンチュア最新調査』)
コスト削減の対象とアプローチの考え方
コストには生産量によって変化する変動費と、生産量による影響を受けない固定費があり、生産にかける時間・労力を含む場合もあります。コスト削減の対象となる主なコストの種類は以下の通りです。
・人件費:給与・時間外手当・賞与・保険・年金など
・人材採用・教育コスト:求人・企業説明会・インターンシップ・研修教育などにかかるコスト
・間接コスト:広告宣伝費・販売促進費・物流関連費など
・オフィスコスト:賃料・水道光熱費・通信費・ITシステム維持費など
これらのコストを単純に削減すると利益の縮小を招く場合もあるため、社員・顧客・パートナーの「体験」を再構築する視点が重要です。そのためには「減らす」より「変える」という発想の元、人間中心設計で業務構造を組み替えていく取り組みが求められます。
コスト削減のプロセス
コスト削減の取り組みは以下のプロセスで実施します。
1.コスト構造の可視化と改善計画の策定
2.改善計画の共有と実施
3.効果検証と軌道修正
4.価値創出に向けたブラッシュアップ
体験の再構築や価値創出を重視した、コスト構造の改善計画をイメージしましょう。
1.コスト構造の可視化と改善計画の策定
コスト削減の取り組みはコスト構造の可視化・分析から始めます。業務には何らかのムダ・ムリ・ムラが発生していて、過剰・過小・不適切なコスト投下となっている場合が珍しくありません。
価値提供につながっていない部分や効率化が必要な部分など、コスト構造の問題を明らかにし、どこから変えるべきか優先順位をつけます。その上でムリのない強度の改善目標を設定し、具体的な改善計画に落とし込みましょう。
2.改善計画の共有と実施
具体的な改善計画を策定したら、コスト削減に関係する全ての部署に計画の全体像を情報共有します。コスト削減の取り組みは業務プロセスやビジネススタイルの変更を伴うことも多いため、社員の反発や業務停滞を防ぐためにも、関係各所から事前に理解を得ておくことが重要です。
コスト削減の目的や具体的な行動計画、期待できる効果を情報共有した上で、足並みをそろえて計画実行に踏み切りましょう。
3.効果検証と軌道修正
改善計画を実行に移したら、1か月・3か月などのスパンで、コスト削減の効果を定量的・定性的に検証します。「○○コスト20%減」などの数値目標は達成できても、社員のモチベーションが低下していたり、業務プロセスが混乱していたりすることも考えられます。
こういった状況を放置していれば利益拡大は見込めないため、意識調査や業務分析によって行動計画の問題点を明らかにし、軌道修正を図ります。
4.価値創出に向けたブラッシュアップ
改善計画の実施が定着したら、より大きな利益拡大のために、価値創出に向けたブラッシュアップを続けていきます。コスト構造を改善するだけに留まらず、価値創出による利益拡大や競争優位性の強化を求めるのが、コスト改善の正しい在り方です。
コスト削減の取り組みで業務プロセスやビジネススタイルが改善されると、イノベーション創出の土壌も醸成されていきます。その先に大きな利益拡大があると考え、コスト改善の取り組みを足掛かりとして行動計画のブラッシュアップを続けましょう。
コスト削減の対象へのアプローチ方法
コスト削減の対象となるものは紙・オフィス・ノンコア業務などさまざまです。他にもクラウストレージによる情報共有やWeb会議システムによる対面コミュニケーションのオンライン化、AI搭載ツールによる業務自動化も大きなコスト削減効果を発揮します。
ペーパーレス化
紙による情報保存・活用は大きなムダを生むため、電子データによる情報保存・活用への移行、つまりペーパーレス化を進めることは重要です。紙は印刷・保管・郵送・廃棄にコストがかかり、目的の情報へたどり着くまでの時間にもムダがあります。
そこでFAXのデジタル化や電子契約システムによる稟議・承認プロセスの効率化など、ペーパーレス化を進めることはコスト削減の基本的な施策のひとつです。ペーパーレス化を進めればペーパーコストの削減や検索効率の向上の他、テレワーク環境で「紙資料を確認するために出社しなければならない」というムダも排除できます。
オフィスの縮小化
オフィスの縮小化もコスト削減に効果的です。事業が大規模になるほどオフィススペースは拡大しがちですが、ICTツールを活用してテレワークを推進すればオフィス機能を分散でき、固定的なオフィススペースを縮小できます。これにより賃料や電気代だけでなくデスク・チェアなどの設備も削減可能です。
この取り組みの中でクラウド活用やフレックスタイム制の導入を進めれば、生産性向上や働き方の改善にもつながります。
ノンコア業務のアウトソーシング
コア業務に付随する定型業務、つまりノンコア業務をアウトソーシングするのもコスト削減に効果的です。これにより人件費やIT管理費の圧縮につながり、コールセンター業務のBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)などであれば、オフィス縮小化にもつながります。
ノンコア業務にリソースを割かないことで、社員に時間的余裕が生まれ、精神的苦痛から解放されるのもメリットです。コア業務へ集中できることでより創造的な活動が可能になり、イノベーション創出の機会拡大にもつながります。
情報共有のオンライン化
クラウドストレージによる情報共有もコスト削減に効果的です。インターネット経由で利用するクラウドストレージなら自社でサーバー関連の資産を抱える必要がなく、サーバーの調達費や保守管理にかかる人件費・電気代・セキュリティ対策費などを圧縮できます。
またペーパーレス化やオフィス縮小化との相性が良く、テレワーク推進と組み合わせることでほぼ完全に紙をなくすことも可能です。スムーズな情報共有により複数部署で類似備品を発注するなどのコストのムダを抑えられ、業務効率化にもつながります。
対面コミュケーションのオンライン化
Web会議システムによる対面コミュケーションのオンライン化もコスト削減に効果的です。会議をオンライン化すれば紙資料や会議室を準備するムダがなくなり、会議室への移動時間のムダも省ける上、遠方からの参加者の交通費や宿泊費も圧縮できます。
在宅勤務者やモバイルワーカーもスムーズに会議へ参加でき、特にテレワーク環境では必須といえるツールです。Web会議システムは企業説明会・面接や研修のオンライン化にも活用できるので、人材採用・教育のコスト削減にも寄与します。
自動化や業務システムの再構築
AI搭載ツールによる業務自動化やクラウド型ツールによる業務システムの再構築もコスト削減に効果的です。 例えばCRM(顧客関係管理システム)やSFA(営業支援システム)を導入すれば、営業活動を効率化して人的・時間的ロスを削減できます。またMA(マーケティングオートメーション)による顧客育成・スコアリングの自動化も、リソースの有効活用に効果的です。
こういったツールの活用により社員はコア業務に集中しやすくなり、パフォーマンス向上による生産量増加や、残業時間の短縮による人件費削減につながります。
コスト削減に効くICTツール整備はイッツコム!
ICTツールを活用すると大きなコスト削減効果を生み、体験の再構築や価値創出にもつながります。ここからは、イッツコムが提供する「ホットプロファイル」「Box」「Zoom」の魅力を見ていきましょう。
営業・マーケティングのコスト削減に「ホットプロファイル」
名刺管理・SFA・MA一体型のツール「ホットプロファイル」は、営業・マーケティングのコスト削減に最適です。 名刺のスキャンやCSVファイルの読み込みだけで顧客データベースを自動作成し、全てのシステム利用者が社内人脈や営業履歴を共有できる上、Web行動履歴やメール開封履歴のAI分析により「いまホットな顧客」を自動通知します。
またGPS連携による営業報告や地図連携による営業ルート最適化、専門知識不要でランディングページ・Webフォームを作成する機能も備え、営業・マーケティングの効率化によるコスト削減や生産性向上が可能です。
さらに名刺をスキャナやスマホで読み込むだけで名刺のデータができるため、大量の名刺を保管する場所も必要としません。また、手入力の手間がない点も魅力です。
データ活用の大幅な効率化とコスト削減に「Box」
クラウド型コンテンツマネジメントシステム「Box」は、テレワーク推進・ペーパーレス化・オフィス縮小化に役立ちます。
有料版Boxは容量無制限のクラウドストレージとして利用でき、タスクやプロジェクトも一元管理できる上、1,500以上のアプリのファイルマネージャーとしても活用可能です。インターネット経由で利用できる情報共有のハブとして機能するため、情報マネジメントの簡略化や業務効率化に役立ち、データを活用するあらゆる業務のコスト削減につながります。
またサーバー関連の資産を自社で抱える必要がなく、各国の政府機関が採用するほどのセキュリティ基盤を備えるため、運用管理費やセキュリティ対策費の圧縮にも効果的です。
コミュケーション関連のコスト削減に「Zoom」
国内で圧倒的シェアを誇るWeb会議システム「Zoom」の有料版は、コミュニケーション関連のコスト削減に効果的です。有料版Zoomは実質無制限で利用でき、複数の共同ホストが管理する大規模ミーティングや、最大1万人規模のウェビナー開催にも対応します。
あらゆる対面コミュニケーションをオンライン化できるため、面接・企業説明会・研修・会議・オンライン展示会など、活用方法は多彩です。どのような性質・規模のコミュニケーションでも会議室・紙資料が必要なく、会議が大規模であるほど大きなコスト削減効果を発揮します。
会議資料はBox内のファイルを画面共有でき、ホットプロファイル上でウェビナー管理もできるため、3つのツールを組み合わせればコスト構造の抜本的改善が可能です。
まとめ
コスト削減の目的は利益拡大で、目標達成のためには価値創出に向けた投資が重要です。ICTツールを活用すれば仕事環境をデジタル化でき、業務をさまざまな面で効率化しつつ、体験の再構築や価値創出につながります。
イッツコムが提供するホットプロファイル・Box・Zoomを組み合わせれば、移動や紙資料などのムダを大幅削減でき、業務プロセスの効率化や生産性向上が可能です。ICTツール活用によるコスト削減と価値創出をお求めなら、複数サービスの組み合わせでビジネス課題を一挙解決できるイッツコムにご相談ください。