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防災インタビューVol.2

地震から命を守るために~21世紀の大地震に備えて~

放送月:2004年3月
公開月:2006年9月

鍵屋 一 氏

板橋区役所福祉事務所長(元防災課長)

耐震補強は日本経済を活性化させる

阪神淡路大震災の時には、20万棟を超える建物が全部壊れたり、一部壊れたりしました。そのときに獅子奮迅の活躍をされたのが、建設現場にいらっしゃる方たち。ヘルメットとかパワーショベルだとかを持ち出して、どんどん建物をどかして救出していきました。その活動が非常に素晴らしかったので、町内会などでは、神様、仏様、土建屋様と言われて賞賛されたそうです。後日、感謝状を受け取った現場監督も、数多いと言われています。

日本の1150万棟もの住宅が、耐震性が欠けている(震災文庫より 和田幹司氏撮影)

こういうふうに、建設関係者というのは非常に頑張る力があります。災害後ではなくて、災害の前に頑張ってもらえれば、地震による被害も少なくできますし、もちろん人が亡くなることもないわけです。今の建設業は大変な不況ですから、耐震補強を政策的に行うことで、この不況を脱出できるのではないかとも考えられます。日本では1150万棟もの住宅が、耐震性が欠けています。日本の住宅がこの状況というのは、非常に危機的な状況だと思われます。このように耐震性の欠けている住宅1軒に、命を守るために必要な耐震補強をするのに100万円くらいかかるとすれば、全部で12兆円必要です。私有財産である自宅の補強費を、1部は国や自治体が支援しながら、それぞれの持ち主が出していく仕組みを上手に作って、安全で安心な耐震補強ができるようにしていけば12兆円のマーケットになりますから、建築業者の方々にも仕事が確保されるのではないかと考えています。

家屋の耐震補強は、地域の大工さん、工務店にやってもらえば、非常に良いと思います。安心できるいい腕を持っている人ならば、ついでにリフォームを頼もうか、バリアフリーを頼もうかということで、住宅産業全体が活性化するのではないかとも考えられます。顔なじみの大工さんをつくるということは、実は江戸時代では当たり前でした。台風が来そうになると、大工さんが直してくれてホームドクターみたいな役割をしていましたが、この頃はそのような関係は切れてしまって、大工さんの知り合いがいない方がほとんどなのではないでしょうか。大工さんの知り合いをつくると、非常に心強いです。そのためにも、耐震補強を1つの契機にして、地域でそういう関係に進んでいかれればいいと思います。

私は現在、耐震補強でニューディール政策というのを提案しています。実は、これは1つ例があります。1933年にアメリカにフランクリン・ルーズベルトという大統領がいました。テネシー川がいつもあふれて大洪水になってしまうというので、災害対策用の大土木工事をしました。アメリカはそのときに世界大不況の最中にありましたが、それをきっかけに乗り越えていったとも言われています。日本も同じような災害対策、耐震補強することで、この大不況を乗り越えていこうではありませんか、という提案を是非させていただきたいと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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