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防災インタビューVol.12

減災は一人ひとりの努力から

放送月:2004年8月
公開月:2007年7月

渋谷 和久 氏

国交省都市・地域整備局 開発企画調査室長

内閣府の緊急参集チーム

国の緊急対応(出展:内閣府資料)

私は、6月まで内閣府という役所で、2年間内閣府の防災の担当をしておりました。9年前に、阪神・淡路大震災が発生し、大勢の方が亡くなる大災害になったのですが、そのときに、政府が何をしていたかということが、社会的に大きな問題になったわけです。当時はなかなか情報網がなくて、地震が発生してすぐ、総理官邸に関係者が集まりましたが、なかなか情報は集まらないし、NHKのテレビを見ながら、皆頭を抱えていたという話も聞いています。

その反省の上に立って、緊急時の政府の初動対応はずいぶん改善が図られました。私が内閣府に勤めていた2年間は、ポケットベルと、災害用の特別な携帯電話を持ち歩いておりました。このポケットベルは、日本のどこかで震度6弱以上の地震が起きるとすぐ鳴ります。東京23区では震度5強以上で鳴ります。ポケベルが鳴ると、30分以内に総理官邸の地下にある危機管理センターというオペレーションルームに、駆けつけなければいけないということになっています。僕たち防災担当以外に、国土交通省、消防庁、防衛庁や警察庁など防災に関係する機関の幹部の方が、皆同じような体制で、緊急参集チームとして集まります。このメンバーは、ポケベルがいつどこで鳴るか分からないわけなので、総理官邸にいつでも30分以内に駆けつけられる場所に、常にいなければいけないことになっています。私は世田谷の等々力に家族と一緒に住んでいるのですが、この2年間は総理官邸のそばに、危機管理用の特別な官舎がありまして、そこに単身赴任で住んでおりました。とにかく、夜も休日も常に緊張を強いられる生活を送ったわけですが、実際に昨年は、宮城で5月と7月に震度6弱の地震があり、7月には6強も記録しました。9月には十勝で震度6弱の地震がありました。7月の地震は夜中でした。十勝の地震は朝の4時50分でしたけれども、すぐ総理官邸に駆けつけました。幹部全員がきちんと集まりまして、的確な対策をみんなで検討したということです。その辺の対応は、かなり阪神・淡路大震災の頃に比べてずいぶん改善されたのではないかと思います。

大地震の際に、このポケットベルを鳴らすために、24時間365日、誰か常にチェックをしている者が内閣府の役所におりまして、また、毎日誰か必ず2人は役所に泊まりこみをして、緊急の電話連絡を受ける体制になっています。これは、9年前の反省から始まりましたが、僕たちも体を張って、そういう対策をしようということで頑張っているということを、是非皆さんに知っていただきたいと思います。

いち早く現状を確認するために

緊急参集チームは30分で総理官邸に駆けつけるということになっていますが、ただ集まればいいというものではないわけです。阪神・淡路大震災のときの一番の大きな問題点は、危機管理センターに集まってはいても、情報が上がってこないので、対策や的確な指示、判断を下せないということがありました。実は阪神・淡路大震災は、最終的には6000人を越える方が亡くなるような大きな災害だったのですが、NHKテレビで阪神の高速道路が倒れてしまったという映像は流れているけど、それ以外の現場の情報がなかなかあがって来ない。特に、被害の大きな場所では、市役所等も大きな被害を受けていますから、そもそも連絡がつかない。また、亡くなった方の数も、最初はなかなか死亡された方の数が上がってこなかったのです。なぜ上がってこないかと言いますと、実際に現場で救出活動が行われて、お医者さまが死亡を確認して初めて死者がカウントされるのです。したがって実際死者の数がかなりの数になることがわかってきたのが、3日目以降でした。

(株)レスキューナウ提供

そこで2つ大きな改善をしました。1つは大きな地震、災害が起きますと、近くにある自衛隊の基地から、ヘリコプターがすぐに飛び立ちまして、そこで被災地の生の映像を撮して、リアルタイムで総理官邸地下のオペレーションルームに送信します。官邸では、大きな画面で、すぐ被災地の状況が手に取るようにわかることになっています。

また、死者の数とか倒壊した建物の数というのは、実際にカウントしてみないとわからないということがありましたので、ディザスター・インフォメーション・システム、DISというシステムを導入しました。このDISにより、震度の情報、全国のいろいろな地盤の情報、建物の情報が内閣府のコンピュータに入っておりまして、ラフな大まかなイメージではありますが、大体どのくらいの被害なのかを予測をする仕組みができています。阪神・淡路クラスの非常に大きな災害なのか、それとも基本的には自治体さんのほうで対応できそうな災害なのか、そういう判断はすぐ下せるような仕組みができています。

その上に、もうひとつ力を入れているのは、医療搬送です。重症な怪我を負った方がたくさん出る地震の場合、現地の病院ではとても対応できないので、ヘリコプターで患者さんを被災地の外の病院に運び出すということです。阪神・淡路大震災のときは、初日はたった1人しか運べなかったのですが、現在では、大きな災害があると、ただちに登録してある全国のお医者さんを集めて、自衛隊の飛行機で被災地に飛んで、患者さんを被災地の外に連れて行くというオペレーションを、数時間後にはやれるような体制を整えようとしています。いま、関係省庁といろいろな訓練をしているところです。今度大きな災害が起きる前に、ぜひこの体制が間に合うといいなと思っています。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。