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防災インタビューVol.12

減災は一人ひとりの努力から

放送月:2004年8月
公開月:2007年7月

渋谷 和久 氏

国交省都市・地域整備局 開発企画調査室長

防災白書

毎年、内閣府が中心となりまして、防災白書というものを出しています。今年の防災白書の特徴は、序章に、新たな防災行政の視点というセクションを設けたことです。
内閣府が平成13年にできてから、中央防災会議を中心として、来るべき東海地震、東南海地震、南海地震で、どれだけの被害が出るかという被害想定を、専門家の方々に集まっていただいて、政府として被害想定を公表してきました。具体的には、東海地震が仮に単独で起きた場合は、死者が最大で9200人、全壊する建物が26万棟、東南海地震と南海地震が同時に起きると、死者が最大1万8000人、全壊する建物が36万棟という大きな被害になるということです。この3つがセットで起きますと、経済被害だけで81兆円。これは日本の毎年の国家予算に匹敵する、そういう大きな災害だということです。こういう被害想定を中央防災会議できちんと公表するというところまでは、昨年までにやりましたが、被害予想だけを発表するのでは、みなさんを不安にさせるだけですので、何もしなければ、今のままではこれだけの被害が起きるけれども、それを減らすための努力をどうしたらいいかということを、きちんと対策を練っていく必要があります。そこで、防災中央会議が強調したのは、被害想定の被害を減らすための努力目標を設定しようということでした。

どうしても今まで防災の目標と言いますと、「全力を尽くしますとか」「一生懸命頑張ります」というような、非常に抽象的な目標が多かったのですが、経済被害がこれだけですとか、あるいは死者はこれだけですと言った以上は、具体的にそれを減らす努力をするために、少し高めの努力目標、例えば何年間で被害を半分に減らすんだというようなことを謳い上げることにしました。そのためには、全省庁一丸となって、あるいは各自治体やいろいろな関係者が一丸となって取り組んでいこうということを、この白書では述べています。

東南海地震、南海地震、東海地震の被害が予測されるところでは、例えば住宅の耐震補強をするだけで、想定される死者の数が激減するわけですから、徹底的にそれを集中的にやっていこうとか、あるいは津波の被害が予想されるところは、情報伝達体制をきちんと、5年以内に整備するとか、そういう目標を掲げて、重点的にやっていくということを進めていく予定です。必ず来る巨大地震災害に対して、重点的に、効果の大きいところから手をつけて、なるべく減らす努力をするということを平常時からやっていくということが、私どもの防災行政の大きな転換点ということで、白書で高らかに謳っています。

これから皆さんに、この白書の内容をきちんとチェックしていただいて、「白書に書いてあるけれども、進んでいないじゃないか」と、厳しい批判をどんどん出していただければと思います。国民の皆さんに尻を叩いていただいて、どんどん防災行政を進めていくということが、大事なポイントではないかと思います。

被害の縮小は一人ひとりの努力から

災害は必ず起きるし、止めるわけにはいきませんが、そこで起きる被害というのは、自分たちの心がけ次第とか、日ごろの取り組みで、十分減らすことができます。「地震はどうせ起きるんだ」「起きたらどうしようもないんだ」という諦めが、一番いけないと思います。僕たち一人一人の力は、小さい力かもしれませんが、一人一人が努力することで、地震の被害を大きく減らすことができるんだという気持ちを、是非皆さん持っていただきたいと思います。また、行政に対しても、「僕たちはここまでやっているんだから、お前らもしっかりやれ」という声を、どんどん出していただければと思います。これを是非皆さんにお願いしたいと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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