1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報
  4. 防災インタビュー
  5. 災害に強い社会をつくる
  6. 楽しく儲かる震災対策
  1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報

防災インタビューVol.14

楽しく儲かる震災対策

放送月:2004年4月
公開月:2007年9月

安井 潤一郎 氏

NPO東京いのちのポータルサイト理事長、早稲田商店会長

子どもの安全、安心の町 早稲田

防災キャンプの様子1

よく、「早稲田っていろいろなことをやって、一体感があっていいね」と言われます。「うちの商店会は、あるにはあるけれど、なかなかそういう動きがないんだよ」という話をよく聞きますが、商店会は、やる気がないのではなく、何をしていいのか、わかっていないわけです。また、「みんなで力を合わせて」というところが間違いです。商店会なんてばらばらです。商店会を一体化しようと思うから間違うので、できる人が、できるときにできることをするというのが大切です。20軒の商店会も200軒の商店会も、我々は、動くのは5店舗だという認識があります。本当は3ですね。あの人にも声をかけようよ、あいつにも言おう。3人が、あの人にもこの人にもと言って5人が同調したら、何でもできる。それは実績としてあります。ですから、地元にお住まいの皆さんが、商店会を見捨てないで欲しい。うちの商店会は元気がない、やる気がないのではなくて、何をしていいのか分からないのと、何ができるのか分からない、そして何を望まれているのかが分からない、というのが多いと思います。その皆さんを、ほめながら、うまく持ち上げていくのが大切です。一番簡単なのは、ほめることです。

私たちのこういう活動を通じて、実は早稲田の街は、定住人口の増加が起こりました。地元の小学校、新宿区立戸塚第一小学校は、平成11年、全校児童数309でした。昨年春、なんと450を越えました。我々は商店会の活動で定住人口の増加を果たしたと言いましたら、新宿区役所は、商店会の活動でそんなことが起こるわけがないだろうと言われました。だったら何で増えたのか調べてみようかということになりました。うちの小学校、地元の小学校に、直近に統廃合はない。その直近の学校に子どもは増えていない。子どもが増えたのはあの学校だけです。それを新宿区がほめるから、東京都がほめる、東京都がほめるから国がほめる。街の大人たちはこうやってほめられればプライドが出ます。大人がプライドを持つというのは、我々の街づくりのコンセプトです。大人がプライドを持ったら、子どもは荒れません。うちの街には、夜コンビニの前でしゃがみこんで唾を吐いているような子は、1人もいません。大人が街を大切にしたら、子どもも街を大切にしだしたという良い例です。街を大切にするというのは人を大切にする、翻って自分自身を大切にすることなので、子どもたちは荒れないということです。うちの街から歩いて20分で、日本一の繁華街、歓楽街といわれる歌舞伎町に行きます。池袋、正確には東池袋ですが、ここにも歩いて行けます。歌舞伎町と東池袋、早稲田は、繁華街と繁華街に挟まった町ですが、ここ3年間、保護観察処分の子がいません。子どもが荒れないということは財産です。子どもの安心と安全が街の一番のテーマですから、その子どもをテーマにした街づくりが上手くいけば、人はここにどんどん引っ越してきます。

防災キャンプの様子2

利再来大明神(リサイクルだいみょうじん)

昨年12月31日に、お客さんがいっぱいきて昔は元気だった商店街に、またお客さんが来ることを願って「また再び来る」ということで「利再来大明神」を作りました。それは、早稲田の街のエコステーションの三号館、新目白通りに面したところにあります。お賽銭箱がありまして、その上にお社があって、その上にパソコンが載っています。そこにお参りの仕方が書いてあります。お賽銭を入れて、パンパンと柏手を打つと、この音にセンサーが反応して、扉が開いて中から大明神さんのご本尊がお姿を現すというものです。このご本尊のご利益が何かというと、「街の再生」です。たとえ家がつぶれても、死にさえしなければ、また街が再生できる。死なないための街づくり、これがテーマです。上のパソコンでは、我々の活動と同調している、日本中の商店街の今日が映ります。そしてこのパソコンの画面では、今日の早稲田の商店会のお勧め品が映ります。画面のところに合言葉が書いてあって、店のレジのところで、合言葉を言うと、お店で割引してくれるような、そういう合言葉サービスもあります。それ以外に、地元の小学校の運動会のお知らせ、保育園、幼稚園のバザーのお知らせ、敬老会の踊りの発表会のお知らせ、そういうのが映し出されている、いわゆる街のインフォメーションです。ただ、震度5、マグニチュード7以上になるとこれがガラッと変わって、この地域の緊急情報発信ステーションになるというのが、この利再来大明神さまのアイディアです。

エコステーション

場を作る活動

我々は商店会ですので、なかなかいろいろなことをやっている暇はありません。それなので、我々の商店会の活動は、場を作ることに特化するということを学習しました。この街で生まれて育って、ここで住んで商売をして、ここで子どもを育ててもらったので、いわばこの街に対して感謝するっていう気持ちを大事にして、この街を使って、皆さんいろんな楽しいことを、どうぞやってくださいというのが、我々の商店会の活動です。

我々、商店会の活動というのは、どれだけよそとネットワークを組んでいるかが大事なことだと思っています。そして、ネットワークを組むということは、いろいろ組織と連携をする、コラボレーションと言いますね。これの一番大切なのは、それぞれの組織は、組織として違うんだということを認識することです。行政と、市民運動と、アカデミックな組織と我々商店会と、組織が違うということは、入り口が違う。方向性だけを間違えずに、入り口が違うんだということをお互い認識したら、実はすばらしいネットワークができるということです。その中の、商店会としてのネットワーク作りの一番大切な部分は、実は、死なないための街づくりです。もっと言うと、「死んでたまるか」という思いを持つことです。実際の耐震補強工事をすることは、商店会ではできません。でも、商店会でできることは、「生きているほうが楽しいよ」と思えるコミュニティづくりです。それは我々商店会だからできることです。だから、自分たちのできることを、できるときに、できるように進めていこうとしています。今、早稲田の街は、「死んでたまるか、生きているほうがもっと楽しいぞ」思える、そんな街づくり、商店街づくりを基にした、震災対策、防災の動きになっているということです。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

会社概要 | 個人情報保護方針