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防災インタビューVol.18

災害大国「日本」 個々の防災意識の重要性

放送月:2007年6月
公開月:2008年1月

金谷 裕弘 氏

自治省消防庁防災課長

市町村との防災対策対応窓口として

今、私は総務省消防庁という国の役所の中で、防災課長という仕事をしております。防災課長というと非常に幅広い名前なのですが、主に消防、あるいは地方公共団体、市町村との連絡調整や、災害対応の窓口として全国的な調整といったことを主な役割とした仕事をしています。

国では総理を中心に、全体で防災対策に非常に力を入れてやっていますので、われわれもその一翼を担いながら、特に県や市町村の最前線で災害対応されている部署との窓口の役割といったところが一番大きな役割ということになります。

災害大国・日本の現状

日本は、残念ながら「災害大国」といわれていますが「まさにその名の通り」と言わざるを得ません。マグニチュード6以上の規模の大きな地震のうち、なんと世界の2割がこの狭い日本で起こっている状況です。

世界の災害に比較する日本の災害

また、風水害もあります。日本は台風の通り道にはなっているのですが、特に近年、多くなっています。通常だと毎年平均3個の台風が上陸しますが、平成16年あたりは10個の台風、しかも大型のものが上陸し、今まででは予想のつかないような進路・規模の災害が起こっています。さらに平成18年ごろですと、名前がつくような大雪もありました。また、皆さままだ記憶に新しいと思いますが、宮崎県の延岡とか北海道のサロマでは、竜巻も発生しています。最近の災害というのは、「大規模化、多様化、そして複雑化」、こういうふうにキャッチフレーズ的に言っていますが、いつどこで、どんな災害が起こっても不思議がないというような状況です。もともと日本は災害が多い国なのですが、それが最近さらにそういった状況になってきています。

加えて、東海、東南海・南海地震、あるいは首都直下地震を例に挙げるまでもなく、大規模地震が切迫しています。さらに従来、地震というものがあまり意識されていなかったような地域、例えば福岡県西方沖での地震や3月の能登半島の地震とか、従来はあまり地震が起こらないだろうと言われていたような所においても、大きな地震が起こっています。このような状況で、本当に大げさではなくて、日本というのはまさに、いつ、どこで、どんな地震、あるいは災害が起こっても不思議はないわけです。われわれは、そういう所に住んでいるのだということを認識し、そこにおいて、いかにわが身を守り、そして地域を守っていくか、家族の皆さん方の安心安全をどうやって守っていくか、そういうことをまず意識しながら生活していくことが必要であるというのが、今置かれている現状であろうと思います。

災害に対する備え

災害に対する備えとして、まず必要なことは「やはり日本には災害は起こる」ということを認識することです。災害が起こることを前提にして、その中でいかに身を守っていくか、それが一番の基本だろうと思います。過去に起こった災害に対して、その教訓を後世に生かすことの重要性が、常に叫ばれています。

皆さま方もご存じかもしれませんが、津波に対する教訓を表した「稲むらの火」という話がありますが、このような津波に対する対策の必要性などもいろいろ言われています。しかし残念ながら、われわれはよく、「のど元過ぎれば」ともいって、なかなかそういうものを後々の経験に生かしていないようにも思います。実際に行動に移していかれてないというのも、現実かなと思います。

例えば、ちょっと古い話ですが、平成16年、あるいは15年に宮城県沖での地震、あるいは紀伊半島沖で地震が発生して、津波警報が出されました。その時のアンケートを見てみると、例えば宮城県ですと、過去多くの津波災害を経験されている地域で「津波が危険だ」ということはご存じで、9割の人が危険だと感じていたそうです。ところが実際地震が起こったときに避難された方は、実はその四分の一ぐらいしかおられなかったということです。また紀伊半島沖の地震の際には、行政側の対応として42の市町村に津波警報を出しました。しかし実際住民に対して、行政側が逃げなさいと指示するような避難勧告指示をしたところは、実は42の市町村のうち12の市町村しかありませんでした。これはやはり、津波に対する意識とともに、津波がどのくらい危険かが伝わっていなかったということです。この時は、実際には大きな津波が来たわけではありませんでした。そういった中で、夜中だったというのもあるかもしれませんが、なかなか住民に避難を呼び掛けることができなかったということがあります。ただ、これにつきましては、昨年の11月あるいは今年の1月に、千島海溝アリューシャン列島などで大きな地震があった時は、津波警報が出た地域のほとんどすべての市町村が、避難勧告指示を出しました。

ただ実は、避難をしなさいと行政側が呼び掛けた際に、住民の皆さんがどういう行動を取られるかということも、もう1つ大きな課題になりました。16年の紀伊半島沖の地震では、先ほど12の市町村で避難勧告を住民の方に出しましたが、実際に対象となった方々が、どのくらい逃げられたかと言うと、実は対象となった方々の6%ぐらいしか避難されませんでした。北海道での津波警報でも避難指示勧告が出ましたが、実はそこでも避難をした方がそう多くはなく、1割ぐらいだったという状況です。これは非常に問題です。「津波が危ない」ということをご存じの方は非常に多いのですが、なかなか実際の行動には移さない。知識があって、それに対する意識があって、それが行動に結び付くというような対策が非常に重要だと感じました。

津波警報や避難勧告が出ると、住民の方には防災行政無線ですとか、その地域に巡回車を出したりして情報を流しますし、テレビでも当然そういうものを繰り返し放送します。その中でも、実際に海に見に行ったけれども、大して大きな波が来ていなかったので逃げなかった、あるいは避難の指示を出さなかったという状況もありました。津波も本当は1波目よりも2波目が大きいとか、あるいは何度も繰り返しくるとか、そういうことを知識としては分かっていながらも「大したことがないかな」と思ったら見に行ってしまうというような、最もやってはいけない行為を結果的にはやられた方もあった。それが実態だということだろうと思います。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。