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防災インタビューVol.18

災害大国「日本」 個々の防災意識の重要性

放送月:2007年6月
公開月:2008年1月

金谷 裕弘 氏

自治省消防庁防災課長

地域の防災力の要(1):自主防災組織

地域の住民の方々が連携して地域を守る組織を「自主防災組織」と言っていますが、こういったものを組織していくことの重要性が、阪神淡路大震災以降、国においても、またそれぞれの地域においても認識されてきまして、年々その構成比は高まっています。例えば阪神淡路大震災を経験された兵庫県では、90%以上の住民の方々が、そういった自主防災組織に参加されているという状況にあります。しかし全国的には10%、あるいはそれに満たないような地域が、残念ながら存在するのも事実です。自主防災組織の組織率は日本全体では60%強となっています。

やはりそういった組織としての力というものは、いざというときに誰が助けてくれるのか、あるいは誰を助けるのかということが、顔が見える関係で、お互いをよく知っており、普段の活動を行っているところに、1つの力の源泉があるのだと思います。

地域の防災力の要(2):消防団

(左)香川県丸亀市本島の林野火災(H14.8.20~)で活動する消防団/(右)福岡県西方沖を震源とする地震(H17.3.20)で活躍する消防団

もう1つの地域の防災力に「消防団」があります。消防署、消防本部の方々というのは、いわゆる公務員であり、職業として消防の仕事に就いておられますが、消防団の場合は、普段は会社員であるとか、あるいはお店をされていたりとか別の仕事を持たれながら、いざというときには消防、防災活動に参加される非常勤の特別職の公務員です。消防団の方々は、訓練を受けて行政とも連携しながら、普段は地域の中で、地域の方とともに生活しながら活動しています。地域を非常によくご存じの方々に中核になっていただくことに、非常に意義があります。

ただ、消防団の方々は実はどんどん数が減っていて、これは我々も非常に大変な問題だと思っています。消防団の方々をいかに増やしていくかということは、国においても地方においても、まさに地域防災、防災全体として非常に重要な課題となっているのが現状です。

消防団の方々は、いわゆる地域の住民の方で構成されているので、普段は別の仕事をされていて、いざというときに出動されます。実は、人数が減りましたと言っても、消防署の方々は15万人ぐらいですが、消防団の方々は全国で90万人おられます。そういった意味で言うと、動員力があります。特に大規模災害の時には、この動員力を生かして大活躍をしていただいています。例えば阪神淡路大震災の時には、延べ7万人以上の消防団の方々が出動されておりますし、16年の台風23号による豊岡などでの水害の際に、4万3千人近くの方々が活動しました。山火事や今回能登半島地震の際にも、多くの消防団の方々が活躍されています。

また、消防団の方は地域を非常によく知っておられるので、小さな災害であっても、すぐに対応できます。災害の時にも、ここにどんな方が住んでおられるか、そういった地域のことも、よく知っておられる。そういった意味でのきめ細かさと動員力が、活動の最大の特徴であると思っています。

(左上)台風14号(H17.9)による災害において、救出活動を行う消防団/(右上)昼夜を分かたず土砂崩れ災害における救助活動を行う消防団/(左下)女性消防団員による一人暮らしの高齢者宅の防火訪問/(右下)女性消防団員による救急救命講習

消防団の実情

消防団というのは、規律をもって、きちっと訓練を受けたプロフェッショナルな活動ができる組織であり、消防団の方は消防署職員のようにきちんと訓練を受けています。多いところでは年間50回の訓練を行っています。それが逆に負担になって、なかなか消防団に入りにくいということも聞いています。

神奈川県は実際、消防団の人数は1万9千人ぐらいおられます。もちろん大都市という特性がありますので、絶対的な人数は多いというわけではありませんが、相当の方々が活躍されていると思います。

消防団の方々はピークには200万人を超えていたという時期がありました。もちろんこれは常備の消防が十分でなかった時代であり、今は大規模災害を考えれば、もっともっと多くなければならないと思います。われわれは「100万人を当面の目標として」と言っているわけですが、実際全国で90万人を切ろうという状況にあります。最近の高齢化や少子化の影響もあり、お勤めに出られる方が多く、今の消防団全体の中でも7割がお勤めされている方々です。なかなか時間の自由が利かない。あるいは土曜・日曜の訓練が大変だということで、参加しにくい状況があるのが現状です。

消防団・消防団員の現状
消防団協力事業所表示制度

われわれも、何とかしてそういった方々にも消防団に参加していただこうということで、企業の皆さんに呼び掛けています。消防団というのは非常に地域貢献されており、消防団を応援することで、会社としても地域貢献にご協力いただくことが可能です。そのため消防団員に対して、雇用の面での便宜を図っていただくとか、あるいは活動面での便宜を図っていただくことをお願いしています。協力いただいた事業所に対しては、地域全体で表彰するような仕組みも現在考えています。それは、消防団協力事業所の表示制度というもので、松本零士さんを委員長とした委員会で、マークも作っています。実は全国で制度がスタートしていまして、既に100以上の団体・企業の方々にも、そういったマークを交付しています。地域全体で、企業の皆さま方と一緒になって消防団を盛り立てていくことも非常に重要なことだということで、われわれは現在、それを推進しています。

地域の企業の協力

地域の防災力、地震への備えということでお話ししてきましたが、地域の防災力としては、やはり地域の企業の存在というのは欠くことができないだろうと思います。地域の企業というのは地域住民の一員であり、それは地域としても受け入れています。地域と企業、まさに一体としての活動が、地域の防災には非常に重要です。実際に多くの場合、企業には施設、組織、人的・物的資源があります。例えば、広い敷地を持たれていたり、球場などを持っているところは、災害時には避難場所として地域に提供したり、資機材や医療的な施設があるところは、それを提供したり、あるいは企業自体として、ボランティア的な災害の対応をするということもできるでしょう。そういった意味で、企業の方々が地域に開かれた企業として、また地域と一体となった企業として、住民の一員として活躍していただくということは、地域の防災力にとって欠くことができないことだと思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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