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防災インタビューVol.18

災害大国「日本」 個々の防災意識の重要性

放送月:2007年6月
公開月:2008年1月

金谷 裕弘 氏

自治省消防庁防災課長

緊急地震速報

最近マスコミでもよく話が出ているので、ご存じの方もおられるかもしれませんが、緊急地震速報についてお話しします。地震が発生すると、大きな揺れが来る前に小さな揺れが早く波として伝わってきます。それを早めに察知して、地震の際に、大きく揺れる前にその情報を流す、これが緊急地震速報です。ですから、いわゆる予報・予想ではなくて、実際に起こった地震を、大きな揺れが来る前にお知らせするということです。ですから逆に言えば、震源地のすぐ近くでは、実は残念ながら間に合わないケースが多いということもありますし、やはり地震が起こってすぐというのは、震源地やマグニチュードが正確に分からないので、震度1ぐらいの誤差が出るようなケースもあるというわけです。ただ、そういった技術的な限界はありますが、大きな揺れが来る前に、たとえ5秒でも1秒でも早く分かれば、それに対する備えができるかもしれないし、それを有効に活用することによって、地震の被害を軽減するのに大きく役立つだろうということで、今の政府として、そういったことを一般の国民の皆さんにもお伝えできるようにしたいと頑張っています。ただ、やはりそのためには、今申し上げたような限界ですとか、逆に数秒間でどの程度の備えができるかという勘所というものを、住民の皆さんに広く十分に知っていただく必要もあります。それでないと逆に混乱を招く危険性もありますので、現在、気象庁を中心として政府でも、一生懸命広報をしています。住民の皆さんもそういったことをぜひ、ご認識いただければと思います。

今、放送関係の方も、緊急地震速報については、いろいろ検討されていると聞いています。ただ、地震が起こってから速報を出すまでに、やはり少し時間がかかります。そしてまた、それを放送や防災無線などで流すにしても、少しタイムラグが出てきますから、直下型の地震などですと、流れる前に大きな揺れが来てしまうということも場合によってはあり得ます。そのことも十分認識しながらやっていく必要があると思います。

防災まちづくり大賞

災害時には地域の防災活動が非常に重要だということをお話ししてきましたが、この地域の自主防災活動をより応援するために「防災まちづくり大賞」というものが、阪神淡路大震災を契機として生まれました。まさに地域のまちづくり、あるいは地域ぐるみでその地域を守っていくことの重要さを訴え、優れた活動を表彰するということで、自主防災活動が全国に広がることを期待して始まりました。「それぞれの地域でこんなに頑張っている」ということを知っていただくことが、それぞれの地域での防災活動の励みにもなるだろうということで、回を重ねて今、11回という状況になっております。だんだんいろいろな取り組みが出てきて、毎年選ぶのが大変なくらい素晴らしいものが出てきています。

自主防災活動の中には、いろいろな活動がありますが、例えば自主防災会などを中心とした取り組みでは、昨年、総務大臣賞を受けられた「加古川のグリーンシティの防災会」というのがあります。こちらはマンションの災害対策で、一言で言うと地域行事や住民の活動、あらゆるツール、あらゆる手段を使って、楽しく防災活動をやろうというものです。炊き出し訓練で、一緒に豚汁を作って食べたり、井戸を掘って、いざというときに地域に水を供給したり、あるいは救助の手伝いができる人、助けてあげたい人を事前に登録したり、「私はこんなことができます」というノウハウを登録したり、あらゆる活動を防災に結び付けたような活動をされています。あるいは前回、消防庁長官賞を取られた国分寺の「市民防災推進会」というのがありますが、これは昭和59年ごろに市の主催した防災まちづくり学校を終了された方々が、そのつながりをぜひ続けていこうということで、自主的に訓練とか、あるいは地域づくりの見学会とか、息の長い取り組みとして活動を広げてこられています。

また、企業とのかかわりということも先ほどお話ししましたが、東京駅の周辺の地域の企業で「防災組織の隣組」というものをつくられて、協議会をつくったり、帰宅困難者の対策の訓練や、外国人の方々を対象とした訓練を行ったり、防災のための活動に地域の企業として取り組んでいるところもあります。この活動は今年の1月に総務大臣賞を受賞しましたが、こういった企業としての地域での取り組みが全国に広がっていけばいいと、私どもは期待しています。

この「防災まちづくり大賞」にぜひ、皆さんにどんどん応募いただきたいと思います。応募いただくことがきっかけにもなり、励みにもなり、そしてまた、そのこと自体が全国の自主防災組織のすそ野を広げる、幅広い取り組みにつながっていきますから、ぜひ皆さんの積極的な応募をお待ちしております。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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