1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報
  4. 防災インタビュー
  5. 行政の危機管理
  6. 災害大国「日本」 個々の防災意識の重要性
  1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報

防災インタビューVol.18

災害大国「日本」 個々の防災意識の重要性

放送月:2007年6月
公開月:2008年1月

金谷 裕弘 氏

自治省消防庁防災課長

今後懸念される地震について

現在、日本はどこで地震が起こってもおかしくない状況ですが、特に東海、東南海・南海地震、あるいは日本海溝・千島海溝、いわゆるプレートが沈み込んでいるような所に起きる、いわゆるプレート型の地震というのが、一定の間隔で必ず起きるということが歴史上でも分かっています。中でも特に今、発生が一番懸念されているのが東海地震です。これについては、いつ起こってもおかしくない状況です。というのは、1944年、1946年に昭和の東南海地震、南海地震というのが起こりましたが、その時に東海地震は起こっていないと言われていまして、そういった意味で言うと、長い間、東海地震はエネルギーが放出されていないわけで、本当にいつ起こってもおかしくないと言われています。東南海・南海地震につきましても、これらも既に発生から60年以上過ぎているわけですので、これらについても、この30年以内には60%、あるいは70%の確率で起こるだろうと言われています。

特に関東地方では、いわゆる首都直下地震の逼迫性ということが言われています。ただ、首都直下型の関東大震災クラス、マグニチュードで言うと8から9クラスといった地震は、実はまだしばらくは来ない。100年か150年か、そういった先だろうとは言われています。ただ、それで安心してはいけなくて、実はこの前の関東大震災が起こってから既に100年近くたとうとしていますが、そういった地震が起こってからある程度たってくると、だんだんと地震の頻発期になってきます。ですから今、少なくともマグニチュード8とか9というのは起こらなくとも、マグニチュード7クラスの地震が懸念されています。これがいわゆる首都直下地震と言われていまして、これはかなりの確率で、30年以内には70%ぐらいの確率で起こるだろうと言われています。

よく震度とマグニチュードの関係は、なかなか分かりにくいと言われますが、近くで大きな地震が起きるとよく揺れるということで、断層型の直下型の地震、例えば中越地震ですとか阪神淡路大震災ですと、マグニチュードが7あたりであっても、揺れ方としては震度7とか6の強とか、非常に大きな揺れになるわけです。範囲は狭いですが、局地的には非常に大きな地震が起こるということで、その地域においては甚大な影響を与えることになります。そういった地震の発生が懸念されているということになります。

あと、日本海溝、千島海溝におきましても、マグニチュード8ぐらいの地震がかなり頻発しています。特に宮城県沖地震と言われるものにつきましては、30年以内には99%の確率で起こると言われています。実は一昨年の8月16日に宮城県の沖で地震がありまして、その時に最大震度6弱というのを記録したのですが、これはいわゆる「推本」の見解では、いわゆる宮城県沖地震ではないということで、99%の可能性はいまだに残っています。このように日本では、本当に大規模な地震が目の前の問題として存在している状況です。

発生が懸念される主な大規模地震

命を守るために

まず国のほうでは、そういった大きな地震が起こると、その被害が甚大なものになるということを、いわゆる被害想定という中で予測しています。ですから、そういった地震が起こるということを前提に、その被害をいかに減らしていくかということで、その数値目標を定めた地震防災戦略というものを定めています。

例えば、住宅の耐震化などがそうです。今、全国的には住宅の耐震化の割合は75%ですが、それを90%に上げる、あるいは建物の不燃化を行うなど、危険個所の解消をしていくことで死者、あるいは経済被害を減らしていこうという戦略を、マクロベースで作っています。それに応じて各県、市町村においても、それぞれ努力していただいています。

阪神淡路大震災の時に多くの方が亡くなられましたが、8割から9割の方が、いわゆる圧死でした。建物の崩壊に伴うもの、あるいは家具の転倒に伴うような、そういった形での亡くなり方をされているということ、これが事実です。逆に言えば、まず自らの命を守るということでは、住宅の耐震化をすることが非常に重要だろうと思っております。

昭和56年に建築基準法が改正されまして、それ以降のものについては、耐震化はなされているという前提になっておりますが、地盤の問題もあります。特にそれ以前の建物は、ぜひ耐震診断を受けて、耐震化を進めていただく必要があると思います。また、けっこう多くの方が、家具の転倒などでけがをされていることが、統計から明らかになっています。まずは家具の転倒防止の補強策をしっかりやっていただくことで、まず自らが身の安全を図ることが大切です。それで初めて家族を守り、地域を守っていくということができるのだと思います。まずその点を、特に視聴者の皆さんには強調させていただきたいと思います。

地域の防災力の活用

東京駅周辺防災隣組の取り組み/外国人対象の帰宅困難者避難訓練、QRコードを活用した情報収集

地域の防災力の基本は、まずは自らの身は自らが守るということです。そして、地域は地域で守るということです。実は、阪神淡路大震災の時に限界を思い知らされましたが、大規模災害の時というのは行政がどんなに頑張っても、残念ながら、たとえ200%の力を出したとしても、すべての人の救助、あるいはすべての火災などに対応することができません。皆さんご存じの通り、阪神淡路大震災の時は、地域の方々によって助けられたという人が非常に多かった。8割、9割の方々は、そういった方々に助けられたということでした。こういったことから、まさに地域を地域で守る、自らの身は自らが守るということが重要であるということが再度認識されました。

そういった中で、いわゆる地域全体で地域を守っていくという自主防災組織がクローズアップされてまいりました。また、それとともに地域の方々の自発的な活動ということでの、ボランティア活動もそうです。こういった、いわゆるすそ野の広い形で地域を守っていくということが、非常に重要だということが意識されました。それが地域を守る力、「地域の防災力」です。それはまさに住民一人ひとりのパワーでありますが、しかし一人ひとりではなく一緒になって活躍するということが、地域の防災力の源泉だろうと思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

会社概要 | 個人情報保護方針