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防災インタビューVol.20

来るべき災害に負けないように、足下を見て我が身を正そう!

放送月:2007年8月
公開月:2008年2月

福和 伸夫 氏

名古屋大学大学院教授

プロフィール

年齢は50歳で生粋の名古屋っ子です。専門は建築の構造です。現在は建築の構造を学生に教えて、お給料をもらっています。大学院を修了した後、10年間ゼネコンに勤めていましたので、社会の仕組みを勉強することができました。会社員時代の10年間には、原子力発電施設や大規模建物の設計支援などの仕事をしていました。その間に女房と結婚をしました。女房の実家は田園都市線の東、新玉川線の三軒茶屋です。大学に移ったときに、女房ともども名古屋に移動しました。今の大学に勤めて17年になります。

わが家は三世代の大家族です。このため、災害弱者問題は身近な問題です。脳梗塞で目が見えなくなり半身不随になった父親を8年前に看取り、今は、母親がよいよいの状態です。我が女房は、弱者対応のために、ずっと東京の実家に帰れずにいます。子供も一番上が高校生になりましたので、三世代で助け合う災害に強い家族になっています。ちなみに、私の両親はいずれも十代以上愛知に住んでいましたので、一族郎党、大変な人数の親戚が、地元にいます。

防災の基本は、自分の知っている人たちを守り抜くことです。もしも僕が名古屋生まれではなく、そして名古屋に長く住んでいなければ、きっとこんなに一生懸命防災のことはしなかったと思います。

地震と電気

私は、もともとは建築の人間です。会社員時代は、最近話題の原子力発電施設の耐震解析の仕事をしていましたから、今度の中越沖の地震はとても気になりました。

皆さんが今回の原子力発電所での出来事についてどう思われているか分からないですけれども、建物は本当に頑張りました。原子力発電施設そのものは、少し被害を受けた建物もありましたが、一番大事な原子炉を守っている建物自身には、全く被害が見られませんでした。ほぼ完ぺきに、冷やす、閉じこめる、止めるという三原則を守ることができました。ただし、機器の問題や人間の問題など、いろいろ課題も残りました。

発電所の位置(緑は原子力、赤は火力、青は水力)

原子力発電所については放射性物質という危険物を持っているので、その安全性を確保するために、みな、必死になって頑張っていますから、本当に強くできていると思うのですが、僕たちの生活で使っているのは原子力発電だけではありません。火力発電の方をより多く使っています。火力発電所の建物は原子力発電所の建物ほど強くありませんから、もしも東京や静岡、名古屋で強い揺れがあって、火力発電所が同時に被害を受けたとしたら、柏崎刈羽の7つの発電所よりも、もっとたくさん発電が止まってしまいます。これは僕たちの国にとっては、とても大変なことにです。

地震で被害を受けた後に、電気はどれくらいで回復すると思いますか? もし発電所まで壊れてしまったとしたら、なかなか電気はやってきません。普段当たり前のように使っているものが無くなったときのことを想像して、日ごろの備えをしておくということも、大事です。

森山家の防災診断

それでは、番組の進行役の森山さんのお宅の防災度チェックをしてみることにしましょう。森山さんのご実家は高津区梶ケ谷、梶が谷駅のすぐ近くだそうです。この地名ですが、不思議な地名だと思いませんか? 区には津という名前が付いていて、谷という地名が付いていますよね。高津には「高」と「津」という名前が付いているので、昔は丘のような高台で水に近い場所だったのかも知れません。梶が谷なので、丘陵の中に有った谷川の周辺にお宅があるのでしょうか。ということは、住んでいる場所の地盤は意外とよくないかもしれません。

ご実家の建物は30年前に建てられた木造2階建ての住宅ということですが、耐震診断を受けていらっしゃらないようですね。防災番組の担当者としては、家の耐震診断は率先してやらないといけないですね。自分の住んでいる家が安全かどうかが分かっていないようでは、対策の打ちようがありません。特に耐震診断については、横浜市では全国で最も手厚い補助制度があります。すぐにでも耐震診断を受けてください。ラジオを聞いていらっしゃる方に、ちゃんと約束をしていただいて、その結果どういう成績だったかも皆さんに披露ください。

耐震診断や耐震補強についてはお金も掛かりますが、家具固定にはお金は殆どかかりません。森山さんのお宅は家具の固定はしてありますか? 人が寝ている部屋には倒れる物は一切置いていないということですが、台所の冷蔵庫はどうですか? 森山さんのお宅では冷蔵庫は台所の一番奥にあるので倒れてもよいとのことでしたが、多くの家は出口の所に冷蔵庫があるので、それが倒れると台所からの出口を失ってしまいます。食器棚が作り付けでも、観音開きの扉からお皿やコップが一度に飛び出してきます。気を付けていただきたいと思います。

森山さんは5階建てのマンションの5階に住んでいらっしゃるそうですが、上の方の階は、地震の時には大変です。建物は地面に比べて良く揺れます。1階の揺れに比べると建物の5階の揺れは倍以上違うと思います。もし地盤がよくない土地に5階建てのマンションを造ったとしたら、5階は大変な揺れになります。多分、地面が震度6でも、部屋の中は震度7になってしまいます。ですので、建物が壊れないにしても、きちんと家具などを固定しておかないと、いろいろな物が飛ぶということです。普段5階まで行くときにはエレベーターを使われるそうですが、地震の時にはどうなるでしょうか? 東京に何十万台ものエレベーターがあります。大地震の時に、もしこれらのエレベーターが途中で止まったとしたら、すぐには助けられません。僕は常にビニール袋を持っています。これは、いざというときのトイレにもなります。普段こんなもの1つ持っているかどうかだけで、随分違います。

このように見てみると、森山家の防災対策については、随分良くできていますが、もう少し要チェックかもしれません。ぜひすぐにチェックしてみてください。今日やらない人は明日はきっとやりません。防災での基本は「思い立ったら即その場で実行」です。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。