1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報
  4. 防災インタビュー
  5. まちづくりと建築土木
  6. 「次の世代」に伝える耐震と防災の活動
  1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報

防災インタビューVol.25

「次の世代」に伝える耐震と防災の活動

放送月:2007年12月
公開月:2008年7月

小田 順子 氏

東京いのちのポータルサイト理事

若い人たちに伝わる活動を

神戸の「人と防災未来センター」というところで、阪神淡路大震災の再現映像を作っていますが、そのプロモーション用の短い映像を私たちに提供していただきました。それはものすごくリアルに激震を伝えるような映像になっていますが、それをうちの息子たちにも見せたところ、息子たちは初めて地震が怖いものだということを実感したようで、耐震補強したついでに、きちんと家具を留めたり、重い物は下に置いて倒れにくくするとか、そういうことをせっせとやるようになったのです。

何も言わないのに勝手にやっていたので「これは面白いな」と思いまして、映像などの、若い人たちに伝わるような物を使って、息子のような年代の若い人たちにも伝えていきたいという思いを持ち始め、昨年12月に若い人向けのイベントをやりました。

ヒルズイベント

これは、六本木ヒルズのハリウッドビューティープラザというハリウッド美容専門学校の体育館をお借りして、若い人向けに皆でゲームをやるというような大きなイベントでした。このイベントではサバイバルゲームという形で、勝ち抜いた人、優勝者はペアでハワイに行けるというものでしたので、若い人たちが来てくれるのではないかということでやりました。防災の話というのは机に向かってジーッと聞いていると、どうしても眠くなりますし、退屈してきてしまいます。そこでクイズを出して、クイズの答えは2つのうちから選んで、Aだと思う人はAのエリアに走る、Bだと思う人はBのエリアに走る。大移動をして正解者は残ってもらい、不正解者は退場してもらうということを繰り返し、最後に残った人はハワイに行けるというイベントを行いました。その中で若い人たちはクイズの中身は実は防災のクイズなので、それに答えるということで一生懸命考えるのです。先生の話は多分聞いていないと思うのですが、クイズを出されると、ハワイ旅行に行きたいので一生懸命考える。そこが狙いだったわけです。

当日上映された「Survival Game in 六本木」

防災クイズ

ここで幾つか防災クイズを一緒に考えてみたいと思います。

Q1:首都直下型地震が今後30年間に来る確率と、ジャンボ宝くじで100万円以上当たる確率、これはどちらが高いでしょうか。

A1:正解は地震。地震が来る確率は70%、ジャンボ宝くじのほうは年4回、20枚ずつ買った場合で100万円当たる確率、なんとたったの0.3%です。ちなみに今後、火事などで死傷する確率というのが30年以内だと0.2%、それから交通事故で死亡する確率も0.2%、交通事故でけがをする確率は20%なんですね。これに引き換え、30年間で大地震が来る確率、首都直下型地震ですと70%、東海地震ですと87%です。

この辺のところを言葉で説明してしまうと、聞いているだけだとつまらないですが、クイズにすると若い人たちも一生懸命考えます。

Q2:お鍋とか煮込み料理がおいしい季節になってきました。冬の夕方に自宅の台所で煮物をしているとします。その時に震度7の大地震が起こりました。その時とるべき行動は、AとBどちらでしょうか。
A、コンロの火を消す。
B、とにかく我が身を守る。

A2:正解はBです。しかし、Aのコンロの火を消す、を選ぶ方も非常に多かったです。六本木ヒルズでやったイベントの時も、ここで半分ぐらいが脱落しました。というのは、東京の方は関東大震災の記憶があるので、どうしても「地震だ、火を消せ」という発想が植え付けられているようです。実際、今はガスのマイコンメーターは、震度5以上の揺れを感知すれば自動的に火を止めてくれるそうです。慌てて火を消しに行って、そこで天ぷら油をかぶってしまったり、逆にけがをするケースが多いので、火を消すことよりも、まずは丈夫なテーブルの下にもぐって身を守ることが大切です。火は揺れが収まってから消せばいいですし、たとえ火事になっても自分が生きていれば、そこで火は消すことができます。

そういう話を若者にすると、なかなか面白がってくれました。一つ一つ、これはこうして、これはこうしてと説明するよりも、自分でその場でイメージしてもらって、取るべき行動をあらかじめ考えておく必要があります。そうしないと実際にはパニックになってしまって、何もできないこともあります。

今回のイベントでも若い人たちに防災館に一緒に行ってもらって、起震台に乗ってもらって、阪神淡路の揺れを体験するということもしてもらいましたが大変でした。絶叫マシンに乗っているような感じでした。

Q3:阪神淡路大震災で亡くなった人が多いのはどちらでしょうか。
A、建物の下敷き。
B、火災。

A3:正解はA建物の下敷きです。

これも目黒先生が提供してくださったものですが、阪神淡路大震災で亡くなった方は、実に80%以上が建物に押しつぶされたり、家具が飛んできたりということが原因で亡くなっているというデータがあるのです。そこから考えると、先週もお話ししましたが「地震だ火を消せ!」それは正しいとは言い切れないということなのです。その時の風速や気候の条件によってもいろいろ違うとは思いますが、阪神淡路大震災の際には、その延焼速度、燃え広がる速度というのが大体時速22メートルから26メートルぐらいだったそうなんです。これは1分間に30センチから40センチなのです。そうすると、歩いてでも逃げ切れます。逃げ切れずに火事で亡くなった方がいらっしゃるということは、実はその前に建物の下敷きになっていて、逃げるに逃げ切れなかったとか、既に亡くなられていたと考えられるそうなんです。

こういったデータは私たちは覚えてはいられませんし、先生のお話を聞いても忘れてしまいます。ただデータを示して伝えないと、なかなかほかの人に伝わらないというのもあります。そこで私たちは「これは」と思ったデータを集めて、あるいはクイズ形式にして、CDロムに入れて作ってあります。自分が伝えたい人、家族でもいいですし、会社のお友達でもいいですし、お話をするときに、このCDロムからパワーポイントを立ち上げてお話をする。これを1人が2人に、2人がまた2人ずつに、どんどん、どんどん伝えていってほしいという思いを込めて、知識がなくても説法ができるという「CD説法師」と呼ばれるコンテンツをつくっています。このCDは、基本的に東京いのちのポータルサイトの会員の方や、イベントに協力していただいたときにプレゼントという形で差し上げるもので、非売品になっています。

Q4:建築確認が1981年6月以降であれば、日本の建物は震度6でも命が助かる可能性はかなり高い。これはイエスでしょうか、ノーでしょうか。

A4:イエスです。1981年、昭和56年6月というところがポイントです。まんざらこの日にちだけでは区切れないところも出てきてしまっていますけれども、1つの基準にはなります。私も物件を見るときには、建築基準法が変わった後かどうかをまず最初に見ています。

Q5:阪神淡路大震災において、亡くなった人が多いのは、どちらでしょうか。
A、20歳から24歳。
B、45歳から49歳。

A5:正解はAです。これは、若い人たちだと大丈夫なんじゃないかと思ってしまう方もいらっしゃるので、引っ掛かりやすいクイズなのです。やはり亡くなった方を年齢別に見ると、お年寄りが多いのですが、20歳から24歳、ここが何かボンと多くなっているのです。これがどういうことだろうと思いますが、専門家の方に言わせると、恐らく被災地に大学が集中していたということで、木造の安いアパートに住んでいた大学生がたくさん亡くなったのではないかということです。

お年寄りと若者に犠牲が集中した

私の場合は、とにかく防災を考えだした動機が息子なので、このデータを聞いてしまうと、居ても立ってもいられなくなってしまいます。お母さんたちにしてみれば、せっかく20歳まで育てて、希望の大学に入って下宿して、そこで命を落とされたら、やはりたまらないと思います。来年から東京の大学に入るという方もいらっしゃると思いますので、大学生本人と大学生の住む所を考える親御さんと両方の面から、この辺を認識して考えていただきたいと思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

会社概要 | 個人情報保護方針