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防災インタビューVol.26

人と環境に優しい「暮らしの中の防災」

放送月:2008年1月
公開月:2008年8月

福井 義幸 氏

平塚・暮らしと耐震協議会 副理事長

任意団体からNPO法人へ

「平塚耐震補強推進協議会」は、あくまでも任意団体ですが、実績を上げてきたということで、町ぐるみの取り組みなのでNPO法人化しようという話になりました。それでNPO法人「平塚・暮らしと耐震協議会」というのが出来上がったわけです。

その活動としては、今まで通り耐震補強を進めようというのはもちろんあるのですが、法人格を取ったときに、もっと公益性を高めなければいけないし、もっと命と財産と暮らしを守るという最小限の基本理念を実現するために、耐震補強を推進する協議会から、今度は暮らしを推進する協議会に変わろうという大きな転換があり、NPO法人「平塚・暮らしと耐震協議会」という名前になりました。

第1回耐震グランプリ受賞

加圧実験

この協議会は法人格を持ちましたので、今度は町から全国へ活動を広げていこうということになりました。そこで今までいろいろな取り組みをやっているので、その今までやってきた内容と、これからやろうとする内容を「東京いのちのポータルサイト」が主催する第1回耐震グランプリに応募しました。すると、そこでなんと優勝しまして、それが結果的に内閣総理大臣賞に結び付いたということです。これはすごくありがたいことでしたね。大きな信頼をもらったからこそ、もっとやらないといけないということで、皆の士気も高まりました。

これで任意団体から、法人格を持ったNPO法人になったことで、その活動に企業も入ってきたり、行政も一緒に共同作業ができるようになったり、全国にも行けるようにもなり、ほかの団体とも連携が取りやすくなるというようなこともあるので、そういったところをプラス思考で考えながら、自分たちと本当に分かち合えるところと、少しずつつながりを広げていける基盤ができてきたということは感じています。

防災は点から面へ

「平塚暮らしと耐震協議会」のキーマンは、実際は数人です。その数人の思いに共感した人たちが、その周りにたくさんいらっしゃるというような構図なのです。平塚で法人格を取る前に、キーマン3人が防災をやろうということで志し、まずは耐震補強から始めようということで入ったわけですが、耐震補強は点でしかできませんでした。点と言いますと、1軒1軒バラバラでしか耐震補強ができないということです。実際は1軒やったところで、その周りの所がつぶれてしまった、壊れてしまったら、1軒やったとしてもあまり意味がないことなので、面的にやらないと意味がないことですので、それは今でも課題になっています。点は1軒1軒。面というのは地域ですが、地域でも大きい、小さいがあります。小さな地域、言ってみれば大きな道路に囲まれた1区画でも地域です。その中が全部耐震補強できたら、こんな安全なことはありません。

小さな地域であっても、その地域の全部を耐震補強しようと思ったら、これはそんなに簡単なことではありません。それを少しずつ進めていくには、どういった流れをつくったらいいのかを考えて始めたのが「家具の固定」です。我々がそこに行って「こういうふうにしたほうがいいですよ」とか「何だったら手伝いますよ」ということでアドバイスをしています。そんなにお金も掛からないようなことで、地震が来たときにどういうふうにすればいいかについて考えて目覚めてくれて、いずれ最終的にはその一区画の全員が、家具の固定も含めて耐震補強までやってくれたとしたら、防災としてのこんなにいいモデルはないと思います。今、そのような働き掛けに取り掛かっている最中です。

家具が耐震壁に

家具の固定も千差万別

家具の固定にもいろいろありますし、1軒1軒状況も違います。家具の大きさから、中に入れているものから、家の形も生活スタイルも全部違います。そこに暮らしというものがあるわけです。暮らしというのはとても大切ですので、我々の法人の名前に「暮らし」という言葉を入れています。

あまりお金を掛けずに、暮らしに合った家具の固定をしていく必要がありますが、よく東大の目黒先生の話の中にも出てきますが、家具を固定して倒れにくくするためには、天井と家具の間に詰め物をすればいいという話があります。僕が考えているのは、耐震補強で大工さんが使った廃材を使って家具の上に枠を組んであげればいいということです。デザイン的によくなければ、周りにカーテンをしてあげればいいし、カーテンは自分の好みで作ればいいと思います。そうすれば家具の固定をするための材料費はタダです。または家具と天井の間にフレームを組んで固定する方法もあります。フレームを組むための木材も大工さんたちの仕事から出た廃材を活用することができます。

なかなか自分ではできない方も多いと思いますので、そういうところには、我々のNPOに所属している工事部会の人たちがお手伝いに行くと言っていますので、本当に安く家具の固定ができます。市販のものもありますが、結構高いですし、強度が保証されているかどうかもなかなか分かりません。それならば、その家に合わせたもの、その家具に合わせたものを実際に手作りで作ってもらうほうがいいと思います。ぜひともやらせてもらいたいと思っています。なぜかというと、補強をしてもらって喜んでいる方たちの笑顔を見たいからです。喜んでいただける顔を見ることで、こちらもまた力が出てきます。

改修事例

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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