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防災インタビューVol.26

人と環境に優しい「暮らしの中の防災」

放送月:2008年1月
公開月:2008年8月

福井 義幸 氏

平塚・暮らしと耐震協議会 副理事長

暮らしの中の家具固定のアイデア

家具の固定について考えてみると、地震の揺れに強いのがコーナー家具です。壁というのは斜めには揺れませんので、実際に地震が来たときに三角コーナーにある家具というのは非常に倒れづらいのです。また、それと同時にコーナー家具を使うと、部屋も広くなります。僕の家は三角コーナーの家具にはテレビも入っています。この家具には引き出しあり、ガラスの扉もついています。家具は倒れにくいけれど、中のものも飛び出しては困るので、ガラスだったらフィルムを貼ったりすることもできますし、僕のところは取っ手がありますから、この取っ手の中にコの字をした棒を1本入れています。これで全然開かなくなります。そして下の方に引き出しが3段ぐらいあるのですが、引き出しの引き手にゴムのバンドを付けています。これで開くことはありません。そして、三角コーナーであっても固定すればもっと安心です。わざわざ道具を買いに行かなくても、身近にある道具で家具を固定することは可能です。

暮らしの中で「これが倒れてきたらどうしよう」とか「倒れないために何か良い物ないかな」と考えたら、ひょっとしたら男性よりも女性のほうがよくそういうものを知っていると思います。なぜかというと女性は暮らしの中でいろいろな物を使っていますし、男はなかなか買い物に行かないけれど、主婦は買い物に行っています。生活に関するすべての物を買いに行きますので、すべての物を知っているということだといっても間違いがないと思います。男は頭の中で考えていますので、実際に見ても「どうやって使うんだ?」と思うだけで、能書きだけになっています。実際に良いアイデアを持っているのは、やはり暮らしをしている女性だと思います。僕もそういうところからいっぱい学びたいと思っています。これは実際に暮らしをしている女性の力を借りないと、いろいろな発案も出てこないですし、なんといってもお金が掛かりますので難しいです。

家具の固定について考えてみただけでもいろいろあります。その中で「暮らし」というものを考えた場合の耐震補強というのも数々あります。例えば、端材で耐震補強ができれば捨てるものがなくなるわけですから、環境にもいいと思います。

環境にやさしいワイヤーでの耐震補強

ワイヤーでの耐震補強は通す所に穴を空けるだけで通っていくので、壊す必要がありません。床に入るのも、床下点検口と言いまして、穴を空けて、その穴を空けたものをまた元に戻せばいいというわけで、捨てるものがありません。解体費が掛からないし、廃棄処分品がいらないから安くなるわけです。今後、格安工法みたいなものがどんどん出てくると思います。この際、皆さんにいろいろ考えてもらって、金物で固定するというよりも、もっとほかの暮らしの中にあるようなもので補強ができる可能性は十分あるので、いろいろ考えてもらいたいというのが僕の願いです。

理想的な耐震補強

皮やひものようなもののほうが家具固定には役に立ちます。金物自体は硬いし、木は基本的には軟らかいです。ですので、大きな力が加わると金物のほうが強いですから、金物のほうが飛んでしまうことになります。家具転倒留めするのには、金属のほうがいいだろうと素人は思ってしまいますが、木に追随するものといったら、ひもとか強いゴムとか、そういったもののほうが有効になるかと思います。自然にあるものを自然に使う、そうすると環境にもやさしくなります。

住生活基本法というのが2006年10月に施行されましたが、その中でまず第1に重要なのが耐震補強、家を丈夫にしなさいということです。2番目が何かというと、バリアフリーです。年を取っても、体が悪くなっても、健康に暮らせるようなバリアフリーな建物を造りなさいということです。もう1つは、環境にやさしい省エネであることです。地球温暖化対策として省エネを考えたときには、この3つすべてが絡んできます。基本的には自然と共生する。自然を大切にしながら快適な住まいを造る。その中で安全に、ではなく、安心して暮らせる。そういう環境をつくってあげなければいけないと僕は思っています。

そのために、やはり今は家具の固定から入って、耐震補強の普及に努めて、その中にバリアフリーがあって、なおかつさわやかな風が入ってくる、四季が分かるような住環境が大切だと思います。また、自分の家の中の環境も重要です。例えば、家の中から外の花が見えるとか、四季折々の風が入ってくるとか、そういったものがあると心豊かになり、犯罪も少なくなって、非常に良い環境のまちづくりになると思っています。ぜひその辺を皆さん分かっていただければ、ありがたいです。

家具固定方法A-B家具固定方法C家具固定方法D-E

技術提案資料:目黒 公郎.東京大学助教授(生産技術研究所)

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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