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防災インタビューVol.29

事業継続計画(BCP)とは?

放送月:2008年4月
公開月:2008年11月

丸谷 浩明 氏

京都大学 経済研究所 先端政策分析センター 教授

事業継続計画の普及

BCPという言葉は生活の中で使われていませんし、こういう番組でも英語3文字というのは嫌われるものですから、事業継続ということでお話をしたほうがいいですね。

事業継続というのはドミノ倒しのようにつながっていく、普及していく種類のものです。というのは、例えば自動車会社が自分の事業を継続しようとしたら、部品の会社も継続してもらわないと困りますし、社員の方にもちゃんと会社に来てもらわなければなりません。取引先にも協力してもわらないといけないわけです。ですから、私どもは、皆さんで協力して取り組んでくださいと言っています。

苦い思いをしたアメリカも、実はそういうことで進歩してきたのです。1回経験をすると、きちんと対策をしていかなくてはならないことに気付きます。今、皆さん方が必ず名前を知っているような日本の大企業の一部は、幾つもの取引先に「事業継続という観点でどんな取り組みをしていますか」という質問を投げています。最終的には、質問からお願い、契約の条件に発展しそうですが、今は一生懸命、事業継続のために周りの状況を調べているところです。

そのような中で、取引先の企業から突然「事業継続」の状況を尋ねられ、困って、私どもの組織に急にご相談があったりもします。私も講演に行って、担当の方が、今日の朝追加で申し込みがあったというので「どういうことですか」と聞いたら、「取引先から事業継続、BCPというのをやっているかと急に聞かれた。うまくここを切り抜けないといけないので勉強したい」と申し込んだ社長さんが言われましたとのことです。そんな感じで、これから普及していくのではないかと思います。

企業の相互連携の進行

安否確認の大切さ

企業や行政組織の方々にとって、災害が起こったときに、まずみんなの安否の確認をすることはたいへん基本的なことです。人がそろわなければ仕事が続かないのは当たり前の話です。今までも安否確認は大事だと言われてはきていましたが、徹底して安否確認の方法を検討するまでは至っていませんでした。

例えば私が元いた役所では、今は変わっていますが、従来は電話連絡網で安否確認をすることになっていました。しかし、大きな災害が起きたら、電話が輻輳してかかりにくくなり、途中の人が抜けてしまったら連絡網はどうなるのかということが問題になりました。そこで、携帯メールなどを使って安否の確認をすることが考えられています。災害が起こって、被害を受けながらも自分達の仕事を続けようと真剣に考えると、まず社員・職員の安否確認は、いの一番にやらなければいけないことです。

さらに、リスナーの方にはご家庭の方もいらっしゃると思いますが、昼間に災害が起こって、職場にお父さんお母さんがいる場合、当たり前のことですが「家族が心配だから帰りたい」と言われると思います。地方で通勤が近い方であれば、1回家に戻ってまた会社に来てもらえることが期待できないこともありませんが、それも途中の橋が落ちたりして難しいということもあります。通勤の長い大都市、東京や大阪では、勤務中に発生したら、2割、3割しか容易に家に帰れないことになりかねません。ご自宅の家族の安否を会社から確認できないと、もう居ても立ってもいられないが、帰るに帰れない。押し合いへし合いで帰ると危険なだけでなく、救急車や消防自動車などの緊急車両に道をゆずるべきときに、道路に人があふれてしまったら、ますます被害がひどくなってしまいますので、まずは安否の確認の方法を真剣に考えていただきたいと思います。そのためには電話の災害用伝言ダイヤル171とかウェブ171とかを、皆さん方個人が、自分の家族との連絡を取るために使ってもらうことが大切ですし、これを企業も進めていかなければなりません。企業は「家族の安否確認は自分のことなんだから自分でやってください」とことではとても済みません。このようなことが実は事業継続、会社の仕事を続けるポイントになります。そのことをぜひ広く皆さまに知っていただきたい。ですから、このセッションでは「安否確認を是非してください!」と言いたかったわけです。

災害時に比較的つながりやすい連絡方法
災害用伝言ダイヤル171
(NTT東日本)http://www.ntt-east.co.jp/saigai/voice171/index.html
(NTT西日本)http://www.ntt-west.co.jp/dengon/
災害用ブロードバンド伝言板(web171)
(NTT東日本)http://www.ntt-east.co.jp/saigai/web171/index.html
(NTT西日本)http://www.ntt-west.co.jp/dengon/web171/
ケータイ「災害用伝言板」
(NTTドコモ)http://www.nttdocomo.co.jp/info/disaster/index.html
(au)http://www.au.kddi.com/notice/dengon/index.html
(ソフトバンクモバイル)http://mb.softbank.jp/scripts/japanese/information/dengon/index.jsp
(イー・モバイル)http://emobile.jp/service/option1.html#saigai
(ウィルコム)http://www.willcom-inc.com/ja/info/dengon/index.html

(社)電気通信事業者協会HPを参考に作成

安否確認の方法

皆さん、安否確認の方法をきちんと家族の中で話し合っておくといいですよ。非常用伝言ダイヤル171で確認するとか、携帯メールを使うとか、家族の中で決めておくこと大切です。9月1日の防災の日や、阪神淡路大震災の発生日の1月17日が防災とボランティアの日ですから、そういった機会に一度話し合っていただきたいと思います。会社と家族はつながっていますので、両方が無事で初めて日本の社会が動いていくわけです。日本経済もそうです。そういった意味で一度お話を、家族で、そして会社で、是非しておいていただけるとありがたいと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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