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防災インタビューVol.29

事業継続計画(BCP)とは?

放送月:2008年4月
公開月:2008年11月

丸谷 浩明 氏

京都大学 経済研究所 先端政策分析センター 教授

BCPと地震対策との関係

日本では防災対策、あるいは企業の危機で一番考えられているのは、地震です。今まで地震対策は、十分かどうかは分かりませんが企業も一生懸命やってきました。では海外の企業が地震対策をやっているかというと、実はアメリカの東側やヨーロッパの多くの国には地震がないのです。ですからアメリカとかイギリスでは、日本で企業が地震対策を行うのと同じ感覚で、事業継続の対策をやるのが当たり前と思っている感じがあります。逆に日本の場合、地震対策を主にやっていたので、事業継続というのは何だろうと思っているところもあります。日本の企業にBCPのお話をすると、「事業継続、それ地震対策とどう違うんですか?」と質問されることがよくあります。地震は災害の一つですが、地震の怖さは皆が認識していてイメージが分かりやすいので、日本の場合、地震対策を事業継続の最初の目標として掲げることが多いのです。「でも、地震に対するものだけではないんです」と私たちはよく言っています。

アメリカやイギリスでは、事業継続を考えるとき、どういう被害が出るのか分からないので、例えば「この工場が止まったら」とか、「このオフィスが使えなくなったら」という前提で始めます。その原因を問わないのです。ですから、テロであろうと停電であろうと、とにかくこの機能が止まったらどうするという考え方です。そう考えると、日本のBCPは地震から始めたとしても地震以外にも有効だということになるので、結果としてはお得な感じが出てくると思います。ただ、そのお得ということが飲み込めるまでに、ちょっと時間がかかるものですから、そこで地震対策とはどう違うんですか?という話が出てくるのです。

事業継続のニーズが高まっている理由

人の命を守ること=事業継続

事業継続、BCPを行っていくためのポイントのひとつは、人が大事だということです。職員・社員の方の命を守ることが必要です。ということは、企業は自分の社員の住宅を安全にするということが非常に重要です。

この番組でも住宅の耐震補強が大事だという話がよくされますが、企業が住宅の耐震化を進めていくことが事業継続の上でも重要だという考えが普及し、そのために企業がさまざまな対策を取っていけば、耐震補強も進めていけるのではないかと期待しているところです。

耐震補強については、企業が良い工務店とか良い設計事務所を社員に紹介することで、耐震補強を受ける人には相当安心感があるはずです。自分の会社、自分の組織がそのような動きをすれば、工務店、設計事務所を自分で選ぶ必要がなくなり、もしトラブルになっても会社が助けてくれるので安心ということになると思います。ですから事業継続と個人の住宅の耐震補強の組み合わせは、これから政府としても、あるいは企業としても、努力していく方向ではないか、と考えています。そういった関係もあるということです。

事業継続と新型インフルエンザ

事業継続と新型インフルエンザ対策との関連についてお話しします。新型インフルエンザの危機というのは、お正月のNHKの番組から始まって、各新聞社がこぞって特集を組んでいる状況です。いつ起こるかは分かりませんが、ウイルスの型が変わって人対人で感染しやすくなったら、もう待ったなしになるわけです。この新型インフルエンザの問題と事業継続がどう関わるかというと、実際に発生したら、人・物・金・情報・さまざまな経営資源、その中の人が決定的にやられます。アメリカやイギリスで訓練をしたときの想定によると、欠勤率が4割から6割です。電車の運転手も半分しかいないし、発電所にも半分の人が行かなくなることも考えなければなりません。もちろん病院の人手についても考えないといけません。今、アメリカ、イギリスでは、事業継続のメインのテーマとして、新型インフルエンザを乗り越えるために、社会、企業、行政組織も対応していこうという動きがあります。日本で今、そういう気付きを広げるために、私ども事業継続推進機構というNPOも、しっかりやっていこうと考えているところです。

実はこれを最後に取り上げたのは、地震防災をやっているから、もう自分たちの事業継続は完ぺきだ、大丈夫だと思っていらっしゃる方が、けっこう多いからです。例えば、ライフラインの企業がそうです。電気、ガス、水道とか、そういった企業は災害の対応のプロです。災害が起こって施設を復旧するために、手厚い陣容と準備をされているわけです。でも、そういった方々に言いたいのは、新型インフルエンザが来たときにでも事業の継続ができるか、ということです。今までの災害への備えはあまり意味がありません。新型インフルエンザの場合、何も壊れていないわけです。自分たちの同僚が、あるいは自分自身が病気になる可能性があるということです。さらに、自分が病気になったら自分だけが欠勤になるのではありません。会社で接触した人たちも10日間なり一定期間、様子を見るために自宅待機を強く勧められます。そうすると、そのチーム全部がいなくなってしまいます。この場合、代わりに別の方が入ってきて、その仕事を続けられますか? また、今までそこに新型インフルエンザの感染者がいた場所には、どういう消毒をして、どういう防具をして入ればいいのでしょうか。そういう備蓄についても、企業は考えていかないといけません。対策が不十分なら、職員の方も命令を聞かないかもしれませんし、命にかかわるなら家族が出勤を止めることもあり得ます。そのような状況でも事業継続ができるかを議論していかなければならない時代になっています。そういった意味で、地震だけでなく、新型インフルエンザまで考えると、自分の仕事をどうやって続けるのかという切り口の本質的なところが見えてくるのではないかと思いまして、最後にこのテーマのお話をさせていただいたわけです。

地震・風水害と新型インフルエンザの被害の比較
地震 風水害 新型インフルエンザ
地理的影響範囲 地域的、広域的 地域的 広範囲、国家、地球規模被害
対象 物的被害、人的被害 同左 人的被害、社会機能被害
影響期間 短期間 同左 長期間、複数の波発生
予告 予告なし 直前に予告あり ある程度前に予告あり

事業継続、BCPについての疑問がありましたら、私どもがNPO活動をしております事業継続推進機構はホームページも持っておりますので、ぜひアクセスしてみてください。会員になっていただきましたら、いろいろな情報にアクセスできる準備もしております。会員以外の方へのできる限りのことはしたいと思っておりますので、ぜひインターネットで事業継続推進機構と検索をしていただければありがたいと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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