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防災インタビューVol.31

多文化共生と地域防災

放送月:2008年6月
公開月:2009年1月

小池 由美 氏

横浜市青葉区区民会議代表

男性長寿の街 青葉区

最近のニュースで、青葉区は男性長寿の街ということで紹介されました。これを聞いた青葉区民の人たちもかなり驚いています。区役所のほうにも問い合わせがすごくあるそうで、私たちのほうでもちょっとびっくりしています。

青葉区というのは横浜市18区の中で、2番目に平均年齢が低いとずっと言われていたのです。一番若いのは都筑区で、2番目に若い区が青葉区。平均年齢が40歳を切っています。若い区だ、若い区だと言っていたら、最近長寿日本一と言われて、このギャップはどこにあるんだろうということを、私なりに考えてみました。

区役所の資料によると、横浜市にある109カ所の有料老人ホームのうち25カ所が青葉区にあります。これはちょっと驚きです。それと青葉区では持ち家率が7割を超えています。しかし青葉区民のうち、生まれたときから住んでいる人は7%もいません。東京23区から来た方が1/4に達しています。そういった数字を見ていくと、都内でお仕事が済んで、青葉区に移り住んで、家を買って、良い環境で住もうという人たちがとても多いというのが見えてきます。そうすると必然的に少し高齢の方が増えてくる、それも健康で豊かな気持ちの人が青葉区には増えてきているということで、一挙に長寿日本一になったんだと思います。特に男性は1位で、女性は今年7位なのですが、女性の上がり方がすさまじいです。

環境的に豊かな人たちが増えていますが、その人たちの老後はどうなるんだろうと考えた時に、介護する人たちが減っているのが現状です。今、国の政策で外国人の介護者〔介護福祉士〕を増やそうとしています。日本に入ってくる時点で日本語をある程度やっていなければいけないという施策をとり始めています。そのような現状で、私たちはどういうふうに、外国人の方たちと共生していくような街を作っていけばいいのか、また安全・安心な街をどうやって作っていったらいいのか、ということを考えながら活動しています。

現在、青葉区の外国人の割合は、横浜市の中では決して多いほうではありません。横浜市の人口は今365万人。そのうち外国人の人口は7万人強だと思います。大体2%です。青葉区の場合は30万人の青葉区民の中で、外国人は3600人くらいですから、2%には達していない、1%強ということで、多くはないんです。ただ、駅周辺でよく外国人を見かけます。青葉区には外国語学校も多いですし、青葉区の特性として、海外から帰ってこられた方がとても多いです。横浜市の小中学校にいる帰国児童生徒の1/4が青葉区にいます。このような環境なので、外国人を多く目にするということです。そういう意味で青葉区はインターナショナルな街でもあります。

災害時の要援護者としての外国人

災害時の要援護者というのがありますが、国や市の定義による災害時要援護者というのは、「災害時に必要な情報を迅速かつ的確に把握し、災害から自らを守るために安全な場所に避難するなどの一連の行動をとるのに支援を要する人々」を言います。一般的には高齢者、障害児者、子ども、外国人、乳幼児、妊婦のことを言います。何か災害が起きても、自分で情報を取ったり知ったりすることができない人、動くことができない人、助けてもらわなければ逃げることができない人です。外国人の場合は、情報を自分で取ることができない、そういう意味で、災害時の要援護者に該当すると考えています。神奈川県の場合は特に「外国人支援マニュアル作成指針」まで作って、災害時に外国人をどういうふうに助けていったらいいかを考えています。横浜市の場合、災害時要援護者に関しては、健康福祉局が担当で、安全管理局の担当ではありません。ちょっと不思議ですが、防災の管轄は安全管理局かと思いがちですが、災害時要援護者というのは、特に高齢者や障害者が多いことから健康福祉局が担当して、積極的に行っています。ですから各区でも、協力していくのは社会福祉協議会だったりするわけです。でもそうすると局の縦割りといったらおかしいですが横につながってはいかないわけです。特に外国人の場合、横浜市は国際政策室が担当していますが、そこともまた離れていってしまう。それが現状です。

そこで青葉区の場合は、災害時要援護者の避難支援システムを昨年立ち上げました。その中で「あおば 災害ネット」というのを作りました。私たち青葉国際交流ラウンジもぜひ関係させてほしいということで、説明を聞きに行きました。

皆さんお聞きだと思いますが、「支えあいカード」というのが、3月から地域の回覧板で回り始めています。「支えあいカード」、これは手挙げ方式といって、自分が災害のときに助けてもらわなければいけないと感じている人が、自分で手を挙げて登録をするという仕組みです。外国の方が分かると思いますか? しかし、この募集は回覧板で、日本語で回ってきています。回覧板を見る外国人というのはとても限られています。もっと言えば、外国の方は、自治会を知らないのですが、自治会に入らないと回覧板も回ってきません。回ってきても日本語なので分かりません。そのような現状で、自分たちが災害時の要援護者になっているということが分かっていないまま、進められています。ただ、今回とてもよかったと思うのは、この「支えあいカード」の登録カードに、日本語会話が困難な人という項目が1つ付いているということです。これは多分ほかの区で作っている「支えあいカード」の中にはない項目だと思います。青葉区が、外国人も災害時の要援護者になっているんだということに気付いて入れてくれた。私たちとしてはこれをとても評価をしています。

災害時に役立つ外国語の表示シート

中越地震の時に、「災害時に役立つ外国語の表示シート集」が使われました。これは英語だけではなく、たくさんの言語で書かれている絵と表示です。(9言語:英語/中国語/韓国・朝鮮語/タガログ語/ポルトガル語/スペイン語/ベトナム語/カンボジア語)これは被災地で使うものなのですが、中越地震が起きた時に、たくさんの外国人の方たちによって、災害現場や避難場所で使われました。外国人は、言葉が分からないということで、現場ではいろいろトラブルが起きました。そういった時に目で見て分かるもの、言葉と目で見て分かる表示シートを貼りだすことで、無用なトラブルが起きないようにするというものです。

表示シートそのものは国際交流協会のホームページからダウンロードができるようになっています。当時もダウンロードして使うことができましたし、現物を送って拡大版にしていただき、現場でも使いました。私はこの表示シートの英語訳にかかわりました。阪神淡路大震災の経験から、外国人にはその場で情報提供していかなければいけないということで作り始めたものが、中越地震で大いに役立ったということです。

たとえば、エコノミー症候群というのをご存じですか。これは、無理な姿勢をずっと続けていたりしてその後急激に動くと、血流の関係で血栓ができてしまうというものです。よく飛行機に長く乗っていると起きると言われているものです。中越地震の場合、避難した外国人の中で、ブラジルの方が多かったのですが、避難所に入るのを怖がって自分の車の中で避難生活を送られていました。しかし、いわゆるエコノミー症候群的なものがあるということが彼らは分からなかったわけです。これは情報として出さなくてはいけない、ということで、絵と言葉のあるものを貼りだしました。情報としてウェブからも出したということで、非常に使われたと思います。

当時は多言語で訳したもので、絵と多言語だけだったんですが、その後、弘前大学も協力されて、やさしい日本語版のものができるようになってきました。現在は多くの需要がありますが、少しずつ普及させていただくようにお願いをしています。

やさしい日本語だと外国人の方は日本語がそんなに得意ではなくてもわかります。日本人で英語がそれほど得意ではなくても、日本語で簡単に書いていただければ外国人に分かります。やはり目で見て分かるということがとても大事だと思います。この表示シートを、横浜市総合防災訓練の会場で、一昨年から会場の学校〔地域防災拠点〕で貼りだしをしてもらうようにしました。災害時に役立つ外国語の表示シートというのは、横浜市の全区に配られているのですが、現実には使われていないので、そういった防災訓練会場で使うことから始めました。

表示シート

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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