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防災インタビューVol.31

多文化共生と地域防災

放送月:2008年6月
公開月:2009年1月

小池 由美 氏

横浜市青葉区区民会議代表

災害時の国際交流ラウンジの役割について

横浜市以外にも、隣の相模原市にはさがみはら国際交流ラウンジというよく似た名前の組織があります。ここが数年前から外国人への防災に取り組み始めています。国からも表彰を受けたそうです。取り組みとしては相模原市と協定を結んで、災害が起きた時に、国際交流ラウンジが外国人のためのボランティアセンターになったり、逃げていける避難所センター機能を持たせています。さがみはら国際交流ラウンジで外国人の防災についての対策をしているわけです。横浜市のラウンジではまだこういった形で外国人防災に取り組んでいるところがほとんどない状況です。

青葉の私たちのラウンジは、さがみはら国際交流ラウンジを手本にして活動したいということで、今年1月に相模原の方に来ていただき、講演会をしました。相模原市でやっている訓練にも1度参加させていただき、実体験もしましたので私たちが疑問に思っていることについて、お話を伺うことができました。

相模原にも大勢の外国人の方が日本語教室の学習者としてラウンジに来られています。そして横浜市と同じように、自分が逃げていく地域防災拠点というのがそれぞれ決まっています。日本語を教えている日本語ボランティアさんが、自分が災害のときに逃げていく地域防災拠点を壁に貼ってある防災マップの中に書き込んでいます。そして学習者は、自分が住んでいるところさえ分かれば、どの地域防災拠点にどの日本語ボランティアさんが来ているのかというのを、日本語学習する教室で知ることができるんです。それが1つ進んだ取り組みだと思います。災害が起きた後、まず日本語ボランティアさん自身が身の安全を確保できたら、自分が逃げていく、予定されている拠点に行って、外国人が逃げていないかをチェックします。外国人が逃げているのが分かると、センター(さがみはら国際交流ラウンジ)のほうに報告する。受けた側は何人が逃げているか分かりますから、センター側から通訳さんを派遣したり、相談業務を受けたり、そういうことを始める。そういう状況で外国人防災に取り組もうとしています。これは本当に素晴らしいことです。できれば青葉でもやりたいのですが、青葉区は行政区です。相模原は市ですから、市が対応しています。青葉のラウンジがやることを横浜市がバックアップしてくれると、もっと進むだろうと思います。

実際こういった災害時の地域の連携が、外国人を含めて、もちろん日本人同士も一番必要なことです。そして、もう1つ大事な点は、外国人の方は逃げるばかりではなくて、これから増えていく地域住民として、助ける側の人にもなれるということです。普段から同じ地域の住民だという気持ちがあれば、外国人の方の中には力の強い方もいますし、いろいろなことができる方ももちろんいます。外国人の方も同じように支える側にもなることができるので、ぜひ地域の中で隣近所の外国人と仲良くなっていただきたいと思います。

青葉区民会議について

ラウンジの他にもう1つ大きな役割を担って活動しているのが、青葉区民会議です。私は、そこで代表をしています。青葉区民会議というのはなかなか皆さんご存じないのですが、これは区民と行政をつなぐ中間組織的なことをやっており、区民の地域での課題を取り上げながら(広聴)、政策提言のような形で横浜市に提案する-そういった組織です。今どういったことが課題になっているのか、これからどういう問題が起きてくるのか、そういったことを考える場を何回も提供してきています。その中の大きなものとして、年1回の区民のつどいがあります。区民が考えなくてはいけないものを行政の側から、国の側から、市民の側から情報提供して、意見交換をする。その中からまたたくさんの意見が出てきますので、それをまとめながら、区民はこういうことをやってほしいんだということを市に提案しています。

例えば昨年のつどいでは、食の安全ということをやりました。中国餃子の問題が起きる直前だったので、とてもタイムリーに行うことができました。もう少し前ですと、地震のことを継続的にやってきました。防災に関しては、非常に皆さん関心が高いです。青葉区というのは地震に対しては、非常に地盤が固く、家の構造も耐震が進んでいるので倒れないだろうと皆さん安心しているのです。しかし、区民意識調査をすると、いつも防災はトップの1位、2位に上がってくる、不思議な区です。ですので、防災とか減災に関してのつどいを行うと、参加する方々が非常に多いです。今まで、例えば山村武彦さん、吉村秀實さん、鍵屋一さん、高橋洋さんといった、防災のスペシャリストの方に来ていただいてシンポジウムを開きながら、今私たちが何をしなければいけないのか、自助が大事、共助が大事ということを、区民会議のつどいの中から言葉として広げていくことを狙ってやってきました。

それでも防災については、本当に知らないことが多いと思います。例えば青葉区は、東急沿線上にありますから、東京都の人たちが大勢移り住んできているということがあります。逆に青葉区の多くの人たちが都内の学校に行ったり働きに行ったりしています。横浜18区の中で一番そのような人たちが多い地域です。そうすると昼間に地震が起きたときには、青葉区の昼間の人口は全体の7割しかいないということになります。日中の人口の割合が横浜市では一番少なくなるという、とても変わった地域です。中学生以上、あるいは働いている人たちは、東京都内に行ってしまっていますので、日ごろの対策を考えないといけないということです。耐震の家に住んでいるから安全なのではなくて、実際に地震が起きた時には、都内に行っているお父さん、こどもたちと安否確認ができなくなるということが起きる、それが青葉区の一番特徴的なことだと思います。

国際フェスタと防災のコラボレーション

国際フェスタ会場

横浜市では国際交流の団体、NGO、NPOが集まる最大のおまつりとして、横浜国際フェスタというのがあります。外国の方や外国人支援団体もたくさん来ます。ここで2007年に、外国人支援団体としてAEDを紹介しました。非常に場違いだと思いますが、狙いはAEDを外国人の方にも日本ではこのような形でAEDが使われていることを知ってもらいたい、日本人の方にももちろん知ってもらいたいということでした。場があれば、場違いでも、今後もこういったことは、宣伝をしに行きます。

もう1つ場違いなことをやったのが、2008年3月の青葉区コラボレーションフォーラム。青葉区役所の1階、3階、4階を全部使って、地域の市民活動団体、福祉ボランティア、その他さまざまな生涯学習の団体が交流を行い、区民の方々に青葉区の活動団体を知っていただく、自分たちもそこに入っていただくというイベントでした。その中に防災コーナーを作りました。普通市民団体が集まって交流しましょうというと、楽しいイメージで、それぞれの活動を紹介するのですが、この防災コーナーでは、AEDの訓練を行なったり、2カ所の地域防災拠点の方に参加していただきました。市民団体がやっているイベントに、地域防災拠点の運営委員の方々が自分たちの拠点の説明をしに来るということは、多分、初めての試みだと思います。イッツコムやレスキューナウにも協力をしていただいて、防災クイズをやりました。クイズに答えると景品が当たったのですが、賞品はイッツコムからご協力いただきました。当日は防災クイズ・スタンプラリーとして、防災クイズは福祉のボランティアをしている人、生涯学習をやっている人が問題を考えました。参加者は景品がもらえることで、とても楽しめて、防災のこと、減災のことに気がついてくれました。防災、減災への心構えは、起こってから考えるのではなくて、普段から考える必要があるのだということ、自分の活動の延長上にあることなのだということをその場で理解していただけた、初めての試みだったと思います。

こういった楽しめる防災が大切です。普通防災というと、なかなか自分から行きたがらないですし、地域の防災拠点どこだかよく分からないということもあります。そういったところから、逆に楽しめる防災が必要です。子どもも大人も一緒になって、普段から考えることで、実際に将来何かが起こった時にお互い助け合うことができる地域の関係づくりができます。そういったものを目指して行くために、今回本当に場違いな防災コーナーを設けました。でもこれは本当に必要なやり方だと思います。今後地域の皆さんが何かイベントを考えるときには、「防災のひと味」つけてみよう、そういうことを試みられるといい方向に行くのではないかと思います。

災害時においては、自助が一番大事だと思います。自助の次は共助です。その先に多分、公助がくると思いますが、頭で考えて行動するのではなく、普段から何か自分が楽しみながら身体を動かすことから身につけていただいて、とっさにすぐ行動に移せるようになる、そういった防災、減災への試みを1人1人の方々がやっていただけると、本当に成功につながるのではないかと思います。

現在、それぞれの地域でさまざまな防災訓練の取り組みがなされているのですが、今年3月2日にすすき野、荏子田、黒須田の地域で、自治会がたくさん集まって防災フェアをやりました。 これも本当は新しい取り組みだと思います。私はもう1つの顔の「あおばみん」の防災レポーターということで、そちらを取材しました。地域の自治会の人たちが横に連携しながら、新しい防災への取り組みをしている、これは皆さんに知っていただけたらいいかなと思います。多分これはイッツコムで放映されたんだと思いますが、他の自治会の人たちが、当日の防災訓練の様子を見て、「本当にすごいことをやっているんですね」と私のほうに聞いてこられています。こういった取り組みも、できたら自治会のほうでこれから、どんどんされることを私は期待しています。

左:国際フェスタ 右:AED講習

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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