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防災インタビューVol.32

防災を大いに語り、大いに考えよう!

放送月:2008年7月
公開月:2009年2月

上原 美都男 氏

横浜市危機管理監

防災とは何か?

防災とは一体何かという、そもそものお話をしたいと思いますが、防災とは災害を防ぐことなんです。災害とは人に害をもたらす災いのことです。そして災害には自然災害と人的な災害があるわけですね。例えば地震、台風、豪雨、津波、水害、雪害、干害などが自然災害です。これは未然に防ぎようがありません。つまりいきなりやってくるということです。ですから、いきなりやってきたときに備えて、いろいろ必要な準備をしておくしかないわけです。人的災害は交通事故、犯罪被害、列車事故、火災、建物事故、雑踏事故などがあるわけですが、これはある程度は、人の日常の意識の持ちようで防ぎ得る災害だと思っています。

まず自然災害にどう備えるかというお話をしますと、自然災害は未然に防ぎようがありませんので、来たときに備えて被害を最小限にすることを考えて、事前に十分な準備をしておくということです。まずやるべきことは家を強くすること。その次にやるべきことは家庭内の備蓄だと思っています。地震や風水害に備えて、きっちり家庭内の備蓄をしてほしいと思っていますが、考える場合は、水道、電気、ガス、電話が止まってしまったと仮定したら、何が自分には必要になるだろうかというところから考えてほしいと思います。それを思いつくままに挙げますと、水、食べ物、懐中電灯、電池、携帯こんろ、携帯燃料、携帯ラジオ、トイレットペーパー、薬、ポリタンク、ビニールシート、かっぱ、傘、セーター。結局これらはすべて山登りに必要な装備品です。なぜそうかと言いますと、山では水道もありません。電気、ガス、電話のような公共のインフラが何もないわけです。そのように考えると、被災時と同じ状態が「山」だということなんですね。ですから山で家族とキャンプなどをよくやっていただくと、いざというときのためのよい訓練になると思います。

私は神戸の出身ですが、神戸で山をやっていました。阪神大震災に遭った同級生に電話をして随分聞いたのですが、山の仲間はいつもリュックに必要なものを入れているので、結構それが役に立ったという人が多かったです。

震災時に困ったこと

阪神大震災で何が困ったかというお話をしますが、まず死者の8割以上の人が壊れた家や家具の下敷きになった圧死という死因です。それもほとんど81年基準以前の古い家に住んでおられた方が多いのです。2つ目は、まさか神戸に地震が来るなんて思っていなかったわけですから、家庭内備蓄も何もありませんでした。ですから家は強くなってないし、備蓄もないという2大要素が何もなかったということです。それから水道が止まりまして、水洗トイレが流れなくなりますね。あちこちでトイレパニックが起きました。併せて言いますと、電気と電話が止まりましたので、現地の被害状況というのがなかなか全国に伝わらなかったですよね。総理官邸も約半日間何が起きているか分からなかったくらいですから。最後に道路と消火栓が破壊されまして、消火活動ができずに火災が長時間続きました。こんな問題があったということです。

大地震に備えるために

大地震にどう備えるかということですが、まず一番目に、少々の地震ではつぶれない家に住むということです。2つ目は、家の家具が倒れてこないように固定しておくことです。3つ目ですが、自分の寝ている部屋に倒れそうな家具を絶対置かないことです。私の神戸に住んでいた両親も、これで助かりました。4つ目は家庭内備蓄をしっかりやっておくことです。5つ目がトイレパニックです。これに備えるように、自分の家の風呂桶に、水を常時貯めておいてほしいです。学校のプールにも水を満タンにしておいてほしいです。6番目は情報が伝わらないとお話ししましたが、携帯の災害伝言板という171がありますので、これを大いに活用してほしいと思います。火災もありますので、念のために小型消火器を家に備えることも必要です。ぜひ5月にあった中国の四川省大地震を教訓に学んでほしいと思います。すべて至極単純なことですが、この単純なことが人間はなかなかできないのです。

人的被害に備えるために

強盗からの侵入防犯対策についてお話しましたが、これを災害に適用すれば防災になるわけです。まず言えることは、地震に強い家に住むことです。これはあたかも泥棒に入られないように鍵のかかった頑丈な家に住むのと同じ意味です。それも耐震強度が1981年基準以後の家に住むことだと思いますね。阪神大震災もこの基準以前の家がほとんど崩壊しているという事実から言いますと、一番大事なことです。次に雨と風に強い家に住むことも必要だと思いますね。ぜひ横浜市が作っています洪水ハザードマップとか、神奈川県が指定している崖崩れ危険地域、この辺りをうまく避けることだろうと思います。要は自分の安全について他人に頼らないこと。いざというときには誰かが助けてくれるんだと思っていると、実際は誰も助けてくれないことが多いものです。ですから自分の命は自分で守るんだという決意といいますか、覚悟というのが災害対応にはまず必要だと思っています。

人的災害から身を守る

前の部分でも、人的被害のことをお話ししましたが、再度整理して申し上げます。まず大事なのは1歩家の外に出たら周りは危険だらけだと心得ることです。外に出ますと車にはねられる確率が一番高いです。交差点では車道に近い所で信号を待っていると、いきなり舗道上に車が乗り上げてくることもありますので、車道に近い所で信号待ちをしないことが重要です。また、駅のホームでは線路に近い所に立たないことです。岡山でもこの間事件がありましたが、後ろから突かれることがあります。そんなことで犯罪や事故に遭わないようにするには、危険な場所に近寄らないというのが鉄則だと思います。それから、いざというときには一目散に逃げられる体力を絶えず保持していくこと。これも大事なことだと思っています。ですから、そういう意味でも酒を飲み過ぎると心にすきができますので程々にするだとか、満員電車や人混み雑踏の中ではスリとか痴漢とか押し倒し事故に要注意です。外出時は、周り、前後、左右、上下、よく注意してください。何がどこから飛んでくるのか、上から落ちてくるかもしれません。とにかく万一のときには両手で頭を押さえてください。身体を丸くしてしゃがみこむことです。これによって、一番命が助かっております。家の中ではもちろん、たばことこんろとストーブ。3つの火によく注意をして、住宅火災警報機を設置しておいてください。

危機管理=危機に対する意識を持つこと

私の担当は危機管理監ですから、危機管理って何だろうというのをお話しします。危機とは、いきなりやってくる、とんでもない危険のことをいいます。危機管理とはあらかじめ危機に備えて十分な準備をし、やってきた危機に対してうまく対処することなんです。そのためには、世の中のあらゆる危機について、よく学習をしていくこと。人間の歴史は同じことの繰り返しですので、危機から受ける被害を最小限に抑えることですね。そのためにも危機意識を絶えず保持しておくこと。危機管理というのはいわば意識の持ちようです。それともう1つ必要なことは、危機対処訓練です。手を替え品を替えてやっておくことです。訓練にやりすぎはありません。町内会などでやっている防災訓練に積極的に参加する。自宅でも家族で、いろいろな危機を想定してミニ訓練なんか、ぜひやっておいてほしいですね。

危機管理の構図

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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