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防災インタビューVol.32

防災を大いに語り、大いに考えよう!

放送月:2008年7月
公開月:2009年2月

上原 美都男 氏

横浜市危機管理監

私が今やっていること、やろうとしていること

今、私がやっていること、やろうとしていることをお話しします。2008年の3月末に、横浜市危機管理戦略というのを策定しました。これは1つのプランニング、プログラミングですが、この戦略は平成27年度までの8年間に横浜市で整備すべき危機管理目標を定めたものでして、それは大きく3つに分けられます。

1つが大震災対策です。2つ目が新型インフルエンザ対策。3つ目が行政固有の危機対処能力の充実強化という課題を掲げています。最初の大震災対策としては、木造住宅の耐震補強対策と学校をはじめとする公共建築物の耐震化。家具転倒防止対策、トイレ対策の推進があります。新型インフルエンザ対策としては、パンデミック対策用資機材の整備と行動計画の策定という課題がありますし、3つ目の行政対応力の強化策として、区の職員の24時間即応体制の確立と、BCP計画の策定というのが掲げられています。これらの計画を作ることは非常に大事なことです。しかし、もっと大事なことは、その計画を絵に描いた餅に終わらせずに、実行に移すことだと思っています。8年後にここに掲げた目標のどのくらいが実現するかですが、最大限努力していきたいと思っております。

パンデミック対策とは

今お話した危機管理戦略の中に出てきた「パンデミック対策」についてですが、これは新型インフルエンザ対策の根幹です。パンデミックというのは世界的大流行という意味です。鳥のインフルエンザから人から人にうつるインフルエンザに変わった瞬間が新型インフルエンザの発生です。これは、致死率が非常に高いインフルエンザですから、その世界的な大流行に備えていかなければなりません。そのための対策用資機材としては、取りあえずはワクチンの備蓄だと思います。それから薬の確保やインフルエンザの患者さんに対応するお医者さん、あるいは救急隊、看護士さん、病院の関係者等々に、その防備のための衣服を用意したり、マスクを用意したり、いろいろな対策、資機材が必要です。これを大至急整備していこうという考え方です。

防災=自分の身を自分で守ること

これからの防災は、自分の身をどうやって自分が守るかという視点が大切だと思っています。だからこそ自分自身が災害に対してどう備えるか、ということを自分でよく考えてほしいと思います。そして、それをできるところから実行することだと思います。そのためにも、よく学ぶことが必要だろうと思っています。

災害を決して狭くとらえずに、広く自分の身の安全を確保するという観点から、危機全体として考えるべきです。行政のできることは非常に限られていますので、過度に他人に頼るのではなく、むしろ仲間と一緒に主体的に防災に取り組んでいく機会を積極的に持つべきだろうと思います。言い換えると、これからの防災は市民の努力いかんに懸かっているということが言えようかと思います。そのためにも仲間作りが一番大事かもしれません。

次に、これからの行政は防災の面でいかにあるべきかというお話をしたいと思います。あくまで防災は市民である個人が主体的に取り組むべき課題であるのですから、行政は後ろからアドバイスし、支援するという姿勢に徹するべきだろうと思います。もちろん行政として整備すべき、行政固有の防災事務は多くありますので、これには優先順位をつけて、重要なものから積極的に実現すべきです。例えば公共施設の耐震性の向上や広域避難場所の確保、あるいは消火栓の整備等々があります。市民の側はいたずらに行政に頼らずに、行政の側はむやみに防災で市民に強制をしないようにするということが大事です。もちろん行政は市民と防災に関して積極的に情報交換をするなど、必要な連携協力を可能な限り行うべきだろうと思っています。

横浜危機管理センター

防災について一緒に考えよう

これから我々がなすべきことは、互いに防災を大いに語り、大いに考えようということです。語ることによって関心が高まり、意識が充実し、仲間が増えていく。「一度訓練やってみようよ」という気になるんです。この4月の末に横浜市の開港記念会館で、私どもも参加したんですが、クロスロード講座というのがありました。初めて参加させていただきましたが、これは防災に関する実際にあった諸問題について参加者全員で議論し、みんなで考えようというトランプゲームみたいなものでした。回答が幾通りもありまして、1つだけが正解というのはないのですが、まさに防災の奥の深さ、対象の広さを実感しました。また毎月1回横浜市では同じ横浜市開港記念会館で、いろいろなテーマについて危機管理セミナーというのが開かれています。これに参加することで自分なりに防災を考える機会としてほしいと思います。このセミナーは横浜市の危機管理室にあらかじめ申し込んでいただければ、席に余裕がある限りどなたでも参加できます。

安全安心を求めて

防災について考えてきましたが、ここでは、広い概念で、安全安心というのをみんなで考えようと提案したいと思います。そしてそれについての行動を今すぐ始めようと、こういうことです。

この安全と安心というのはアンドレ・マルローによりますと、人の根源的な欲求の1つだそうです。皆が安全と安心を求めて行動を開始すれば、世の中は格段によくなるはずなんです。例えば子どもの通学路の安全、公園の安全、歩道の安全、プールの安全、体育館の安全、繁華街の安全、駅の安全、いろいろな危険なところがあります。最後に家庭の安全もあるんです。こういう社会のあらゆる場所での安全についてみんなで真剣に考えてみようと、こういう提案をしたいと思っています。そして安全を確保するために我々のできることから行動を始めたいのです。そうすれば我々は安全と安心を手にすることができます。逆に安全と安心を他人任せにしていたら、最後まで安全と安心は私たちのところにやってこないだろうと思います。

安全は自らが自らの力で勝ち取るもの、他人に頼るものではありません。例えばビルの工事現場にかかっている表示、看板は何と書いてありますか?「安全第一」ですね。今の複雑でスピード化した、情報化した現代社会は、いわば大変な工事現場みたいなものだろうと私は思っています。だからこそ今、社会に「安全第一」が必要です。工事現場で働いている人たち一人一人がヘルメットをかぶり、絶えず安全に注意して、うっかりミスをしないようにやっていかないと、いつか大きな事故につながります。これは社会と同じで して、いろいろな、大変な危機をうまく回避できるように、私たち一人一人が努力していく必要があるのだろうと思っています。(了)

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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