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防災インタビューVol.35

伝えたい~神戸から東京に~

放送月:2008年10月
公開月:2009年5月

溝上 晶子 氏

早稲田大学教育学部3年、早稲田レスキューチーム(わせQ)副代表

防災の活動を始めたきっかけ

高校時代:取材風景

私が防災に関する活動を始めたのは高校生の時です。私は放送部に入っていました。その顧問の先生が地学の先生で、自分も震災に遭われていて、防災教育に力を入れてらっしゃいました。「放送部として阪神大震災を伝えていくのはどうか」と言われた時に、自分の経験を伝えようと阪神大震災の番組を作り始めたことが、私にとっての防災活動を始めたきっかけでした。

放送部では、テレビドキュメンタリーとラジオドラマを作っていました。テレビドキュメンタリーでは、震災を伝えている人にインタビューをして、それをまとめたり、震災にあった市場のその後を追ったりしていました。その時に会ったNHKのアナウンサーの方が「震災を伝えるには縦と横に繋ぐことが大切なんだ」と教えてくれました。縦というのは「親の世代から子どもの世代に」ということ。横というのは「神戸から地方へ、神戸から世界へ」ということです。この両方を繋いでいくことが、震災を伝えていく上で大事なのだと教えていただきました。この言葉は、今の私の活動の軸にもなっています。

ラジオドラマから防災へ

放送部の甲子園のようなもので「NHK杯全国高校放送コンテスト」というのがあります。放送部にとっては、そこで優勝することが一番の勲章です。そこで優勝すればNHKの電波に乗せてもらえるので、一番多くの人に聞いてもらえるわけです。私たちの願いは、震災についてのラジオドラマを作って優勝できたら、ということでした。この時は、主人公のお父さんが亡くなるという設定でラジオドラマを作りました。その父親に自分を重ねたり、主人公に自分を重ねたり、家族を重ねたりして「もし自分の家族にそういうことが起こったらどう思うだろう」と考えることで、人は初めて恐怖を感じるのだと思います。番組制作をしている頃、顧問の先生から「数字では人は動かない」と教えてもらいました。例えば、「6千人の方が震度7の地震で亡くなった。だから防災をしよう」と言っても、ぴんとこない。それでは、ぴんとこないので、人の感性に訴える作品を作ってこそ意味がある。恐怖を感じて、そういう思いをしたくないと思ってもらえることが一番大事だと思い、ラジオドラマを制作しました。

ラジオドラマというのは声だけなので、映像がない分、想像ができるものだと思います。よく「防災はイマジネーションだ」と言われますが、本当に想像力が必要だと思います。ラジオドラマの主人公たちに自分を重ねることで、防災を考えるきっかけになってくれれば、と思い制作しましたが、結局、NHK杯の上位には入れませんでした。その分、いろいろな行事の際に、発表することはできましたので、それはそれでよかったと今は思っています。作って評価されなかったことはショックでしたが、その評価されなかった理由が「あまりにもリアルすぎる」ということだったので、自分が作ったものが悪いわけではないということが分かりました。作ったものがリアルすぎるのだったら、やはりそのリアルを、知らない人たちに伝えるべきだと思いました。ですので、たくさんの人に聞いてもらえたらと思い、今も活動を続けています。

高校時代:放送部の仲間たち

「地震火山子どもサマースクール」とは

私は、高校時代の活動をきっかけに、いろいろな防災に関する活動に参加するようになりました。その一つが「地震火山こどもサマースクール」というイベントです。「地震火山こどもサマースクール」は、今年で9回目になりました。これは小中高生に大学の教授などの専門家たちが、分かりやすく地震や火山のことを教え、フィールドワークや実験を通して楽しく学ぶというイベントで、たいていは1泊2日で行われます。私が高校2年生の時に、このサマースクールが神戸でありました。その時は六甲山でフィールドワークをしたり、先生たちの震災の話を聞いたりしました。私は記録スタッフとして参加しましたが、とても楽しく地震や火山を学べる活動だと思いました。

また今年、京都で行われたこどもサマースクールにも参加しました。今年は子どもたちと一緒に地震を学ぶ役割でしたが、小中学生の話を聞くのはとても楽しく、「小学生はこういうふうに地震というものをとらえるんだ」と感じることができたり、面白い発見がたくさんありました。その中で「盆地京都でどう過ごし、どう遊ぶ?」という問いがあり、その答えとして小学生たちが「京都ではこれから先大きな地震が起こるから、常日ごろから防災についていろいろ考えながら過ごすことが一番大事なんだ」という発表をしてくれました。これを聞いた時には、とてもうれしく思いました。こういうふうに地震のメカニズムを学ぶことで、将来、防災に携わる子どもたちが出てくれると、いいなと思います。

この「地震火山こどもサマースクール」は毎年各地で行われて、開催場所は移動していきます。今年は京都で2009年は山口県の萩市で、火山のサマースクールをやることになっています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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