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防災インタビューVol.36

地震災害に学ぶ-地域の絆と防災-

放送月:2008年11月
公開月:2009年6月

荏本 孝久 氏

神奈川大学工学部建築学科教授

関東大震災について

関東大震災は大正12年9月1日に起こりました。もちろん私はこの震災を経験したわけではないのですが、阪神・淡路大震災に匹敵する災害が恐らく大正12年の関東大震災であると言われています。今年はちょうど震災から85年目でした。関東大震災は東京の被害が非常にクローズアップされて言われるわけですが、実際には小田原、鎌倉、平塚などが非常に大きな被害を受けました。まあ横浜もそうですけれども、神奈川県で非常に激甚な災害を起こしたわけですね。そういう意味では私たちは、やはり関東地震をもう一度きちんと見直すというか、勉強し直す必要があるのではないかと思います。

これも意外と理解されていないのですが、関東地震はマグニチュード7.9。地下の岩盤が壊れる領域の長さが70キロ、幅40~50キロぐらいの領域が一挙に壊れた地震です。震源は1つの場所ではなくて、面的に広がった場所が壊れるというイメージです。このイメージはあまり皆さん持っていないのですが、そういう断層が我々の住んでいる下に存在しているということの認識から始めないといけないと思うのです。

その意味で「関東地震はどういう地震ですか」と言われるとなかなか難しいのですが、やはり自然の営みでそういう地震を起こす断層が地下にあって、たまたま大正12年に大きな領域が壊れました。それは何百年かに一度という間隔で繰り返して起こってくるもので、今の時点では150年から200年ぐらい先に起こるだろうと言われています。でも考えてみれば、そういう災害を起こすもとが我々の住んでいる下にあるのだという認識は、常にしておかなければいけないのではないかという意味で、我々神奈川県に住んでいる住民にとっては悩ましい現況だと思います。

実際、関東地方に大地震が来る確率というか、30年以内に約70%とか言われていますが、ただこれは関東地震より1クラス小さい地震がいろいろな所に起こるということで、関東地震とはちょっと違うと言われています。関東大震災クラスの地震が来るのは、もうしばらく先だろうとは言われていますけれども、安心してはいけません。

神戸市内の町並みの被災状況(小林郁雄氏提供)

関東大震災の被害

関東大震災の震源に近い場所は小田原、平塚の方でして、小田原は非常に被害を受けましたし、当時の木造の建物の被害率でいけば、平塚辺りも非常に高い被害、ほぼ80%を超えるような被害がありました。横浜でも、やはり今の横浜駅の近くとか、昔から埋め立て地で開けたような地盤の悪い所では、かなり集中的に建物被害が出たという記録が残っています。東京はそれによって火事が広がって、たくさんの被害、死傷者も出ましたが、建物の被害、地面の揺れの強さからすると、横浜、さらには平塚、小田原のほうが強かったと言われています。

横浜の地盤

横浜の地盤は、丘陵地が東京の西の方からつながってきて、その末端部にあって、横浜港は東京湾に面しているわけです。ですから基本的には地盤はいいほうだと思いますが、その丘陵地を刻んでくるような大きな川や、それが海に流れ込むような河口辺りには軟らかい地盤が堆積して、しかも海の方は開発で埋め立て地を造っていますので、東部の方が地盤が良くないです。

このような意味では、あまり地盤としてはよくないですが、ただ最近の建物は技術的に進んでいて、それなりの対策を立てて建てられているものも非常に多いですから、必ずしもその建物が、地盤が悪いから壊れるということではないと思います。無駄に心配はしなくていいけれども、やはり気を付けて、認識を高く持っていた方が良いということです。

_神戸市内の町並みの延焼火災による被災状況(小林郁雄氏提供)

防災=経験を伝えていくことの大切さ

関東大震災も阪神・淡路大震災も、何百年、何千年に1回起こる自然の現象で、我々人間の社会は非常にかき乱されたわけです。そういう観点からすれば、やはり非常に貴重な体験だと思います。ですから、阪神淡路大震災もそうですし関東地震もそうですが、やはりその災害を体験した記憶といいますか、記録はきちっと残して、後世の方たちに伝えていくという努力をしなければいけないのではないかと思います。

自分たちが住んでいる場所がどういう災害の経歴があるのか、あるいはどういう地盤の状況にあるのかは、やはり住む側がきちっと認識をしていくことが防災につながるのではないかと思います。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。