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防災インタビューVol.39

都市と企業と防災

放送月:2009年2月
公開月:2009年9月

守 茂昭 氏

(財)都市防災研究所 事務局長

HP:http://www.udri.net/

東京駅周辺防災隣組

私が所属している財団法人都市防災研究所は、内閣府と国土交通省が所管をする外郭団体ですが、ここ6年ぐらい、東京駅の横で「東京駅周辺防災隣組」という防災対応の組織のお世話をしております。この組織は企業がメンバーになり、東京駅周辺の安全管理に気を配ろうという趣旨の組織です。

皆さんも東京駅に行かれたことがあると思いますが、この地域に勤務しているサラリーマンは約24、5万人います。しかし、住んでいる方はほとんどいません。19人の住民票があるという話もありますが、事実上、住んでいる方はいないわけです。そうすると、その地区の安全管理に日ごろから気を使っている人がいないので、実際に災害が起きたときに、たくさん人はいるけれど誰も何もやらないということが起きかねない状況です。これが東京のような業務市街地の弱点になっています。業務市街地というのは東京駅以外いろいろあるわけですが、皆その辺は共通しているはずです。

一昔前とは違い、現在は家を離れて遠い所へ仕事に行って、また夜帰ってくるという、ほとんどの人がそういう生活をするようになってしまっています。東京では1922年に関東大震災がありました。この時もサラリーマンはいましたが、人口の中のごく一部でしたので、出勤先で被災して戻れなくなるという経験をした人は、いるにはいますが少数派でした。関東大震災で大変な被害が出たのは住宅地であり、大火にあおられて大量に亡くなったのは普通の町にいる方でした。

今地震が起きると多分、悲劇の起き方が以前とは全然違うドラマになります。その1つの顔が遠距離通勤先での被災であり、しかも一部そういう人がいるというのではなく、ほとんどの人がそういう状態で被災をするということです。これは多分、今までの時代のどの地震にもなかったことになるだろうと思っております。

この移動しっ放しの人がやれる安全管理というものを考える必要があるということで、東京駅の周りにいるサラリーマンの皆さんに声を掛けて、新しい時代の安全管理の在り方を考えてみようとしたことが、この東京駅周辺防災隣組が生まれてきた背景です。

業務市街地で日中大地震が起こったら

業務市街地で昼間大地震が起きると、どんなドラマが展開するかというと、まず交通機関が止まり、たくさんの人が中心市街地にとどまったまま動けなくなるという状態になります。この時に情報がどのくらい手に入る環境にあるかにもよりますが、情報も途絶してしまうと、人々は、最寄りに駅があるのであれば、とにかく駅に様子を見に行こうとするのではないかと想像されています。東京駅の場合ですと、丸の内や大手町に24、5万人勤務者がいますが、それ以外に、ふらっと東京駅に行って帰って来られる距離に、200万ぐらいの勤務者がいます。東京駅に様子を見に行こうという方が1割発生するだけで、一気に街に20万の人が出てきます。そうしますと、普段いない人の洪水が発生してくるわけです。この人の洪水の始末を街としてある程度考えていないと、非常に冷たい対応をせざるを得ないことになってきます。つまり、ほんの一部の人でもいいから、そういう人の対応、世話の準備をしていないと、「私は責任ないから何もしてあげられない」「半端なことをしたらかえって迷惑を掛けるので」ということになって、結局、誰も何もしなくなってしまいます。これが意外に危険なことです。どこそこの企業の横で、ちょっと水を飲ませてくれと言ったら冷たくあしらわれたというような風評が立ったり、具合の悪い方が、中に入れてもらえないがために、病気を悪化させて亡くなってしまうというようなことが起きかねません。ですので、街としてそういった、外から多数の方が押し寄せてきたときに、その方々をどうするか、この作戦を立てておかないと非常に残酷なことをせざるを得なくなる人が出てくるので、準備をしましょうというのが、帰宅困難者対策というものになるわけです。

今、千代田区では年1回、毎年、阪神淡路大震災の記念日の前後の1月16日か17日に「帰宅困難者避難訓練」というのをやっております。今、区の中に、帰宅困難者を収容するための一時滞留場所として、帰宅困難支援場所に5つばかりエリアを指定しておりまして、取りあえずはそこに誘導させていただくことになっています。そこから先、どのようにお助けするかということは、これまたいろいろ悩ましいものがありますが、取りあえずそういう流れをつくってあります。しかし街の人間が、そういう仕組みを全然知らないと、案内もできませんし誘導もできないので、この隣組のメンバー企業には常にそのことを呼び掛けると同時に、1年に1回訓練をやって「そういう仕組みだったな」と思い出すための活動をやっているところです。今、この活動は、だんだんあちらこちらに飛び火してまいりまして、この隣組のような組織が飯田橋や四谷にもできています。もし区役所の努力の成果が予定通り進めば、2009年3月に秋葉原にもできます。

この防災隣組というのは、各企業が参加しています。別段個人の方が入っても構わないのですが、勤務している人が勤務先のエリアの安全管理に興味を持ちましょうという趣旨ですので、企業に入会のお声掛けをしています。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。