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防災インタビューVol.51

災害リスク情報の共有化 ~防災科学技術研究所での地震防災の研究について~

放送月:2010年2月
公開月:2010年9月

藤原 広行 氏

防災技術科学研究所プロジェクトディレクター

プロフィール

私は茨城県つくば市にある防災科学技術研究所で、地震防災の研究をやっている研究者です。今の研究所に勤めるようになって21年目、それまでは京都で学生をやっていました。ずっと一貫して地震の研究、地震のことを知って、それを防災に役立てる研究をやってきました。大学では、いろいろな勉強をしていましたが、最初は数学を少し勉強し、途中で進路変更をして、大学院では地球物理、地震の研究室に少し在籍して、途中で筑波の研究所に移りました。ほぼこの20年間、一貫して地震の揺れの研究をやってきました。
これまで防災科学技術研究所で、幾つかの大きなプロジェクトを手掛けてきましたが、最初は兵庫県南部地震後の日本の地震観測部門の整備でした。今はこの地震のハザードやリスクの評価の研究を進めています。

地震と地震動の研究

「地震」というのは漢字で書けば、まさに「地面の揺れ」ですが、最近いろいろな研究が進んで、地震の原因は地下で断層が破壊され、それが地面の揺れを引き起こすということになっています。ですので、それ全体を地震と呼ぶ場合もありますし、研究者はその原因となる断層の活動のことを地震というふうに呼ぶ場合もあります。その中で私が研究してきたのは地震がもたらす地面の揺れの部分で、結局それが我々にとっては被害の原因になるわけですので、このように私は、この地震そのものの研究をやってきました。
地面の揺れというのは、ものすごく小さなものであれば、普段から風や海の波でも揺れは起こっています。ただ地震で起こる揺れは、とても大きいので被害が出ます。そのために対策が必要になるということです。では、どのくらいの、どういった種類の揺れが起こると本当に被害が出るのか、そういうことを明らかにしていく必要があります。この被害と地震の揺れの関係、こういった知見が得られれば、それを基に被害の対策が進むようになりますので、そういうものをいろいろな方面から研究しています。
地震に対する研究に関しては、日本は世界でも一番進んでいる国の一つであると思います。日本では、非常に人口が多い地域のすぐ近くで大きな地震が起きて、過去にも大きな被害が繰り返し起こってきている国柄で、しかも日本は非常に豊かな国であり、地震の研究は進んでいます。しかし大きな都市の下で起こる可能性のある地震に対して、これらの研究により、どこまで被害が軽減できるかというのは、今後の課題だと思います。

地震観測網 k-net

k-netというのは、地震の観測網の中の一つです。これは強い揺れ「強震」を測るための観測網で、兵庫県南部地震をきっかけとして、日本全国で整備された約1,000カ所の観測網のことです。そのほかにもHi-netや気象庁の震度観測網など、幾つかの別の全国的な観測網がありますが、その一つだというふうに考えていただければと思います。この観測網作りに最初から私は携わっております。
もともとの目的は、地面の強い揺れがどういった性質を持っているのか、その揺れをきちんと測ることによって、次に起こる地震に対する対策を取るための基礎資料を得ることを目的とした観測網で、かなりエンジニアリングに近い観測網です。大きな地震のときに地面はどのくらいの大きさで揺れたのかという記録がきちんと残る、そのような観測網が兵庫県南部地震の後に日本全国で整備されました。それ以前はこういった全国的な観測網というのは日本にはありませんでした。もともとは個別の地域で、大学の先生や研究者がそれぞれ研究のために観測をしていましたが、データの流通もなされず、多くの人にとっては地震の記録を見る機会もなかった、そういう時代が長く続いていました。しかし兵庫県南部地震の後にデータを公開して、インターネットでデータが使えるような技術が発展しました。これにより、誰でもコンピューターの前に座れば自由に研究所から発信するデータが使えるようになったということで、実はこのk-netが整備されて、この地震工学の研究分野は大変進歩してきたと思います。
我々のホームページにアクセスしていただけば、このデータは誰でも無料でダウンロードして使えるような状況になっています。学生の卒論や学位論文、そういったところでもたくさん使われていますし、あとは民間のさまざまなコンサルや、いろいろな業務でも使われるようになって、日本の本当に基盤的な情報システムにはなっています。ただ地面の揺れがどのくらいの強さだったのか、そういう情報はありますが、今はどちらかというと専門家向けの情報提供を行っている状況ですので、それが今後の課題です。もっと分かりやすく、親しみの持てるホームページに変えていきたいと思っています。
この観測網は、およそ25キロのメッシュ幅で、日本全国を覆っています。昔、「市町村に1個ずつ震度計を置こう」というのを気象庁などと協力をして始めたのですが、その一角を占める観測網にもなっていて、大体k-netに似たような観測点が市町村には最低1つずつあるような状況になっています。これ、本当に縁の下の力持ち的な、日本の地震防災の基礎資料を得るための観測網ということで、地味ではありますが、こういったものができて、もう15年になるという状況です。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。