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防災インタビューVol.53

いのちを守るために ~首都圏災害からの危機管理~

放送月:2010年5月
公開月:2010年11月

瀧澤 一郎 氏

東京いのちのポータルサイト理事長

「葛飾区耐震化推進協議会」設立に向けて

現在、新宿区や墨田区などには、耐震化の推進を目的とした自主的なグループがありますが、葛飾区にはこれまでほとんどそういう動きがありませんでした。行政も耐震化を進めるためにさまざまな活動は行っていますが、民間サイドでの受け皿がないと進み方が遅くなります。そこで民間のグループと行政が一緒にやっていく仕組みはできないかということで、現在、区内の有志と定期的に会合をしながら「葛飾区耐震化推進協議会」の会づくりを進めているところです。これには、どういうメンバーで、どのような事業をやっていくのか、それにはどのような人やどれくらいのお金が必要なのかということを煮詰めていかないと、やみくもにグループをつくったとしても、うまくいきません。幸い他の地区のいろいろな事例を見ていますので、そういうのを参考にしながら、より効果的な成果が出せるような団体をつくっていきたいと思っているところです。
耐震化推進協議会の目的は、あくまでも「耐震化の推進」です。耐震補強だけではありません。耐震補強も一つの手段ではありますが、経済的に余裕があるのであれば、耐震補強をするよりも、耐震のためにきちんと建て替えたほうが、総合的にはいいと思っています。今、建て替えに対しても葛飾区の助成金が出ていますが、申請すれば下りることを知らずに建て替えている方が、実はすごく多いです。
現在、うちの町内でもリフォーム、建て替えがはやっています。これはどういうことかと言うと、2つ理由がありまして、1つは住民が高齢化したため、お子さんを呼び戻して一緒に住むために建て替える例。もう1つは中小企業が不景気で経営不振になってしまって、財産を処分したり、土地を売って、そこに新しい方が入って来て建て替えるという例。この2つのことから、この地域では、ここ2年ぐらい建築ラッシュです。しかし皆さんせっかく建て替えをしているのに、助成制度を知らなかったために助成金がもらえていない例がたくさんあります。自力で建て替えられる場合はいいのですが、建て替えようか、リフォームをしようかと迷っているときに、もし助成金を使ってできることを知っていれば、選択の範囲は広がりますし、建て替えもしやすくなります。しかし、この助成金について、行政もどうやって伝えていいか分からないし、私たちもまだよくノウハウが分かりません。しかし少なくとも、それをいろいろな方に伝えていけば、徐々に耐震化の動きが出てくるものですので、そういう雰囲気づくりがまずできたらいいと思います。
今度設立される「葛飾区耐震化推進協議会」でも、優先順位からいくと助成制度について、まずよく知ってもらうことが重要だと思います。実際に助成制度を利用して建て替えた方の例を紹介して「本当に家を建て替えてよかった」「安心して住めるようになった」ということを、もっともっとPRしていかれればいいのかなと思っています。それが強いて言えば町の安全につながります。結局、自分の家がいくら安全であったとしても、隣近所が倒れて火が付いてしまったら元も子もないので、やはり全体的に強い町にしていかなければいけないので、この活動も重要だと思います。

いろいろな災害に備えるために

防災について考えたときに、まず地震、台風、洪水、あるいはインフルエンザや病気に対して、どのように対処していこうかという危機管理については、皆それぞれ一生懸命やっていると思います。しかし私はもう1つ忘れてはならないのは、戦争だと思います。もちろん日本は戦争を放棄した平和な国ですが、ちょっと前の歴史をひもとくと、好むと好まざるに関わらず戦争に巻き込まれてしまっています。現在の町内会組織というのは、もともとは空襲に備えてできた隣組制度が基本になっていまして、空襲があったときにお互いに助け合って、少しでも減災するためにはどうしたらいいか、というのが基本になっている情報伝達システムです。
ただ、これだけ長い間戦争がなくて、安心して暮らしていると、逆に何かあったときにどう対応するかが心配になります。中でも人為的災害の最たるものは戦災ですが、未来永劫戦争を放棄しているからといって、今後絶対ないとは言い切れません。戦争になったらどれだけつらいかということは、私たちの年代だと、父母から「実際に戦争に行って、大変だった」「空襲でこんなにつらい思いをした」ということを、子供の頃から聞いています。ところが少なくとも30代以下の方は、そういう話を聞く機会もないし「まさか戦争なんか起こらないだろう」と思っています。しかし、まさかというのがあり得るのがこの世の中なので、何が起きるか分かりません。私の友達でも、戦争体験を古い人から聞いて語り継ぐというNPOをつくってやっている人もいますが、決してあり得ないと思うのではなく、イメージトレーニングも大事です。
地震もそうですが、私たちはいろいろな災害に対して、危機管理を忘れてはいけないのではないかと思います。東京いのちのポータルサイトでも、耐震補強をまず第一優先課題としてやっています。しかし、やはり危機管理、命を守るという意味では、やるべきことはいくらでもありますので、皆さんの持っている知恵を出し合い、グループの中で解決できないことは、お互いに補って、一つ一つ問題を解決して、社会の役に立てるようなグループがスタートできればいいかと思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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