1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報
  4. 防災インタビュー
  5. 災害に強い社会をつくる
  6. 安心で安全なまちづくりをめざして ~障害者視点での防災~
  1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報

防災インタビューVol.55

安心で安全なまちづくりをめざして ~障害者視点での防災~

放送月:2010年7月
公開月:2011年1月

横内 康行 氏

竹ノ塚あかしあの杜施設長

非常の時の心構え

「人の命をどう守るか」ということにおいては、震災も災害も火災も同じだと思います。私どもの施設では職員は全員、救命救急講習を受けることにしています。これはどんな事故があっても、その人の命を救うためには救命救急講習を受けて、とっさのときに救命ができるようにしておくことが、人の命を守ることにつながります。災害は、いつなんどきやってくるか分かりません。避けようのないものもあるかと思いますが、ただ人の命を救うことは、我々がちょっとした工夫と心の持ちようで、いくらでもできるのではないかと思います。

もし救命救急講習を受けていなければ、恐らく怖さで手が出せないと思います。そこで、できれば毎年毎年、救命救急講習を受けて、慣れることが必要だと思います。併せて、危機管理の重要性が挙げられます。人の命の大切さは当然のことですが、とっさの際の心構え、あるいは何かが起きてしまったときにパニックにならず、慌てることのない平常心を、どうやって皆が持ち続けるかいうことが大切です。そのためには、いつも訓練をすることによって、そのパニックをできるだけ和らげることができるのではないかと思います。

日頃からの危機管理

日常の生活の中で、ヒヤッとした、ハッとした、こういうことを感じたら、それを自分の中だけにとどめることなく、人に「実はこんなふうにヒヤッとしたよ、ハッとしたよ」ということを、たくさん出し合って、皆で共有するという取り組みをしています。当然、失敗もありますから、二度とそれを繰り返さないことを、多くの失敗の中から学ぶことも大切です。私の知人で「失敗と書いて経験と読む」という方がいますが、私もいつも若い職員に「大いに失敗しろ、それは経験を積むことだ」という話をしています。こういうふうにして「人の命を守る」ということに、どれだけ若い人たちが心を配れるかということを、少しでも私から彼らに伝えて残せればうれしいというように感じております。

危機管理というのは、日頃のトレーニングをしていることでも、だいぶ違います。先日も警察の協力を頂いて、不法侵入者の不意の侵入の訓練をしました。刃物を持って大声を出して侵入者が入ってきたときに、さてどういうふうに対処するか、これはなかなかできないものです。一番身近なものとしては、4つ足の椅子を使う方法があります。椅子の背もたれを持って、足のほうを相手に向けて威嚇する方法がありますが、これも意外と訓練をしていないとできません。逃げるだけでは非常に危険です。特に我々施設の場合は利用者の命を守るために、我々が相手を威嚇するということが必要になります。

人と人の連携=福祉

私は、幼児、児童、高齢者、障害者、あるいはまた障害のない方も含めて、多分、基本的には皆原点は同じかなというふうに考えています。その原点というのは「まず人と人とが連携し合う」ということです。人は決して一人では生きていけません。これは日本の社会に限らず、全世界共通のことだと思います。漢字で「人」というのは、それを支えるという字になっておりますけれど、まさにその通りかなと思っています。

地域に今住んでいる方々も、高齢化社会を迎えておりますので、高齢化の問題は決して人ごとではありません。家族そのものが高齢化してきますし、また一人住まいの高齢者もたくさんいます。そういう方々に我々が少しでもお手伝いすることができれば、きっとその方も安心で安全な暮らしができるのではないかと思います。

福祉というのは一言で言うと、まず心あるものが少しのお手伝いをする、ということではないかと私は思います。特に障害のない人たちは、自分が健康であるということを忘れている方が多いと思います。もし自分が病気をしたらどうなるのか、けがをしていたらどうなのか、あるいはまた障害があったらどうなのか、ということを考えていくと、今、自分が多くの障害者の人たちと関わっていて、私は彼らと一緒に生活していることが本当に楽しく思えます。彼らから教わることがたくさんあります。「ああ、私はこんなに健康なんだ、だったらもっといろいろ仕事をしなきゃいけない」と思えてきます。また社会のために何ができるのか、皆のために何ができるのか、それを提供することによって、回り回って最後に自分のところに何かが戻ってくる、という気がしてしょうがないのです。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

会社概要 | 個人情報保護方針