東海、東南海、南海地震の3連動について
擬人化して教えるというのは、相手が子どもだからいいのかと思っていましたが、ある大人の団体に、東海地震、東南海地震、南海地震の3連動について説明するときに、私がただ口走っただけなのですが「東海地震はあまのじゃくですが、南海地震は非常に律義で、だけどもキレると怖いんですよ」というふうに、つまりマグニチュードが大きくて比較的周期的に起きるのが南海地震、起きたり起きなかったりで、来る来ると言われているものの、ずっと来ていないのが東海地震と伝えましたら、「初めて3つの区別がついた」と言われました。子どもだけではなく大人にも少し擬人化を取り入れると、理解がぐんと進むのかなと思っています。
静岡県から西に向かって東海地震と東南海地震、それから四国の方に南海地震がありまして、いずれも100年に1回ぐらいの周期なのですが、東海地震は1回休んだり次に起きたりと、かなりあまのじゃくで気まぐれです。一番周期的に起きているのが南海地震と言われていますが、マグニチュードが大きくて、大きな津波と強い揺れを伴うので、この三つの中では一番危険ですので、律義だがキレると怖いと説明しています。
P君とS君
地震のP波S波を擬人化してP君S君というキャラクターを作ったという話をしましたが、もう少し詳しくお話ししたいと思います。
地震の波は何種類かありますが、緊急速報などでなじみがあるのがP波とS波です。最初にカタカタ来るのがP波、後からユサユサ来て、家を壊したりするのが、あの困り者のS波ということで、キャラクターを作りました。トットコ逃げるP君と、それを追い掛けるS君というキャラクターです。そうしたところS君のファンだとか、P君がかわいくてかわいくてしょうがないと言ってくれる6年生なども現れ始めたので、このキャラクターを作ったことで皆がその周りに集まり始めました。興味を持っていただければ、災害にも強い町、強い世代をつくることができるのではないかと思いまして、これを広げて、ファミリーを作ろうかなと思っています。
例えば、波で言えばP波とS波の他に表面波という、後からゆっくりゆっくり揺れてくるような波があります。知らない方もいると思いますが、表面をはって平泳ぎをしているようなキャラクターを作って示せば、「あっ、そういうのがあるんだ」と覚えていただけるかなと思います。これは今懸念されている長周期地震動などに関係している波なので、ぜひ知っておいていただきたいと思っています。他にも例えば、地震が起きたときにはテレビなどを見ていると、スーパーで「念のため、津波にご注意ください」とか「津波の心配ありません」というように表示されていますが、それは一体何なのか、なぜ津波を伴う地震と伴わない地震があるのかということも、津波を背後霊のように背負っている地震のキャラクターと、そうではないキャラクターを作れば説明がすごくしやすくなるし、絵でも覚えてもらえるかと思います。津波を伴う地震の一番の条件は海で起きたということですが、海で起きれば全部津波を伴うかというとそうではなくて、津波を伴うのはマグニチュードが大きくて、震源が浅い海の底にある地震のときだけです。「浅い所に住むあいつだな」ということが分かるように、津波を伴う地震をうまく絵で表現したいと思っています。
また今、首都直下地震が懸念されていますが、直下型地震も、自分の上に山や都市や町を背負ったキャラクターを作っていきたいと思います。それは小粒ですが、何せ自分の肩のすぐ上にビルなどを積んでいるので、ちょっと動いても被害になってしまうわけです。そういうのも分かりやすく絵にして、一体どのキャラがどこに住んでいるのかというのを日本列島の地図の上に描けば、ぱっと理解が進むのではないかと思っています。この地図はまだできていないのですが、今、私の中では構想が広がっています。