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防災インタビューVol.61

過去の震災からまちづくりのこれからを考える

放送月:2011年3月
公開月:2011年7月

久田 嘉章 氏

工学院大学教授

プロフィール

工学院大学の建築学科の久田と申します。来年4月から工学院大学に建築学部が新設され、その中に「まちづくり学科」というのができます。4月からは、私はそちらの所属になり、その中で安全・安心・防災の分野を担当することになっています。防災、特に地震防災について研究し、いろいろな取り組みを行っています。

過去の震災から学ぶこと

地震というのは、なかなか実験ができないものですから「過去から学ぶ」というのが非常に重要です。例えば、関東大震災や阪神淡路大震災から何を学んだか、それをどうやって今の教訓に生かすか、という話をまずさせていただきたいと思います。

関東地方で一番震災の影響があったのは、1923年の関東大震災です。それが今の日本の震災対策の恐らくベースになっています。関東大震災の被害はとても大きいもので、全体で10万人ぐらいの方が亡くなりました。そのうち7万人近くは東京で、特に延焼火災で亡くなったと言われています。その震災に対する対策がベースとなってスタートしているので、今の防災対策というのは、どちらかというとやはり火災に非常に重点が置かれているという特徴があると思います。実際に防災訓練は、必ずと言っていいぐらい火災が発生したという想定で、まず初期消火を皆でやって、避難所に行きましょうというパターンでやられているものがほとんどです。地域の防災訓練でも、避難所である小学校に行って、初期消火や炊き出しの訓練をやられると思います。ただし、だいぶ時代が変わってきて、最近では昔のような木造密集地ばかりではなくなってきています。例えば、阪神淡路大震災は活断層による地震で、神戸でものすごい被害がありました。関東大震災の場合は7割以上が延焼火災で亡くなったのですが、神戸の地震の場合は、8割以上の方が建物や家具の下敷きになって亡くなりました。初期消火ももちろん一番重要ですが、まず避難するということよりも、建物が倒れて閉じ込められた人をどうやって助け出すか、という対策も非常に重要です。

また地域によっても被害状況は変わってきます。例えば、関東大震災のときも、相模湾沿岸は津波の被害がものすごくありました。しかし現在の避難場所をよく見ると、海岸の近くの広場だったりすることがあります。そのような所に、本当に地震を感じたらすぐ避難していいのか、というと逆です。むしろ高台、高いビル、鉄筋コンクリートのビルに逃げるというような、その地域で何が一番危険であるかを認識して、地域特性に応じた対策が必要です。

木造住宅密集地での対策

地域特性に応じていろいろな対策が必要ですが、その取り組みの一つとして、東京都北区上十条5丁目の地域住民の方と一緒にやった活動について紹介させていただきます。

ここは典型的な木造住宅密集地で、かつお年寄りが非常に多く、道が狭くて消防車も入れないという地域です。見るからに火災対策が必要だということは分かりますが、まず町の方々、自治会の方々と町を見て歩きました。そうすると危険な所も分かりますし、役に立つものがいっぱいあることにも気付きます。消火器や消火栓もそうですし、役に立つ方、建築士の方がいたり、看護師さんがいたり、あるいは逆に、ちょっと心配なお年寄りがいたり、身障者の方がいたりということが分かります。あるいは、ちょっと倒れそうなブロック塀があるとか、公衆電話があるとか、ちょっと危険な所、役に立つものというのが町の中にいっぱいあります。自分の町だから分かっているようでも、結構分からなかったりするので、一通り見て歩いて、地域点検マップ、あるいは防災マップをまず自分たちで作ります。自治体が出しているマップというのは非常に広域的なマップですので、まず自分たちのコミュニティーのマップを作るというのがスタートラインになります。どこが危険で、どこが役に立つかを落とし込んだ地図を作って、それを基に「もし地震が起こったら一体何を最優先すべきなのか」ということを話し合って、この地域は狭くて、火事が出たら消防車も通れないので、まず火を消しましょうというのを確認し、次はけが人が出たり閉じ込められたりしたときにどういう対応をしたらいいかを話し合います。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。