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防災インタビューVol.61

過去の震災からまちづくりのこれからを考える

放送月:2011年3月
公開月:2011年7月

久田 嘉章 氏

工学院大学教授

「社会貢献活動支援士」の育成

大学は教育機関ですので、学生の教育、社会人の教育が重要です。そこで私たち工学院大学と東北福祉大学、神戸学院大学の3大学が連携した教育カリキュラムを今、作っています。工学院大学は工学系の大学ですので、最近ではいろいろな取り組みをしてはいますが、ボランティア活動や社会福祉というのは社会系の大学のほうがノウハウがありますし、学生たちもやる気満々です。特に東北福祉大学、神戸学院大学では、実際に震災などがあると学生たちが行って、ボランティア活動を行っています。うちの大学は工学系が得意なので、3大学でお互いの大学に行っては実習や町に出て活動を行って、とても刺激を受けて帰ってきます。

まずは負傷者を出さない対策というのを考えてみると、家がつぶれないのが大前提ではありますが、超高層ビル街でしたら、ビルの上の階は下の階よりもずっと揺れるということをご存じでしょうか? この、ビルの上の階がものすごく揺れることを知った上で、けが人を出さない対策をとるとしたら、物が上から落ちてこないようにする、家具の転倒防止などが重要になってきます。では実際、具体的にはどうしたらよいのかとなると、うちの大学が得意ですし、それぞれの特性を生かして、3大学で連携しながらやっていこうということです。

3大学の中の取り組みとしてやっているのは、お互いの大学のカリキュラムを取って、座学だけではなく実際、町に出て行って訓練に参加したり、ボランティア活動をして、決められた単位を取って、最終試験に受かったら「社会貢献活動支援士」という資格を出すというものです。現在は防災中心にやっていますが、将来的には環境や福祉にも広げていきたいと思っています。

「社会貢献学会」の設立

防災対策における人材育成ということで、3大学の教育カリキュラムについてお話しさせていただきましたが、その教育カリキュラムを中心に「社会貢献学会」という学会を2011年4月から設立することになっています。防災に対する活動をもっと広めていくために学会をつくって、社会貢献活動支援士という資格認定も、3大学の中ではなくて学会から出していきます。学会となると客観的にいろいろな情報を、もっともっとオープンに全部公開することができますので、そういう場で、なるべく多くの方に参加していただいて、地域によって対策が異なる事例がたくさんありますので、地域特性に合った対策を考えていきたいと思っています。

現在は震災だけではなく火山も問題になっていますし、洪水もあります。これからは、いろいろな方々に参加していただいて、地域特性に応じて、どうやって人材を育成し、対策をしていくか、知識だけではなくて実際に活動できる人を、どのように育成していくかという活動を広めていきたいと思い、いろいろな方々のご協力を頂きながら「社会貢献学会」を今、つくっているところです。ご興味がありましたら「社会貢献学会」「社会貢献活動支援士」と検索すると、恐らくこれから少し引っ掛かるようになるかと思います。今はまだまだですが、もしご興味のある方がいましたら、ぜひお声を掛けていただければと思います。現在は工学院大学、東北福祉大学、神戸学院大学がまず中心になっていますが、恐らくこの動きは広まってきますので、大学だけではなく企業の方にもぜひ一緒にやっていただきたいと思っています。企業の中には、一生懸命社会貢献活動をされている方がいらっしゃいますので、そういう方々のノウハウというのも非常に貴重なものですので、ぜひ学会を活用していただいて、いろいろなところで広まっていくといいと思っています。

「社会貢献活動支援士」の資格取得についても現在、学会での準備を進めています。基本的には全員が取れる資格になりますが、一応条件がありまして、自己申請でいいのですが、まず社会貢献活動が3年以上あるかを学会のほうで審査して、5年以上あれば講習を受ければ資格が取れますし、5年未満でしたら試験を受けて通れば、資格を出しましょうという予定になっています。4月から開始されますが、実際の試験については今年1年間は準備をして、来年の2月か3月ぐらいに1回目の試験が行われることになると思います。

今後の防災対策について

防災活動というのは、やってみると、やってみるだけどんどん問題点が見えてきます。地域特性に応じたものにするために、いろいろ活動をできる方、何かをやりたいと思っている方が必ず地域にいらっしゃるので、興味があればそういう方々と一緒に組んで、今までの防災訓練の見直しを進めてもらえればと思います。疑問があれば、どんどん市や区にぶつけて、話し合っていくことも大切ですし、学会もできますので、ぜひ声を掛けていただいて、こういう活動がもっと盛り上がればいいと思っています。神戸での経験を受けて、まだまだ十分に生かされていない部分もあるので、現在は岐路にあると思いますが、もっと防災訓練や火災訓練の在り方を実際に役立つように、いざというときはきちんと動けるように変えていってもらえればと願っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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