耐震改修とバリアフリーを連携で
耐震改修で安価な工法もできてはいますが、古い家ですと改修をしても強度の評点が1に上がらないという住宅もたくさんあって、なかなか愛知県でも補助制度が利用できていないのですが、将来の方向としては簡易単位改修といって、完全に耐震改修ができなくても、例えば0.7までとか、死なない程度に、というような改修も重要ではないかと思います。
弱い住宅と、ある程度強い住宅とでは、地震になった場合に決定的に違います。0.2の弱い住宅と0.7の、ある程度強い住宅を比べてみると、壊れる確率は何十倍も違うということになります。そういう意味でも、危ないものから直していくことが大事だと思っています。
岩滑と田原の加治でも、NPOからお金が入ってきたので、モデル事業を行いました。岩滑区では「100万円でどこまで耐震改修ができるか」という事業を無料でやってみました。そうしますと、かなり古い大きな住宅でも100万円出して安価な耐震改修工法を駆使すると、評価は0.8までになり、まあまあ死なない程度のところまでいける改修が実現できました。地域で自治区の人や建築士、あるいは福祉関係者などが協力して、お年寄りや、非常に古い所に住んでいる方から順に改修していくようなことができると、耐震改修はさらに進むのではないかと思います。特にお年寄りは、安価な工法とバリアフリーをうまく連携して取り組むことで耐震改修が進んでいき、少なくとも5割の耐震改修が進むような地区を増やしていくという取り組みができるといいと思います。
愛知県から全国へ
今まで防災まちづくりと耐震改修を進めるということを続けてきて、現段階としてはうまく融合しています。地域が中心になって行政、建築の専門家、福祉関係者、ボランティアなど皆が協力して耐震改修を進め、要援護者へ日常的な支援を含めた支援を進めていきながらコミュニティー全体が活性化していく中で、うまく耐震化、減災の取り組みができるような地域づくりや施策展開が重要ではないかと考えています。
また愛知県で開発してきた安価な耐震改修工法を、ぜひ全国に広めていけないだろうかと思っています。これらの工法などを認可して補助対象にしていくのは、各行政ごとに違いがあって大変なことですが、愛知県の場合には研究者も入って、きちんと評価していますので、それをいろいろな自治体で共通に使っていただけるようにならないかなと思います。特に木造、合板についてはバックになるメーカーが決まっているわけではなく、ホームセンターに行けばどこでも買える材料で補強するわけですから、それを全国に推し進めていけば、耐震改修も全国でかなりやりやすくなるのではないかと思います。
やはり、何かいいものがあればどんどん広げていけるような仕組みづくりができるといいですし、全国で知恵の部分を共有するようなことをぜひ進めていくことが大事だと思っています。