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防災インタビューVol.66

震災に備えて ~情報の重要性~

放送月:2011年8月
公開月:2011年12月

沼田 宗純 氏

東京大学生産技術研究所助教

プロフィール

私は神奈川県の山の方の生まれで、昔はよく土砂崩れなどが起きていました。小さいころからそういった土砂災害を見ていて「どうにかしたい」と思っていました。そのような中で、東京大学の目黒公郎先生の地震工学の授業を受けて、防災の研究室に入りました。一度、外の民間の会社で働いて、その後また恩師である目黒先生の東京大学生産技術研究所都市基盤安全工学国際研究センターで働かせていただいて、今に至ります。

神奈川県庁で東日本大震災に

私は現在、首都圏で地震があったときにどう対応するかを考える「首都直下プロジェクト」に関わっています。3月11日に、このプロジェクトの打ち合わせのために神奈川県庁に行って、ちょうど建物に入った瞬間に地震に遭いました。最初は頭がフラフラして「何が起こったんだろう」という感じだったのですが、建物がすごく揺れて「ああ、これは地震だ」と気付いて、すぐに外に出て、周りを見て「どんなことが起きているんだろう」ということで情報収集を行いました。

私はまず県庁の建物を見ていましたが、その時ちょうど私の前を県知事が通過して、災害対策本部に向かっていくところでしたので、私も県知事の後について災害対策本部に向かって、そこで何が行われているのかをずっと観察していました。神奈川県庁では地震の直後から対策本部が立ち上がって動きだしていましたが、情報がなかなか集まらないということで、非常に苦労していました。近隣の横浜市、川崎市についての情報は断片的には入ってきていましたが、それ以外の、特に厚木、秦野、小田原などの西の方の警察や消防、行政からの情報がなかなか集まらないということで、知事も非常にご苦労されていました。また、この時に副知事ともお会いして話すことができましたが、困っているのは情報の収集の難しさについてだということでした。

災害時の情報収集のために

私は、この地震の起きる前から、過去に起こったいろいろな災害の被害データと、マニュアルではなく実際に災害に対してどんな対応をとったのかという二つのデータを収集してデータベースを作って、蓄積してきました。このデータベースを基に、地震が起きた直後に、起きた時間、天候、季節、場所などの発災の条件を入れると、過去のいろいろなデータからそれに関連する情報を引き出し、その後、時間の経過の中でどんな被害が起きていくのかを予測し、それに伴って、何をすべきなのかを同時に表示してくれるようなツールを作っていくことが必要ではないかと考えています。これがあれば、行政も対応を考える際に非常に役に立つと思います。

東日本大震災の被害は今も続いており、その中でいろいろな情報がどんどん増え、データもどんどんたまってきています。そのようなデータを整理して、地震が起きた直後に、その後何が起き、何をしなければいけないのかということを表示してくれるツールの研究を行っています。このデータベースと「可視化ツール」は、いつごろ何が起こり、どういう傾向なのかということを目に見えるように、素人が見ても分かりやすいような表示になっています。これを使えば、災害が起こった際に、起きた時間や場所によって変わってくる被害を把握し、行政の担当者や住民に分かりやすく情報を表示することができると思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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