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防災インタビューVol.70

日頃からできる災害への備え

放送月:2011年12月
公開月:2012年2月

秦 好子 氏

元横浜市消防局防災課長

火災を防ぐために

東京消防庁が発表している統計を見てみると、火災は少しずつは減ってきてはいるのですが、その中で、火災で亡くなっている人の半数以上は65歳以上の高齢者だということで、その高齢者の死者が増えているということが、とても残念だと思っています。特に75歳以上の後期高齢者に、お亡くなりになっている方が多いということがあります。原因を見てみますと、放火は別として、たばこの火災というのは相変わらず多いです。それからガスこんろが中心ですが、さまざまな卓上こんろを含めて、こんろの火災。それから電気ストーブが火災の原因の上位に入ってきています。これは、ご家族でたばこを吸う方がいたら、特にそのことは注意して見ていくということで防ぐことができると思いますが、こんろについては、買い替えをしていくことも大切かなと思っています。また、電気ストーブはとても手軽に買えるのと、コンセントに差すだけで使えるので、皆さん補助的な暖房器具として、ご家庭に置いていることが多いと思いますが、軽いだけに転倒すると火災になるということもありますし、電気は安全だということで、つけっ放しにして、それが夜具などに触って火災になるということが、とても増えている原因だと思います。この三つを克服すれば、高齢者のお宅の安全もかなり高くなりますので、そこのところについて少しお話ができればいいと思っています。

今ご近所を見回しても、本当に皆さんお元気です。高齢でお一人で暮らしていたり、ご夫婦で暮らしていたりという方が、私の近所にもたくさんいます。日中は若い方と変わらずに、非常に豊かでお元気な日々を過ごしていますが、やはり年齢で身体的な特性が少し変化してくると思います。全体的に行動はゆったりとしてきますし、それから耳も少し聞こえが悪くなったり、忘れやすくなったり、臭いに気が付かなくなったり、テレビを見ていると他の事を忘れたりということは誰でも当然起きることですが、このことをつい忘れてしまうところに、火災のときの死亡につながる要因があるのかなと思います。年を重ねると、新しい機器を使うのがなかなか大変です。例えば携帯電話でも、聞くことはできるけれども自分はかけられないとか、メールは使えないということがあるかと思いますが、後期高齢者になる前に生活をシンプルにして、より安全な機器を選択していくことが、安全に暮らす大きなキーワードになるのかなと思っています。

火災を防いで安全な調理

高齢者の方は、皆さんよく「ガスこんろが怖い」と言われますが、その大きな要因は、やはり天ぷら油火災や着衣着火で亡くなった方のことがイメージとして定着していると思います。これはやはり長く課題になっていました。しかし2008年に法改正がなされまして、今は高いものでも安いものでも、ガスこんろの全てのバーナーに安全装置が付くようになっています。これは天ぷら油の過熱をしないようなセンサーが付いていて、立ち消えがしないようになっています。それから着衣着火を防ぐように、こんろを持ち上げると炎が小さくなる装置など、本当に火災を出そうと思っても、なかなか出ないほど安全機能が高まっています。

従って、これから長く安全に暮らすためには、こういう新しい使いやすいものに買い替えていくことも大切だと思いますし、まだ買い替えたばかりの方は、センサーの付いているこんろを使うことが安全な調理を楽しむこつかと思います。

ある調査によりますと、高齢者の方は意外に皆さん天ぷらが好きであったり、炒め物をしていたりという統計があります。私も実際にこのこんろが出た時に、消防署の職員立ち会いで10分ほど、センサーの付いている所と付いていない所に一緒に点火して、両方揚げ物をやりました。片一方は10分そのまま置いておいても、こんろの火が本当に小さくなって、油温が160度、180度などに設定できるようになっていて、温度が変わらないようになっています。180度にしておきますと、消し忘れていても揚げ過ぎにもならず、火災にもならず、一定の時間がたつと、またそれも消えるという装置が付いておりますので、そういうのを使っておいしく食べて、元気に過ごすということも大事だと思います。

じか火が危険だからといってIHのこんろにお嬢さんが替えてくれたけれど、使いこなせなくて、その上に卓上こんろを置いて、下にスイッチが入って火災になりそうになったという事例もありますので、やはり使い慣れた、より安全なものを選ぶということが、とても大事だと思っています。自分のうちのこんろがどうか、若い世代は親のうちのこんろがどうなっているかを、ぜひ点検してほしいと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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