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防災インタビューVol.70

日頃からできる災害への備え

放送月:2011年12月
公開月:2012年2月

秦 好子 氏

元横浜市消防局防災課長

火災警報器の義務設置

2011年6月から火災報知機が義務設置になりまして、新しいおうちも古いおうちも全て、住宅用の火災警報器を設置することになっています。いまだに付いていないお宅もありますが、これは命を守る上でとても大切なことですから、ぜひぜひすぐにでも付けていただきたいと思います。

その時に気を付けていただくのは、住宅用火災警報器には大きく分けて三つあります。一つは煙を感知して警報を出すもの、台所に主に付けられている熱を感知して警報を出すもの、それからガスと煙と熱の三つを感知する複合型というのがあります。煙を感知するものは、熱を感知するよりも早く火災を知らせてくれますので、避難する時間をたくさんとることができます。それから熱感知器というのは、台所では煮物をしたり焼き物をしたときに、ちょっと煙が出たり熱が出たりして、誤って作動することが多いのですが、熱感知器の場合は、俗にいう誤作動が少ないという特性があります。しかし一定の温度にならないと火災の警報になりませんので、避難する時間はとても短くなります。従って、ご高齢の方や家族に体の弱い方がいる家庭、もしくは赤ちゃんがいる家庭では、より早く感知する警報器を付けることが大事だと思います。

東京消防庁のデータによりますと、火災の熱と煙とガスを感知する複合型のものが一番発見をし、警報を鳴らし、安全に避難をするという成功事例が最も高いと報告されています。値段は少し高いのですが、命の値段に比べたらずっと安い機器ですから、ご家族の構成に合ったものをぜひ設置していただきたいと思います。特に65歳以上の男性の約半数が非常に耳が聞こえにくくなっていて、それは自然なことらしいのですが、そういうことにも配慮して、より聞こえやすいものを設置することが大事だと思っています。6月から義務付けられておりますが、皆さんのお宅でまだ付いていない所は確実に付けていただきたいと思いますし、若い方も親元を点検して、付いていなければ、ぜひプレゼントしていただきたいと思っています。

大地震が起きた際には

大地震が起きた際に、やはり皆さん心配しているのがライフラインの途絶と、いつになったら復旧するかということだと思います。マンションに住んでいる方にとってはトイレの問題、特に高層の方たちは水も限りがあるし、電気は使えない、エレベーターが使えないときにトイレの水を運ぶのは大変だ、という声も聴こえます。それから「非常持ち出し品は何をそろえればいいのか」というお問い合わせが結構あります。

この中で、まずガスと電気の復旧ですが、電気の復旧は比較的早いと言われていますが、それは発電所から道路の電柱までの復旧のことを指しています。ガスの場合は、もちろんマイコンメーターが作動して、問題ない家は別として、メーターを復旧してもその時に作動しない家は、ガス事業者が1軒1軒の台所から、お風呂場から、機器一つ一つまで点検をして、使えるようになった時が復旧になります。ですから、この普及の早さの違いは、家の中まで見るか、電柱までかの違いもあります。

電気事業者は、大災害の際にはいろいろな会社などにも引っ張りだこですから、なかなか一般の家庭には来ていただけません。だから電気製品を買うときには、私はご近所から買って「災害の場合は、うちに必ず点検に来てね」というふうに念押しをしています。電気の場合は、電柱から家の中までは各自が事業者にお願いして、自分の経費で復旧をさせないと復旧しないということを、ぜひ覚えていただきたいと思います。

日頃からできる災害への備え

非常時には皆さん、まずトイレのことをよく考えていただきたいと思っています。特にマンションにお住まいの方は、建物が倒れるということは非常にまれですので、そのトイレのブースは使えます。流せるか流せないかを点検していただくまでの間は、汚物はポリ袋などで始末をして、ベランダに出すなどという工夫が必要になります。

そのような中で今、私が勧めているのが、植木鉢の簡易トイレです。夏環境対策として、皆さんゴーヤを植えたり、朝顔を植えたりしたと思いますが、その鉢の土を使って簡易トイレにしていくことができます。まずは鉢の土をポリ袋などに一度出して、用をたして、土を上にのせて、その上にふたをしていくか、もしくはポリ袋で覆うことで、汚物の臭いも少しは軽減できますし、家の中の処理としては水を使わずにできる環境型防災トイレになります。少し大きい植木鉢に普段からお花を植えたりしておくのも、いい備えではないかと思います。

また、皆さんから非常持ち出し品についてよく聞かれます。展示会などにも呼ばれるのですが、大地震の際にも避難するときに、非常持ち出し品を持っている方というのはほとんどいません。家が倒壊せずに、その後どこかに避難するときに「何を持っていこうか」という話です。通いの避難者であったり、一時的な避難であったりした際には、家に取りに戻れるわけですから、非常持ち出し品に気を配るよりも、非常時も平常時も使える食べ物を置くとか、生活用品を余分に置くとか、そういう普段生きる非常時の備えを重ねていくことが大事です。非常時のためだけのものというのは、逆に非常時には多分忘れられて使えない備えだろうと思います。

普段の生活を非常時にも生きる形で見直しをしていくことがとても大事ですし、その中で、ご近所の助け合い、声を掛け合うということが、とても大きな防災力です。阪神淡路では助かった命の8割はご近所の方たちによって助けられているということを、ぜひぜひ肝に銘じて、皆さんご近所の挨拶を交わしてほしいと思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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