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防災インタビューVol.75

マンション生活における防災対策について

放送月:2012年4月
公開月:2012年7月

飯田 太郎 氏

TALO都市企画代表取締役

参加しやすい防災訓練を

東日本大震災の直後は怖いという思いもありましたし、新聞報道などでも東京周辺で直下型がくるのではということもあり、そういう意味では随分関心が高くなってはいました。そうはいっても、いわゆる防災訓練、避難訓練、助け合い訓練にしても、それだけだとなかなか集まりにくいところはあります。

地震というのはいつ起きるか分からないわけですから、もしかしたら今この後すぐ起きるかもしれないし、あるいはこの先何十年も起きないかもしれません。特に、ある程度大きな地震がこない状態が続きますと、皆さん、ずっと緊張しているわけにいかないので、それだけで疲れてしまいます。でも、防災訓練や避難訓練、あるいは助け合い訓練にしても、基本的には持続させ、長持ちさせなければいけないわけです。そこで、何か楽しい要素、面白い要素を加えて、できるだけ日常生活の中でできるような企画というかやり方が必要だろうと思います。

例えば、ある町会では、防災訓練と歌の大会を一緒にやっているところがあります。町会の中にバンドをやっている方がいて、その方を中心に皆で歌を歌うというのを、訓練とともにやっています。皆で歌うこと、それ自体もある意味で訓練になります。暮れには、よく多くのマンションでお餅つきをしたり、豚汁を作ったりします。これは実は炊き出しの訓練にもなるわけです。そのようなことと組み合わせるとか、運動会と組み合わせることによって、大勢の人が出やすくなる、参加してみたくなるというものにできればいいのかと思います。

また、お子さんがいるお母さんたちは、意外と学校同士のネットワークがありますから、そういうところから集まってくるというのもいいかもしれません。お子さんのことは非常に心配だから、防犯パトロールなどもお母さんたちは一生懸命しています。それと同じような気持ちで防災にも取り組んでいただけるといいのかなという感じがします。ただ、その半面、お母さんたちはプライバシーをとても気にします。普段の暮らしは当然プライバシーを大事にしなければなりませんが、何かあったときには、お互いに助け合うために、少しは周りの方とのお付き合いもしておきましょう、ということを申し上げたいと思います。

実際に役立つマンションでの防災対策

最近、いろいろなマンションで、防災マニュアルを作るために大変なエネルギーをかけて活動されているようです。マンションの中で、自分たちのための防災組織をつくるということもあるのですが、防災組織をつくって、誰が隊長で、誰が副隊長で、班はどこどこということを書いて組織図を作って安心してしまう、ということもよくあります。防災マニュアルも防災組織図も、出来上がったことで安心してしまって、実際には役に立たないということもあります。また、それぞれの役割を決める場合でも、その人が実際にはいないかもしれない、ということを念頭に入れて組織をつくることも必要です。机の上で一生懸命、難しい顔をしてマニュアルや組織図を作るのではなく、皆で集まって討論をしながら、またワークショップなどを通して皆で作っていく過程が大事だと思います。防災マニュアルにしろ防災組織図にしろ、多くの場合は作った途端に机の中にしまって、そのままになってしまうことが多いわけですから、詳しいマニュアルを作ることよりも、まずどうしたらいいかを皆で話し合って、自分の頭の中にしっかり入れること、場合によっては紙1枚に書いて壁に貼っておけるぐらいのほうがいいかもしれません。そのような活動を皆でしていくことが、本当の意味で力になってくるという感じがしています。

分譲マンションの場合は管理組合もありますし、意外とネットワークは強く、防災に対する対策もしているかもしれませんが、賃貸マンションの場合だと管理組合もないし、なかなか集まる機会もないので、余計お隣に誰が住んでいるかも分からないということもあります。そういう場合は、地域の町内会や自治会に入って、いろいろな活動に参加していくということも必要かもしれません。

このようにコミュニティーづくりというのは、マンションでは非常に大事なことだと管理会社も考えています。地震が起きたときには自分たちが主体になって動かないといけないのですから、普段の準備の中で管理会社も一緒になってコミュニティーづくりをしていただくことが、非常に大事かもしれません。

防災シンポジウムを通しての防災対策

6月17日の日曜日には、4月にこの番組に出ていた千田節子さんが代表幹事をしている「東京湾岸集合住宅ぼうさいネットワーク」という団体がシンポジウムを行います。これはマンションの防災、特にコミュニティーづくりを中心にして防災の在り方を皆で考えようというもので、こちらは13時から東京海洋大学品川キャンパスで行われます。

また7月16日には、毎年海の日を記念して「明治丸シンポジウム」というのを、東京海洋大学越中島キャンパスで行っています。最寄り駅は海抜ゼロメートル地帯としても知られる門前仲町です。この明治丸というのは明治の初めにできた船で、明治天皇がこの明治丸に乗って横浜に到着された日を記念して、海の日というのが国民の祝日になっています。その明治丸が実は関東大震災の時に、被災者を助けるために大変活躍しましたので、そのことを思い出そうということで今年は、明治丸シンポジウムのテーマを「防災」ということにしました。海には津波などの問題もあるので、そのようなことも含めて防災を考えようというもので、私もシンポジウムのパネリストとして出席します。

これらのシンポジウムはどなたでも参加できます。詳しいことは私の会社、「TALO都市企画」のホームページに案内を出しますので、ぜひお越しいただければと思います。この「TALO」というのはフィンランド語で「住宅」という意味で、「住宅都市企画」ということと、私の名前「太郎」と掛けてつけました。フィンランドは非常に福祉国家としての先進国でもあるし、最近では携帯電話でも大変有名な会社がありますし、小さな国だけれども非常にしっかりした国だと思います。ぜひ「TALO都市企画」を検索してシンポジウムに参加して、防災意識を高めていただければと思っています。

リスナーへのメッセージ

マンションにお住まいの方は「自分たちの建物が、ある程度安全だ」ということに自信を持っていただくと同時に、その上で、しっかりとした備えをしていただいて、大きな災害が起きたときにも、できるだけ自分たちのマンションの中で生活をしながら頑張っていただければと思っています。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。