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防災インタビューVol.80

日常からの防災への備え ~地域でつなぐ耐震補強~

放送月:2012年10月
公開月:2012年12月

岡本 博 氏

墨田区耐震補強推進協議会事務局長

プロフィール

私は、墨田区耐震補強推進協議会の事務局をしています。この協議会は民間の任意団体で、墨田区の建築関係者が地元の耐震補強を進めるために2006年の6月に、この団体を起こしました。私は地元で岡本建築設計事務所もやっており、建築の設計や工事のほうもお手伝いしています。

墨田区耐震補強推進協議会とは

墨田区耐震補強協議会は、民間の団体である墨田の事務所協会墨田支部、東京土建の墨田支部、墨田建設業協会と墨田建設産業連合会という4団体で構成されています。併せて区内の各町会、自治会34団体に入っていただいていて、個人会員も若干います。現在、事務局は墨田区役所の中の都市計画部においていただいています。地元の建築関係の方たちと「とにかく耐震補強という分野で垣根を越えて集まってやりましょう」ということで始めたものですから、皆さんに参加していただいています。この活動を始めたのは、この番組にも出られている皆さん方のお誘いというか、口説かれたというのが一番のきっかけかもしれません。例えば、こちらの番組に出られた木谷さん、寿乃田さんたちが「墨田区は一番危ない所だ」ということで、墨田区の民間関係、区役所の方も口説いてくれて、いろいろな団体が一緒に一つのテーブルに着くことができました。

墨田区では、北部に木造密集地域がたくさん残っていて、東京都などが発表している危険度でも「危ない町だ」と言われています。スカイツリーが開業して、にぎやかな部分もあるのですが、その足元がまだまだ危ない状態です。本当にまだ多くの建物が補強しなければいけない状態で残っていますので、墨田区耐震補強協議会では「1日でも早く、1軒でも多く」というのをキャッチフレーズに頑張っています。協議会としては月1回定例会があって、その中でいろいろな問題を話し合っていますが、一番大事な、われわれがやらなくてはいけない大変厳しい、難しい耐震補強に対しては、行政と民間がコミュニケーションをとりながら進めています。行政としても、助成制度をつくっても実際に使ってもらえないと意味がないので、われわれはどうやったら使いやすい制度になるかというのを、いろいろな形で話し合いをして、少しでも使いやすくなるようにしています。その意味でも、墨田区耐震補強協議会は住民と行政のつなぎ役になっていければと思っています。

私自身も実際に耐震補強というのを取り出して考えてやりだしたのは、この協議会をつくってからです。それまでは新築で安全な建物を造るというのが主でしたが、既存の改修工事の中で「改修するときには必ず補強しましょう」という考えをしっかり持てるようになったのは、この協議会を始めて、皆さんといろいろなお話をさせていただいたからだと思います。取りあえず建物が崩壊しなければ減災につながるので、まず建物を壊さないようにしなければいけない、そして家具につぶされないようにしなければいけないというのは大前提だと思います。

耐震補強の現場で

特に墨田区北部の木造密集地域の耐震補強の現場というのは、なかなか厳しい状態があります。耐震補強をするために建物の状態をよく見ると、かなり傷んでいる建物が多く、実際、大きな地震が来ると持たないだろうという印象を持つ建物もたくさんあります。特にわれわれ耐震補強協議会が扱っているような建物というのは、厳しい状況の建物が多いのかもしれないのですが、土台が腐っていたり、柱が取れてしまっていたり、本当に危ないと思われる建物がたくさんあります。耐震補強をするに当たっては、その傷んだ所を直すのが先決なのですが、傷んだ所を直しながら耐震補強をして強度を上げていかなければいけないので、住んでいて、使っていらっしゃる中でやろうとすると非常に大変です。建物自体を何十年も使っていますと、いろいろな物が中に入っていたり、増改築が繰り返されていたりしますから、本当に補強したい部分までたどり着くまでが、かなり大変になります。例えば病気で言えば、傷んでいる患部が体の中の方にあって、そこに行くまで本当に苦労するというようなことが度々発生しています。また木造の老朽化した建物が密集していて、その建物全体が傷んでいる場合が多いので、補強していこうとすると相当手間がかかります。手間がかかるということは、お金が掛かるということですから、実際には新築したほうがいいのではないかと思われるものもたくさんあります。しかし、なかなか現実にはいろいろな条件があってできないということで、残っている状態です。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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