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防災インタビューVol.80

日常からの防災への備え ~地域でつなぐ耐震補強~

放送月:2012年10月
公開月:2012年12月

岡本 博 氏

墨田区耐震補強推進協議会事務局長

おばあちゃんの知恵

私の祖母も、私が今住んでいる所にずっと住んでいまして、もう亡くなりましたが、おばあちゃんの話で幾つか覚えているものがあります。

明治生まれのおばあちゃんだったので、関東大震災の際も警察の誘導で被服廠に逃げたそうです。ただ、皆が集まって来たときに、多分危ないと思ったのではないかと思いますが、その先の清澄庭園まで逃げて、たまたま助かりました。仲間はたくさん焼かれてしまったみたいなのですが、自分自身は何とか助かったということです。その後、東京大空襲の時は、逆に被服廠のすぐ脇の安田庭園の方に逃げていたみたいです。そこには誰も逃げてこないので、今度は助かったと聞いています。いざというときは多分直感なのかと思いますが、冷静に物事を、その時にしっかり考えられるかどうかが大事だと思いました。  もう一つよく覚えているのは、先ほどの話の「風化」の実践のように、おばあちゃんは家に大きなやかんを一つ置いておいて、必ず水を満杯にしていました。もちろん普段は使っているのですが、夜になると足して満杯にして、本当に大きなやかんなのですが「火が出たらこれを体にかけて逃げろ」と言っていました。そして、もう一つ印象的なことは「何も持つな。このやかんだけを持て。あとのものはいらない」というふうに、欲を持つなと言っていました。また、おばあちゃんは昔の人間なので、寝床には必ず着替えというか洋服を一式、きちんといつも枕元に置いて寝ていました。この二つのことは、とてもよく覚えています。  「いつ何があってもおかしくないから、そうなったときにうろたえない、慌てないようにする。それだけはやるんだ」というふうに言っていました。これは今の防災の活動にすごくつながります。「とにかく命があれば何とかなるから、命だけは守りなさい」「余計なことは考えずに自分が生きるように、自分を守りなさい」というような教えです。いざというときのことを覚悟しているというのは、裏を返すと「諦めない」ということなのだと思います。「何とかしてちゃんと生き抜くんだ」というふうに思えているかどうかが大切ではないかと思います。

今、何をするべきか

「今、何をするべきか」というのを考えたときに「諦めない」という話につながるのかもしれませんが、とにかくできることを少しでもやり続けることだと思います。

最近は、大きい地震や津波の高いのが来るというような、いろいろな情報が入ってきていますが、きちんとそれぞれ個人個人が一生懸命、自分のできることをやるというのが大切だと思います。もちろん行政にお任せしないとできない部分というのもたくさんありますが、自分でできることをやる。われわれでいえば、家具の転倒防止と耐震補強だけは必ずやっておいてほしいということです。その上で、もし知り合いの方でやっていない方がいたら「ぜひやったほうがいいよ」ということで、少しでも広げてもらうことだと思います。自分の家は耐震補強をやって大丈夫だったとしても、隣の家が倒れてしまうと逃げられなくなってしまいます。特に密集地域では出口の1軒が倒れてしまうと、奥の方は全部逃げられなくなってしまいます。ちょっと暗い所を想定していただけば、夜電気がないときに手前の家が倒れてしまったら、もうこれは逃げようがありません。そのような状態を想像してもらって、その地域全体で耐震補強を進めていく話をしていただくということが大事だと思います。

地域同士がコミュニケーションをとって、それがだんだん広がっていけば、その地域は安全になりますし、それが参考になって他の地域にも広がっていきます。自分たちでできることをしっかり、自助、共助としてやっていくことが大切です。もちろん公助も必要ですが、まず自助、共助をきちんとやっておかなければ、公助はとても追い付かないというふうに思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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