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防災インタビューVol.85

コミュニティFMの情報発信、地域ぐるみの防災

放送月:2011年1月
公開月:2013年5月

山田 美智子 氏

湘南ケーブルネットワーク、湘南FMナパサアナウンサー

市民活動を通しての防災

「ひらつか防災まちづくりの会」は、平塚にあったいろいろな市民活動のグループが一つにまとまったもので、小学生のお母さんやサラリーマン、災害ボランティアネットワークのメンバーなど、さまざまな人たちが一緒になって防災の活動をしています。このように市民活動として、まとまって防災をやろうという会は、ちょっと珍しいタイプの会なのではないかと思っています。

実際の活動としても、本当に今まで多彩なことをやってまいりました。子どもたちから募集して防災かるたを作ったり、町歩きをしたり、本当にいろいろなことをやってきましたが、その中で耐震も重要だということを感じ、「昭和56年度以前の木造の家をぜひ耐震してください」という活動もしてきました。これにより、何と2005年に防災まちづくり大賞、総務大臣賞を受賞しましたし、また内閣総理大臣賞も受賞して、会の篠原代表が表彰式に出て、小泉首相と会ってきたりしました。このように多彩にやってきましたが、私にとって本当にやりたいことは、市民と接して、本当にその市民の方々に役立つ地域に入っていかないと、しっかりしたものはできないのではないかと思っています。

今までケーブルテレビの番組を作ってきましたし、「防災まちづくりの会」では耐震補強事業の取り組みなどをしてきました。その他、地震火山こどもサマースクールで、「湘南プレートサイドストーリー」という平塚の湘南平を舞台にしたものを子どもたちと一緒に開催して、番組作りもしました。そこで自然から防災を考えることも学びましたし、何とか地域の方々に自分の地形を知ってほしいと思いました。自分の地域はもし災害が起こったら、どんなことになるのか、自分はそれに対して、どんなことができるのだろうということを、それぞれの地域で考えてほしいと強く思いました。特に、あまり自分自身の地域の歴史を知らないので、歴史を考えながら町歩きをしようということもやっています。関東地域では大正12年に起こった関東大震災の際に、たくさんの人が犠牲になり、その方たちを悼むための石碑などが町の中の公園や寺院などにたくさん残っているのですが、案外知らないままに過ごしています。それを子どもたちと一緒に回っていこうという試みもしています。子どもが参加してくれると次の世代にもつながっていくことができるので、とても大切なことだと思います。自主防災会では割と高齢の、地域の中で定年退職した方などが防災を担ってくださっているのですが、そこに小学生、中学生、高校生などの若い力も本当に必要なので、さまざまな角度からやってきています。まずは自分たちの町を知っておくことがとても大切で、それはいざというときに自分たちの町を守ることにつながります。

「防災フォーラム」の開催

「ひらつか防災まちづくりの会」では、さまざまな活動を子どもたちも交えてやってきましたが、自分の地域は自分たちで守らなければいけないということで、広くその地域の活動を一緒に担って広げていきたいと思いまして、平塚市の防災危機管理課と一緒に「防災フォーラム」を開催しようということで、いろいろな活動を行っています。

平塚市は人口が26万人ですが、236の自治会があります。自治会の中には自主防災会を担っているところもあるので、その自治会が防災に対してどのようなことに取り組んでいるか、自主防災会がどのような意識でどういうふうに取り組んでいるかを、全部の自治会にアンケートをとって調査しました。私たち市民活動グループがアンケートをお願いしても、普通は「この組織はどんな組織だろう?」ということで回収率が低いのですが、市の行政との共同事業として危機管理課と一緒だと、非常に高率な70%から80%の回収率で、自治会の方、自主防災会の方が答えてくださいました。その中から、本当に一生懸命頑張っている地域をピックアップして、毎年1回、1月17日の阪神淡路大震災前後に行っている「防災フォーラム」で発表していただこうということで、「ひらつか防災まちづくりの会」の活動として取り組んでいます。

今年も「防災フォーラム」は1月22日土曜日に、平塚市中央公民館大ホールで行うことになっています。前半は大学の先生などに基調講演をやっていただいて、後半第2部は各地域からパネリストとして出ていただいて、話し合いをしながら各事例を紹介していくという構成で行っています。去年は2月に行いましたが、名古屋大学大学院の福和先生に基調講演をお願いして、そして一生懸命頑張っている地域の方々がパネリストとして発表してくださいました。今年も基調講演は地盤の揺れの専門家である神奈川大学工学部教授の荏本孝久先生に、平塚の地形の海側、山側の違いなどを含めてお話しいただき、現在2回目のアンケートをとっているので、その分析をお願いする予定です。また、いろいろな事例を各地域から発表していただきますので、1月22日は平塚中央公民館の700席の大きなホールで開催しますので、参加は自由ですので、関心のある方はぜひ来ていただきたいと思います。

荏本先生は「防災カルテ」というものを作っていらっしゃいます。これはデータを入れると、その地域がどのくらいの防災力を持っているのかということが、グラフで一目で分かるものです。このデータの入れ方とかが分かると、自分たちの地域は地形的にはどんな所で、コミュニティーのほうはどうなっているのかがグラフになって出てくるので、町歩きをするにも意識が違ってきます。

地域の課題解決に向けて

「ひらつか防災まちづくりの会」では、本当に多彩な活動をたくさんやってきたのですが、今、一生懸命私が仲間と一緒に取り組んでいるのは、地域を知って、地域の良い取り組みをどんどんいろいろな地域にも広げようということです。平塚の236の全自治会にアンケートをとって、その中から一生懸命頑張っているところを1月22日の平塚市の中央公民館で行う防災フォーラムで発表するということになっています。

昨年のアンケートの結果を見ると、各地域、同じような課題を抱えています。結局、自主防災会のリーダーや会長が高齢であることや、役員を5年、6年、ずっとやっている地域もありますが、輪番制で1年や2年で交代してしまうところもあります。そうすると防災は、ある程度専門的な知識も必要ですし、長いスパンで取り組まないと、すぐにはいろいろなことができないので、人が代わってしまうと、また振り出しに戻ってしまうということもあります。それから要援護者支援の問題もあります。いざというときに寝たきりで一人で動けなかったり、目や耳が不自由なので、誰か助けてくれる人がいないと逃げられないような要援護者支援をどうしたらいいかということです。昼間は男性は遠くまで仕事に行っていて、昼間居るのはお年寄りと子どもだけ。主婦もパートタイマーに出ていて、もし昼間に災害が起こったら町がどうなるのか、皆そういう同じような課題を抱えているので、それをどうしたらいいかを、そのフォーラムの中で取り上げて考えていきたいと思っています。昨年のアンケートで現状は分かったので、今年のフォーラムでは、それに対してどう工夫したらいいのかというような、課題解決に向けた話し合いを進められたらいいと思っています。フォーラムでは、頑張っている地域の発表もありますので、参考になるのではないかと思います。

特に平塚の海側の地域は津波の心配をしていますし、山側の地域では土砂崩れが心配です。このように地域性もあるので、それぞれの課題が全部同じわけではありませんが、一緒に取り組めるシステムづくりや、発災時マニュアルを作ってみようとしています。また子どもたちの力を有効に使って、いざというときに地域で役立つようにできるか、ということにも取り組んでいる地域もあるので、今回1月22日にはぜひ紹介していただこうと思っています。

また自主防災会や自治会の方たちは結構プライドを持っていて、「どんな良いことでもまねなんかしない」という方々も多くいるのですが、競争するのではなく、自分たちに合ったように変えながら、良いものはどんどんお互いに共有して頑張っていくような、そういう支え合う地域づくりができればいいということで、頑張ってフォーラムを開催します。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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