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防災インタビューVol.85

コミュニティFMの情報発信、地域ぐるみの防災

放送月:2011年1月
公開月:2013年5月

山田 美智子 氏

湘南ケーブルネットワーク、湘南FMナパサアナウンサー

湘南ナパサと防災

FM湘南ナパサは、昨年15周年を迎えました。いざというときにはコミュニティ放送は大きな役割がありますので、これまでもいろいろな企業とFM湘南ナパサが連携して防災番組をずっと作ってきたのですが、その中に「お勤め先安否情報」といいまして、災害が発生したときに、企業の工場などで何人ぐらい負傷者がいるのか、どのような状態なのかを知らせてもらって、それをFM湘南ナパサが連携して「どこどこの会社から頂いた情報です」というように発信していくことになっています。その訓練放送は毎年やっています。

またパーソナリティーやスタッフも平塚に住んでいない人もいるので、茅ヶ崎や伊勢原などの自宅から、どのくらい歩いて平塚の駅のそばのFM湘南ナパサのスタジオまで来られるのかという訓練はやってきましたが、もっと大きく連携して、防災に関わっているいろいろな人たち、グループを集めてやってみようということで、春の防災イベントというのを2011年4月に行いました。これはOSC湘南シティという大型店のオープンの広場にテントを張って行ったのですが、たくさんの方々が参加してくださいました。お買い物に来た方が「何やっているのかな」ということで参加してくださったので、専門家だけではなく一般の方を巻き込むイベントができました。私が所属している「ひらつか防災まちづくりの会」の方のメンバーや、社会福祉協議会のボランティアの方たち、それから日頃から赤いつなぎを着て保育園や幼稚園に行って紙芝居を作って啓蒙活動をしている平塚の女性防災グループ「パワーズ」なども参加してくれましたし、消防の起振車なども来ました。このようにたくさんの団体の方と連携して防災イベントができたことは、とてもよかったと思います。私もこのイベントの際には「ひらつか防災まちづくりの会」のほうではなく、OSC湘南シティの中にあるサテライトスタジオから放送を行って、この防災イベントを皆さんにお伝えしました。

しかし、それだけで終わるのではなく、今後はこの連携をさらに強くして、いざというときに、グループ同士で連携して活動できるようにつなげていきたいと、FM湘南ナパサでも考えています。

コミュニティ放送の存在の意味の一つとして、災害時の放送は大きなポイントになっています。マスメディアでも現在の状況は伝えてはいますが、その地域で本当に知りたい細かな情報、今どこが崩れていて、どこが危なくて、どこに行けばどんな情報が得られるとか、水の状態はどうなっている、給水車が来るのか来ないのかとか、きめ細かなその地域の情報は、その地域のコミュニティ放送が発信していく必要がありますし。また、その地域の方々を励ましていくという役目を担って、精神的部分でも「皆さん頑張ってください」という声を、コミュニティ放送が発信し続けるということが大事だと言われています。実際に被災された地域の方々は、コミュニティ放送やラジオ局が本当に力になったという話を伺いますので、もしものときはわれわれも頑張りたいと思います。

「一日前プロジェクト」について

「一日前プロジェクト」というのは、災害被害を軽減するための国民運動の一つです。地震や水害などの自然災害で被災した人たちに、自分たちの体験をもとに「もし災害の一日前に戻れたら、どんなことを伝えたいか」ということをまとめたものです。これを内閣府が「一日前プロジェクト」いうことで冊子にしたり、インターネットで発信しています。「一日前プロジェクト」で検索するとすぐに出てきます。これは平成18年度から始まっていて毎年4月ぐらいに、いろいろな災害や体験をストーリーにまとめた新しい「一日前プロジェクト」が出ます。誰でもが「こんなことがあって、こういう時にこんなふうに困ったんだ、こんなことをしておけばよかったんだ」ということが分かるように、イラスト付きで、とても見やすく参考になる事例がたくさん出ています。阪神淡路大震災の時のこと、南海地震のことなど、それぞれ皆さん思い出して「もしこういうふうにしていたら、大丈夫だったのに」というようなことが書いてありますので、とても参考になります。

私もちょっとお手伝いをさせていただいておりまして、23年度版には平塚の事例も出ることになっています。それは平成19年度に台風9号という大きな台風が来た際に、相模川沿いの平塚市の住民に避難勧告が出たときのことです。相模川の水位が上がってきて、茅ヶ崎側にある平塚市の須賀新田という割と低い地域に住んでいる方、何万人かに対して避難勧告が出ました。企業と応援協定を結んでいたので、その方たちは必死で、大東化学という工場の社宅に避難することができました。その時の大東化学の工場長が今の自治会の会長をしているので、そういうことを平塚市の防災フォーラムでもお話ししていただきました。このように、自分たちの周りの企業や工場と地域が協力していくということは、いざというときに頼りになるので、とても大事なことです。

また、その際に役所の危機管理課が広報に回ってきたのですが、民生委員の方から「マイクを上に向けて言ってください」と言われたそうです。そうすると、よく聞こえるようになったということです。そういう具体的な事例も「一日前プロジェクト」にも載っています。これは、もしものときの対策にとても役に立ちますので、ぜひ皆さんご覧になっていただきたいと思います。

「防災塾だるま」

最後に横浜市の市民の方々による「防災塾だるま」についてお話しします。これは平塚市でも防災フォーラムの基調講演をしていただいたり、アンケートの分析をしていただいたりして非常にお世話になっている、神奈川大学工学部の荏本孝久教授が塾長になって、組織として防災についての勉強を続けていこうというものです。これは「地域防災まちづくり講座」に参加した横浜市の市民の方が、さらに勉強を続けたいということで開催していた「防災まちづくり談義の会」が基になっています。ここでは毎年、実践的防災まちづくりコーディネーター養成講座を開催しておりまして、その講座を受けると防災リーダーになって地域で活動することができます。神奈川大学で毎月1回、定例会や防災まちづくりの談義が開催されていて、とても勉強になるので、私も通っているうちに会員になってしまいました。平塚で行われた防災フォーラムの際にも、この横浜の「防災塾だるま」の方々にもお手伝いいただいて、大きなイベント「防災ギャザリング」が防災センターなどで開かれました。これは市民の皆さんにもたくさん参加していただいて、素晴らしい減災活動、体験フェアになりました。このようないろいろな地域の方々の取り組みを知って、自分たちの地域にも良いところを取り入れていくという、このネットワークは、とても大事だと思います。

この「防災塾だるま」で学んだことや、いろいろな取り組みを知ったことを地域に生かしていかないと何にもならないので、ぜひ良いところは平塚市でも何とか取り入れていきたいと思っています。やはり自分たちの足元を見て、自分たちの地域がどういう地域かということが分からないと、いい活動はできません。

私自身、自分が住んでいる地域は大磯に近い海の方なのですが、自分の地域の自治会や自主防災会ではなかなか活動ができていません。仲間の中には自分の地域で防災部長として頑張っている人もいるので、そこのところがちょっとやれていないのが反省点でもありますが、ぜひこれからもネットワークを広げながら情報発信をしていくことで、防災への取り組みを頑張っていきたいと思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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