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防災インタビューVol.93

歯科医療と災害 ~医療従事者の被災地支援を通じて~

放送月:2013年8月
公開月:2014年1月

岩原 香織 氏

渋谷区歯科医師会

歯科医師会への啓発、協力

私たちは臨床歯科法医学ということで、臨床を実際に日常行っている歯科医師会の先生方との関わりが非常に深いです。そこで、歯科医師会の先生方と一緒に「災害時にはどういうことを行ったらいいか」ということを考え、実際に災害に立ち会って支援を行うことを考えています。実際にこのようなことを行われた方は非常に少ないと思いますが、今後、多くの先生方が動けるように、その訓練の企画、指導を担当させていただいています。防災というと非常に範囲が広いので、訓練にもいろいろな方法がありますが、先生方が「自分たちはこういうことをしたい」「まずは実践に基づいたことをしたい」というお話がある場合には、実践に基づいた医療救護の訓練や身元確認の訓練もやっています。中でも、歯科医師会の先生方が一番注目しているのが情報伝達、情報収集の訓練です。私たち歯科では災害医学という分野がなく、そういう教育を受けている人が少ないので、まず災害が起こったときに何を行うかを、歯科医師会の組織としての活動ということを念頭において行っていかなければならないので、その情報の伝え方についての講義や実習をその場で一緒に行わせてもらっています。また、歯科の先生方は普段はご自身の診療所で、衛生士や歯科事務の方など顔を見知った方と診療されていると思いますが、災害時には、初めて顔を合わせた先生方との活動があると思いますので、そういうことも想定して、いろいろなことを考えるための企画も行っています。このような防災のための訓練は、先生方の独自の訓練、講習会の場合もありますし、他の医療機関の先生方との連携を確認するようなものもあります。また場合によっては、地域の住民の方への自分たち歯科医師の活動の周知のための訓練なども行っています。このように、歯科医師会に入会されている先生方は歯科医師会単位で、防災だけではなく住民の方への啓発活動や、内部での学術、自分たちの知識や技術を向上していくための活動を行いながら内部の連携を高めています。

渋谷区歯科医師会の企画で、8月17日に渋谷区文化総合センター大和田4階で「第1回渋谷区災害対策区民公開講座」が開催されます。私も東日本大震災の支援活動で経験した話をさせていただきますが、渋谷区の医療関係者の先生や防災の専門の先生方が、渋谷区民の方々を対象に「災害の際にはどういうことができるか」というような災害医療の立場での講演会が行われます。

訓練を通して、できないことをできるように

私たちは訓練を通して、歯科医師の災害時における活動について、皆さんに知っていただきたいと思っています。一口に身元確認、医療救護といっても、なかなかそれを自分が経験する機会はないと思いますが、万が一の際には少しでも区民の方々の悲しい思いが減るように、つらい中でも、そのつらさがなるべく少なくなるように、歯科医師会の先生方と一緒に私たちは何ができるのだろうかを考え、それを実践につなげるために、何度も何度も訓練を行っています。

訓練というと、どうしても主催側は「うまくやりましょう」「成功させましょう」と言われますが、私としては失敗するのが訓練の良いところではないかと思っています。失敗することで、問題点の抽出ができると思いますし、自分の中のキーワードにもなっていますが、「できることと、できないことをまず認識する」というのが、とても大切だと思っています。その意味でも「できないことを見つけて、それをできるようにする」ということが防災訓練の大切な目的だと思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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