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防災インタビューVol.96

災害と保険 ~防災とBCPの違いからリスクマネジメントまで~

放送月:2013年11月
公開月:2014年4月

高橋 孝一 氏

損保ジャパン日本興亜リスクマネージメント取締役

交通コンサルティングの仕事

私どもでは、火災についてのリスクマネジメントのほかに、交通安全のコンサルティングもしています。これはトラックやタクシー、バスなどの営業車について、どういう事故が多くて、何が原因で、どうすれば改善ができるのかということを事故の詳細を分析して、事故防止のためのサービスという形でお客さまにフィードバックしています。例えば、分かりやすい例として右に曲がる際に、反対車線を走っている車との事故、右直事故は、なるべく左折、左折で回っていくと事故が起きにくいというのがあります。宅配便の業者も、左折をしながらお客さまの所を回っていきます。そうすると、信号待ちの回数も少ないので時間に遅れないし、事故も少なくなります。ちょっとしたヒントですが、こういうことを取り入れてもらって、少しでも交通事故を減らしていくということもやっています。

鉄道についても、私どもは「リスクの定量評価」という仕事をしています。例えば、ちょっと面白い事案として、ある鉄道会社から、電車の中に閉じ込められた際のお客さまのイライラ度合いの調査の依頼がありました。電車の中で何のアナウンスもなく5分電車が止まりますと、いらいらしてきますし、もう10分たつとザワザワと大騒ぎになります。このイライラ度合いをパーセンテージで表してほしいということでした。私どものほうで、どれくらい待たされると人間というのはイライラ度が募ってくるのか、というリスクの定量評価をしました。例えば台風で電車が止まった場合には、台風が来ていることを認識して乗っているので「仕方がない」という気持ちになるのですが、信号故障などの鉄道会社に起因するトラブルで電車の中に長い時間閉じ込められると、「早く行きたかったのに」ということで、比較的早めにイライラ度が増してしまいます。また、止まっていた電車を動かすときも、大動脈の路線と支線のどこから復旧させていくとイライラ度合いが解消するか、ということにもこのデータは使われています。

事業継続計画 BCPについて

私どもはリスクマネジメント会社なので、事業継続計画、ビジネス・コンティニュイティー・プラン、略してBCPの作成や、それを実行するための訓練についてのコンサルティングをしています。事業継続計画は2005年に日本で最初に、内閣府でガイドラインができましたが、私もそのガイドラインを作ったメンバーの1人ですので、そのあたりの話をさせていただきます。

BCPというのは、東日本大震災のような大規模な災害が起こった際にも、事業を止めずに継続するための計画のことです。例えば製造メーカーでは、震災で工場がやられても、品物を供給し続けるために違う会社に製造を頼んだり、被災地以外の場所にある自社工場で造るというような事業継続計画、いわゆる供給責任を果たすための計画書のことです。ただ一生懸命、工場を耐震対策するという防災をやったとしても、これはこれで必要なことですが、だからといって、何が起きても工場は止まらないというのは不可能です。そこで供給責任、もしくはサービスの提供がどんな場合でもできるように、計画して訓練しておくのが事業継続計画のポイントです。

現在、コンサルティングや訓練のアドバイス、情報提供を含めて、年間約500社の支援をしています。私どもは300人の会社ですが、そのうちの40名ぐらいは、この事業継続計画に関わっています。これら500社の内訳はさまざまで、県庁や市役所などの地方自治体、製造メーカー、販売店、運送会社、病院など業種はいろいろですが、ほとんど全ての業種について支援をしています。実際にはさまざまな業種の内容をしっかり見て、その仕事をきちんと理解していないと、なかなか事業継続計画に落とし込んでいくことはできません。例えば製造メーカーだとしたら、どういう部品や材料がどこから来て、どうやって加工して、最終的にお客さまに届けるのかということを、きちんと理解しないといけないわけです。その際には、常駐とまではいきませんが週に何回か、先方の事業継続計画担当の部長や課長と打ち合わせをしながら、半年がかり、長いもので1年がかりで作っていきます。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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