1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報
  4. 防災インタビュー
  5. 企業の事業継続計画
  6. 災害と保険 ~防災とBCPの違いからリスクマネジメントまで~
  1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報

防災インタビューVol.96

災害と保険 ~防災とBCPの違いからリスクマネジメントまで~

放送月:2013年11月
公開月:2014年4月

高橋 孝一 氏

損保ジャパン日本興亜リスクマネージメント取締役

キャットボンド、激甚災害の債券

千葉にある皆さんご存じのテーマパークについて考えてみると、大きな地震があっても、アトラクション自体は壊れないように耐震補強もされていますし、テーマパーク自体はそれほど被害は出ないと思われますが、実際、一番困るのは毎日5万人来ているゲストが、地震の影響で来なくなってしまうことです。5万人分の入場料が1カ月、2カ月入ってこないとなると、非常に困るわけです。その補償のためにキャットボンドと呼ばれるキャタストロフィーのボンド、「激甚災害の債券」というもので、テーマパークの半径75キロ以内に、いわゆる関東大震災の再来のような地震が起きると、自動的に100億円下りてくるという商品が世の中にはあります。

「キャットボンド」といっても別に猫ではないのですが、キャタストロフィー、激甚災害の意味で、入場料金の補償をしてもらうために債券を投資家に買ってもらって、普段はもうかっている資金を投資家にあげるというもので、単純に言えば金利が非常に高い商品を投資家が買っているというものです。ただし地震がもし起きると、それぞれが拠出した100億円分は全部そのテーマパークに行ってしまうというものです。投資家が10人いて、10億円ずつその債券を買うと100億円になります。その10億円に対して5%、10%という非常に高い金利の利息を平時にはもらえるというもので、それをテーマパークが、もうかっている収益の中から出しています。有事の際には、その100億円はテーマパークに行くので、投資家のお金はなくなってしまうのですが、それは一つのギャンブルというか投資になっています。

リスクマネジメントと保険

私ども損保系のリスクマネジメント会社では、お客さまである企業のリスクを洗い出して、その中で事故災害系のもの、もしくは業務中に発生するトラブルを中心として、その悩みを解決するために、いろいろ支援をさせていただいています。今までお話ししたように、工場の火災のリスクの調査をしたり、製造物責任と呼ばれる製品に起因して発生する事故に対する対策を考えたり、自動車事故防止や減災、BCPのためのコンサルティングをしていますが、実はその後ろに全部保険が付いています。保険会社が最終的な金銭面での補償はしますが、やはり事故はないほうがいいですし、あっても小さいほうがお客さまにとっても良いわけなので、その支援をさせていただくというのが、損保系のリスクマネジメント会社の一つの使命です。

特にBCPというのは2005年から日本で始まった考え方ですが、それに対しても私どもは年間500社ほどコンサルティングをさせていただいています。東日本大震災後には、保険会社でもいろいろ保険を新たに作って提供していこうという動きが当然ありまして、例えばちょっと変わったところで「特定地震危険補償利益保険」というのがあります。ちょっと聞き慣れないと思いますが、例えば東海東南海地震が起こった際には、今までの保険では通常は、自分の工場が壊れると補償がされるというものでしたが、この保険はちょっと変わっていて、取引先のエリアにこの保険を掛けておくと、自分が静岡にいて、取引先のエリアで地震が起きた場合には、品物もお客も来ないということで、自動的に補償されるというものです。これは、今までの住宅に掛けている火災保険やマイカーに掛けている自動車保険の概念とは違って、取引先のエリアに保険を掛けることによって、自分の事業継続のために補償金を準備しておくというようなものです。

このように、防災やリスクマネジメントをやっている会社と保険会社が一体となって、お客さまの事業継続を支援していくという形が今やっている仕事の中心になっており、全力でお客さまを支えていきたいと思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

会社概要 | 個人情報保護方針