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防災インタビューVol.97

防災教育の標準化 ~子から親、地域へ~

放送月:2013年12月
公開月:2014年5月

中井 佳絵 氏

法政大学大学院地域創造システム研究所 特任研究員

プロフィール

法政大学大学院、地域創造システム研究所の特任研究員の中井佳絵です。今、防災教育の研修をしていまして、小学校で児童に防災教育をしたときにどのような影響が出るかを調査しています。

私は広島出身で、広島で天気を伝える仕事を長くやっていました。その後もずっと天気に携わっていたので、東京のNPOから「環境出前授業を小学校でするので講師をしてくれないか」と言われたのがきっかけで、中国・四国の小学校を回って、環境、地球温暖化についてお話をするようになりました。地球温暖化について話すときに、気象災害の話も出てきますが、東京から送られてきた教材をそのまま使っても、中国・四国の子どもたちは自分たちのこととして考えてくれません。それで「どうやったら子どもたちが自分の問題として考えてくれるんだろう」と考え、その子どもたちが住んでいる周りの歴史や特産品、それから直近で起きた気象災害などを調べ話すようになったら、子どもたちが「本当に身近で大変なことが起きているんだ」と感じてくれるようになりました。

そのような中で、ちょうど2010年に広島の庄原市で豪雨災害がありました。その豪雨災害の爪痕を見たときに、もう「二酸化炭素を減らして百年後の未来をちゃんとしましょう」と言うだけでは間に合わないのではないかと感じて、防災教育のほうにかじを切ったのです。大学院に入ってから調査をしていたのは広島県でしたが、今年に入って都内に調査地を移していますので、今、都内の学校でも防災教育をしています。

子どもに対する「防災教育」とは

災害にはいろいろな種類がありますが、私は現在、小学校に行き、1時間の授業の中で小学生にさまざまな災害のメカニズムを伝えて、災害の種類によって避難の仕方が全然違うという話をしています。「じゃあどこに逃げたらいいと思う?」というのを考えてもらう授業をしています。

災害のメカニズムは科学者がいろいろな研究をしていて、かなりテクニカルな難しい言葉で発表されていますが、それをかみ砕いて子どもたちに分かるように伝えるのに日々試行錯誤しています。このように、子どもに教育をすることによって、その周りの人たちへの波及効果がどのくらいあるのかを今、調査対象としています。

中国・四国地方の防災教育

私は2007年から中国地方と四国地方で環境出前授業をしていますが、中国・四国地方というのは地図で見ると、それほど距離がないように感じるのですが、実は山陰、瀬戸内、四国太平洋側で気候が全く違います。それで気象も全然違ってきますし、災害も違います。例えば山陰地方は冬にすごく雪が降るので、豪雪の災害のことを言わないと身近に感じないし、太平洋側だと、もし南海トラフ地震が起きたら津波が起きてしまうので、やはり地震と津波のことは言ってあげなければいけない。瀬戸内側では、自分たちは温暖な所に住んでいると思っているので、津波の被害はないだろうと感じていますが、津波は1メートル以下でも危ないです。そのことをきちんと伝える必要性を感じており、「防災の教材というのは全国一律では駄目だ」と感じました。

災害は地震だけではなくて、自然の激しい現象があって、被害が起きたときは全て、それは自然災害になるわけです。そのことすらも子どもたちは知らないので、まずはその話をして、「災害というのは本当に身近に起きるもので、被害があったらそれはもう自然災害なんだ」ということを、まず教えてあげるわけです。そうすると「ああ、そんなに災害が身近に迫っているんだ」と初めて知って、そこから「じゃあ、自分の近くで起きる災害、頻度が高いものを考えていかなきゃいけないね」という話をしているところです。

この防災教育は、小学校の場合は学校に任されているのが現状です。しかも「学校安全教育の中で防災も教えましょう」ということになっています。学校安全の中には学校での事故、防犯も入っていますので、とても範囲が広く、その中に防災も入っているので、なかなか防災だけというのができていないのが実情です。その中で、授業時間を1時間もらって、防災教育をしている状態です。

このように、防災教育をする場合に一番大事なのは、全国一律、同じ教材ではなく、地域によってどういう災害が起きやすいかということを踏まえた上での教材が必要で、プラットホームは一緒だけれど、地域に合わせてマイナーチェンジというか、細かいところは変えていく必要があると考えています。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。