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防災インタビューVol.101

サイクルシェアリングの実現する安心・安全 ~ポロクルの取り組み~

放送月:2014年4月
公開月:2014年9月

安江 哲 氏

ドーコンモビリティ代表取締役

札幌のサイクルシェアリング「ポロクル」

パリ、ロンドンのサイクルシェアリングを見て、札幌でもサイクルシェアリングを始めました。札幌の「ポロ」とサイクルの「クル」を取って「ポロクル」と名付け、現在、札幌都心部には48カ所のポートがあり、300台の自転車を置いています。残念ながら札幌の冬は雪が降るため半年しか営業できないのですが、札幌は平野で夏でも涼しく、自転車に乗りやすい、非常に素晴らしい環境であることが有利だと思っています。

昨年は、札幌に来られた観光客の方たちに、自転車をどこで借りてもどこで返しても1日1000円という1日パスが900枚売れました。観光に来た方も歩くには大変ですし、車だと見落としてしまうような景色が自転車だとよく見えるということもあります。これはシークエンス景観と言われ、人の移動の速度によって街の見え方が変わってくるというものです。路地の奥においしそうなラーメン屋さんののれんが掛かっていたとか、喫茶店の奥にブランデーが置いてあったとか、自転車に乗る高さとスピード感で、ちょっと街の見方が変わってきますので、このサイクルシェアリング「ポロクル」は非常に役に立つと思っています。

 

防災にも役立つサイクルシェアリング

現在、「ポロクル」は札幌市と防災提携をしています。阪神淡路大震災や東日本大震災のような都市型の直下型地震が来た際に、私どもの300台の自転車を各避難所の行政の方たちに貸し出して、市民への災害時のサポートとして使ってもらうという防災協定を結んでいます。阪神淡路大震災や東日本大震災の経験を生かして、現在、私どもの自転車も災害時に耐えられるように、パンクをしないノーパンクタイヤを後輪につけていますが、徐々に全車両にノーパンクタイヤを採用していこうと考えています。

ロンドン市内には救急チャリというものがあり、例えば市内の大きなショッピングセンターで倒れた方がいた場合には、まず救急チャリが走っていって一次救命処置をしています。救急チャリが行き、処置をして、その後に消防自動車が駆け付けてストレッチャーで運ぶというリレー的なマネジメントができています。またロンドンの市内は電信柱や電線がないので、交差点に直接、赤いドクターヘリが降りてきて、そこでバトンタッチするという連携プレーもできています。日本でもそのようなことに自転車がどんどん採用されていくような時代になれば、自転車の価値も分かっていただけるのではないかと思います。

この他にもサイクルシェアリングをするメリットとして、街の中に放置自転車がなくなるので、災害時にも、車椅子の方たちにとっても、歩行空間が広くなって良くなると思います。また自転車は軽車両なので歩道を走ってはいけないことを教えたり、安全な走行を呼び掛けることで、子どもたちのマナーを周知させることにもなると思います。サイクルシェアリングには、このような見えないインフラの価値もあることを分かっていただければと思います。

「ポロクル」で街ににぎわいを

「ポロクル」で札幌の都心部を昔のにぎわいに戻したいという思いもあります。札幌も自動車の保有率が高いので、CO2の削減にはまだ大きくは届きませんが、サイクルシェアによって低炭素化時代の街づくりと、街のにぎわいを取り戻すことをうまく連動できたらと考えています。そのために、昨年から取り組んでいるのが「ポロクルピット」の設置です。これはF1グランプリでレース中にタイヤ交換をするピットのように、自転車を貸し出すポートとポートの中間にある、おいしいスイーツを食べさせてくれる喫茶店に立ち寄れば、そのお店にいる間、料金がストップして、お店でゆっくり休憩できるというシステムです。それからもう一つ、サイクルシェアリングで喫茶店に行くと、地球環境にやさしくて二酸化炭素の削減に対して貢献しているということで、お店が焼き菓子を1個プレゼントしてくれます。このように、コミュニティーの中で自転車は一つのきっかけをつくる役割を持ち、街のにぎわいを創造していくことになります。そのような「ポロクル」を通して、観光客に「すごく素晴らしい街だね」と言われるような取り組みを目指していきたいと考えています。

札幌は都心部には時計台もあり、ジンギスカンや毛ガニ、ラーメンなどのおいしいものがいっぱいあります。それ以外に我々札幌人がお客さまをお迎えする「ホスピタリティー」「ようこそいらっしゃいました」という気持ちを「安全に走れる道路空間」を通してお客さまに提供すること、そういう見えない部分の美しさを見せて、初めて本物の観光に育っていくのではないかと考えています。

また観光客の方には、自転車を貸し出す際に携帯電話のメールを登録して、自転車に付いている鍵の4桁の暗証番号を伝えることになっています。その携帯メールを利用して、今後災害が発生した際に、避難場所や医療関係の情報などを提供していくことにも取り組もうとしています。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。