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防災インタビューVol.105

地域コミュニティーづくりと人が死なない防災計画づくり

放送月:2014年6月
公開月:2015年1月

安部 俊一 氏

よこすか海辺ニュータウン連合自治会長

プロフィール

1948年福岡県に生まれ、現在は横須賀市に住んでいます。主な経歴はゼネコンに42年間勤務し、全国の地方自治体向けのコンサルタント活動に従事して、平成の大合併の前に3255あった市区町村のうち約1950の自治体を訪問した経験があります。主なコンサルタントの業務分野としては、地域特産品のブランド化による地場産業の育成、地域の活性化、若年層の定住化による過疎高齢化対策、中心市街地の空洞化対策などの町おこし、村おこしに関する事業です。その他、高齢者の健康づくりと介護予防、地域介護力の育成による在宅福祉支援体制の構築、これらの高齢者の保健福祉推進事業、地域防災、地域防犯など「安全・安心まちづくり事業」をテーマにコンサルタントを行ってきました。特に印象的だった出来事としては、平成11年から始まった平成の大合併です。この時には「自分の町の生き残りを図るためには合併協議会に参加すべきか否か」という相談が大変急増しました。その結果、平成11年の3月末時点で3232あった市町村の数が、平成22年の3月末には1727市町村へと半分近くに減ってしまったわけです。今振り返ってみれば、広域合併したことによって周辺町村から中心市街に人口が流出してしまって、ますます過疎化が進んで、地域間格差が拡大した新自治体も多かったと思います。

平成15年に横須賀市内にある309戸の大規模マンションを購入したことをきっかけに、それまでのコンサルタント活動を生かしてコミュニティーによる地域防犯、地域防災、高齢者の孤立予防、これらの仕組みづくりに取り組んできました。地域での主な経歴としては、私のマンションの管理組合の第1期と第2期の理事長を務め、途中で自治会を設立し、そのマンション自治会の第1期から第5期まで会長を務めています。その後、広域コミュニティーづくりを推進し、現在はよこすか海辺ニュータウン地区の連合自治会の会長を9期目、まちづくり協議会の会長を7期目、地区社会福祉協議会の理事長は3期目で、そういう意味では週末のスケジュールは地域活動でほとんど埋まってしまっているような状態です。

その他に一般社団法人マンションライフ継続支援協会の理事を務めたり、危機管理コンサルタント会社である株式会社日本LCM総合研究所の代表取締役を務めています。

マンションや地域の仲間たちは、私があまり無理をしすぎているので「過労死するよ」と言って、いろいろ気遣ってくれますが、「今は忙しすぎて自分の葬式とか通夜の予定を組んでいる暇がないから、当分は生きておきますよ」と答えるようにしています。

地域コミュニティーづくりの秘訣

地域コミュニティーを成功に導いていく秘訣は、やはり参加する住民に対する丁寧な説明と同意が必要で、すなわち医療現場で活用されるインフォームドコンセントの手法の適用と応用だと思って取り組んでいます。地域の現状をきちんと分析評価すること、これがいわゆる診断に当たるところです。現状のまま何も手を打たなければ5年後にはどうなるか、15年後にはこのようになりますよ、という町の未来図を提示して、今できる治療の選択肢、「これには安静に療養する」「投薬治療をする」「理学療法」あるいは「外科手術」、場合によっては「臓器移植」というような方法もありますが、その治療の選択肢を示して、それぞれのメリットとデメリットを説明して、住民が納得して同意した上で住民の共同作業で新しい取り組みを進めていくことが大事だと思っています。

コミュニティーの基本というのは、地域の構成員が当事者意識を持つことが一番大事です。「誰かがやってくれるだろう」ということではなくて、コミュニティー活動の受益者である自分自身に何ができるかを考えることが重要です。現役のサラリーマンの多くは、今はまだ会社の仕事が忙しくて、地域活動に参加するゆとりがないと考えている人が多いようですが、定年退職後に地域活動に参加しようとしても、なかなかきっかけがつかめずに戸惑ったり、自宅に引きこもったりする人が多いというのが現実です。また、これは最悪のケースですが「俺が現役の頃は」と昔の自慢話をしたがる人たちは、地域のコミュニティーからつまはじきにされる可能性が極めて高いということです。地域活動にデビューするタイミングは、できれば所帯を持った時、あるいは子どもが生まれて地域のお世話になり始めたころが最適です。ご近所挨拶などを含めてきっかけをつくりやすい、この頃が地域活動に参加する絶好のチャンスだと思います。

コミュニティーの阻害要因 ~わがままと身勝手~

人間誰でも平常時には他人に干渉されずに自分のスタイルで勝手気ままに暮らしたいと考えがちですし、特に都市型のマンションでは近所付き合いの煩わしさを避けるために、あえてマンションを選んだという人もたくさんいます。戸建て住宅地域では町内会とか自治会の行事に引っ張り出されることが多くて煩わしい、というのが主な理由です。これにはマンションという建物の構造的な欠陥も影響を与えています。マンションの出入り口は頑丈な鋼鉄製の玄関扉1カ所だけで、戸建て住宅のように勝手口や縁側がありません。近所付き合いを煩わしいと思う人は、玄関のチャイムを鳴らされても知らぬ顔をして居留守を決め込むこともできるわけです。しかし、そこには重大な危険が潜んでいることに多くの住民が気付いていません。

マンションでよく発生する重大犯罪には、宅配業者を装っての侵入盗や、いわゆる泥棒が入り込んでそれが居直り強盗に豹変して引き起こす監禁事件、殺人事件があります。機密性の高いマンションでは専有住戸の内部から大声で助けを呼んでも、窓を閉め切っていれば住宅の外にはほとんど聞こえることはないので、これがマンションの落とし穴と言えることです。しかも日常的に近隣住民とコミュニケーションをとっていない人たちは、周囲の住民からも関心を払ってもらえない。結果的に自ら重大犯罪を呼び込んでいるわけです。犯罪者は犯行の前に周囲から孤立した家を物色します。そして犯行のターゲットを絞り込んでいるわけです。最近の傾向としては、単身居住者の孤立や引きこもりが増加しています。これらの人たちの行く末は、悲惨な孤独死が多いです。今、孤独死は独り暮らしの高齢者の固有の問題ではなくなってきています。近隣とのコミュニケーションが苦手な50代から60代の単身男性の孤独死が急増しています。これらの人たちにとっては、近所付き合いから逃れるためのマンション、気ままな暮らしを満喫できる自分の城と思っていたはずの自分の家が、知らぬ間に自分の棺おけに早変わりしているようなものです。しかも孤独死の発生は風評被害を生み出し、マンション全体の資産価値を低下させてしまいます。孤独死の発見方法でよく語られるのが、夜になっても電気が付きっ放し、郵便受けに入りきれないほどの新聞などがはみ出しているということですが、これらの兆候は孤独死の発生から間もない頃の話で、窓ガラスの内側にハエがたかっていたり、バルコニーにカラスが集まっていたりすると死後何日もたって腐乱が始まっている、そのハエとかカラスが見えなくなったりしたら、もう白骨化してしまっていると思って間違いないです。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。