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防災インタビューVol.112

日常の中での防災 ~目的防災&結果防災~

放送月:2015年1月
公開月:2015年8月

定池 祐季 氏

東京大学助教

防災のエッセンスを取り入れて、丁寧に暮らす

みなさんは、普段持ち歩いているかばんの中にどんなものを持っていますか? 2014年2月に札幌でワークショップをやりまして、その際に女性たちにかばんを開けてもらって「いざというときに使えそうなものを出してください」と言いました。すると、常備薬、携帯電話の充電器などいろいろなものが入っていましたが、なかでもユニークなのが、いつでもビールが飲めるようにと栓抜きを持ち歩いていた方がいたことです。本人は「飲兵衛なので、いつでも飲めるように」ということで持ち歩いていたそうですが、ワークショップの参加者で仙台出身の方から、この栓抜きは、万が一がれきの下敷きになってしまった際に、硬いものを叩いて大きな音を出して、ホイッスルの代わりに助けを求められるかもしれないとアドバイスしてもらえました。この栓抜きのように、見方を変えれば防災にも使えるものはあるかもしれません。特に女性は持ち物が多くなるので、一石二鳥で使えるものを持ち歩けば自分自身にも、周りの人をも助けることに使えます。ですので、自分の持ち物を見つめ直すことで防災を見直す、いいきっかけになると思います。

このワークショップの中で、ソーイングセットを持っている方がいて、「女子力が高い」と周りの方から評価を受けていましたが、自分自身にとって必要なものを整理していくことで、その人としてのすてきさと防災力が合わさっていくのではないかと思います。そのことを参加者から教えてもらいました。例えば、キーホルダーにLEDライトを付けるとか、持ち物をちょっと加えるだけでもいいので、持ち物の中に防災エッセンスをちょっと取り入れることをぜひ検討いただければと思います。

災害は日常の中で突然起こるものなので、それまでの日々の生活のあり方が問われる事態だというのが私の経験からの実感です。「丁寧に暮らす」ということを考えながら、日々の暮らし方、ライフスタイル、自分自身の生き方を見つめなおすことが、命を守るための防災につながっていきます。先ほどお話ししたさまざまなアプローチを日常生活に組み込んで、いろいろな形で見つめ直していただければと思います。

日常の連続の中での防災

皆で防災の力を高めるために必要なのは、まず「結果防災」や「変化球の視点を持つ」ということで、型にはまりすぎないように防災を考えましょうということです。そして、現在、防災に関する活動をしている方々については、既にすごく頑張っている方が多いけれど、なかなか褒めてもらうことが少ない人たちなので、集まった時には、せめてお互いだけでも、「頑張っているよね」「お疲れさま」と言い合いましょう。

あとは「無理しすぎない」ということも大切です。防災の活動というのは、きりがないので、突き詰めていくとどこまでも極めてしまえるのですが、高速道路をずっと走り続けるのではなく、ちょっとサービスエリアに入ってみたり、ちょっと普通の道を走ってみたりしながら、緩急をつけてやっていきましょう。「変化球」とか「結果防災」ということとつながっていくのですが、ぜひ仲間を増やしていけたらと思います。

常日ごろからご近所の方とあいさつをしあったり、お散歩のついでに自分の最寄の避難所をチェックしてみたり、ワンちゃんを飼っている方はお散歩のときにその避難ルートを通ってみたりするのもいいですし、そのワンちゃん友達や、お母さんたちはママ友とか、そういったところでもちょっと防災の話を入れていくだけでも、仲間を増やすきっかけになると思います。「日常の連続の中での防災」ということをもう一度見つめ直して、それぞれが考えていくことが大切だと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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