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防災インタビューVol.115

防災を文化として定着させるために

放送月:2015年4月
公開月:2015年11月

坂口 浩規 氏

㈱電通 ビジネス統括局 国内関係会社部長

プロフィール

出身は福岡県で、98年に港北ニュータウンに引っ越してきて、娘2人と妻と4人で住んでいます。仕事は広告代理店の電通に勤めています。業務を通じて防災と関わりを持つようになりました。直接のきっかけは、2011年3月11日に起こった東日本大震災の際に、会社の業務の一環として、被災地の泥かきボランティアに1週間ほど行きまして、そこで防災に目覚めたことです。その後、経済同友会で復興支援の仕事の手伝いがありまして、そういう中で、東日本大震災で得られた知見で、わが国の防災力の向上につながるようなことはできないかと思い模索を始めました。

震災後、会社の中でもソーシャルソリューション局という部署に異動しました。その部署では、社会的課題と企業のCSRとかCSVとか、そういうニーズとNPOとマッチングするというような仕事に主に従事していました。

防災をビジネスに

ソーシャルソリューション局で仕事をしていく中で、2014年3月に東京大学の教授、目黒先生にお会いしました。この番組にも過去に出演されたと伺っていますが、この目黒先生は、防災について産官学の連携を非常に具体的に進めておられます。とにかく1人でも多くの人が災害で死なない仕組みを作ろうと、斬新なアイデアで進めている姿に非常に感銘を受けました。その後、「RC77」という東大の生産技術研究所内に設置された目黒先生が代表幹事を務める研究会に参加しました。これは「防災ビジネス市場の体系化に関する研究会」といって、ちょっと難しい名前の研究会ですが、いろいろな業種の民間企業の方々が集まって、いろいろなテーマで「防災をどのようにビジネスにしていくか」「官民連携や産官学連携を通して、いろいろな角度で防災について持続的な取り組みをどのように行うか」ということを研究する会です。目黒先生は「税金でやっていくだけでは広がりが持てないし持続しないので、防災をビジネスにしていかないといけない」というお考えをお持ちで、それに共鳴した企業などが参加させていただいている研究会です。

正直申し上げまして、電通の私が言うのもなんなのですが、電通自体でも防災がビジネスになっているかというと、ほとんどなっていないというのが現状です。どちらかというと役所の業務として、防災の仕事を電通が引き受けさせていただくということはもちろんありますけれど、これは税金で賄われているものになります。民間企業と一緒になって防災について進めていく仕事というのは、なかなかないのが現状です。ただ今後は、ぜひそういうものを開発できればと思っております。

2014年7月に人事異動がありまして、現在、ビジネス統括局国内関係会社部という部署で、電通グループの企業の支援を行っています。その担当するグループ企業の一つに、民間企業と大学の研究機関で産学連携を進める、電通サイエンスジャムという会社がありまして、防災というテーマで産学連携、ひいては産官学連携ができないかということで、同社と共に模索を始めているのが私の現状です。

東日本大震災の際にボランティアに行くまでは、全くボランティアもやったことがないし他人事でした。正直言いまして、阪神淡路大地震の時も、しょっちゅう大阪に出張に行っていたのですが、被災地には一度も足を運ばなかったというのは、ある意味自分としてはそこまで関心が持てなかったということで、全然偉そうなことは言えないなと思っていますが、現在、電通サイエンスジャムという会社と一緒になって、防災についてのビジネスを考えているところです。具体的には、目黒先生が会長になって新たに立ち上げた地震工学会が民間企業と連携して、この4月から「地域レジリエンス研究委員会」を作って、防災に関する当事者意識、危機感を持って自主的に行動を移す環境づくり、制度づくりを始めるということです。その中で、防災対応力についての地域格付けを行うこともテーマの一つです。私としては、ちょっと大げさな話ではありますが、そのアウトプットを通じて、防災を文化としてわが国に定着するようなお手伝いができればと思っています。

防災情報を届けるために

総務省の調査によると、2001年からその後の10年間で、情報の流通量はほぼ2倍になっています。これはインターネットの成長によるものが大きいと思いますが、つまり個人が受け取る情報量が2001年からのわずか10年間で、2倍になっているということです。情報量は2倍になっていても、その情報の消費がどれだけ伸びたかと言うとわずか9%です。つまり情報量は2倍に増えても、ほとんどの情報は個人に届いていないということです。私の仕事、生業の一つであるテレビやラジオなどのマスメディアに情報を載せても、個人にはなかなか届かないということになります。そのような状況において、防災に関する情報もいくら発信したとしても、人々に届くことはまずないと思ったほうがよいと思います。では、どうしたら防災情報を皆さんに届けることができるのでしょうか。

防災をやっている人が、どんどん前に走り過ぎてしまって、後ろを振り向いたら、誰もいなかったというようなことも起こってしまいます。特に防災をやっている人たちは、問題意識が高いので、それが逆効果になることも多々あると思います。そういうところは、特に気を付けていかなければいけないことです。

「防災と報道」について少しお話しします。大きな自然災害が起きるたびに防災が声高に叫ばれますが、防災がブームになることはなく、全てが散発的です。阪神淡路大地震でさえ、5年で話題にされることが激減したと言われています。東日本大震災は2014年3月で4年たったわけですが、今後「復興のまちづくり」などというような新たな話題でもなければ、どんどん風化していく危険性があるといえます。特にマスコミでは「今年でちょうど4年になります」というように、災害が起きた日の前後に集中的に報道されます。今年も特に大きな報道がいっぱいありましたが、日常的に報道することが、なかなか無くなっていきます。既に東日本大震災もそうなってきています。災害や防災に関する記念日でも何でもない日にも、災害や防災について報道していくことがとても大切です。そういう意味でまさに毎週日曜日に放送しているこの番組「サロン・ド・防災」は、貴重な存在と言えるのではないかと思います。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。