1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報
  4. 防災インタビュー
  5. 災害情報とボランティア
  6. 災害時に安全に家に帰るために
  1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報

防災インタビューVol.118

災害時に安全に家に帰るために

放送月:2015年7月
公開月:2016年2月

川村 丹美 氏

ニュートン・コンサルティング

帰宅時の身の安全を確保するために

災害時に自宅に帰る際には、どうやって身の安全を確保しながら帰るかが重要です。たいてい、大きな地震などが起きた後には交通機関が止まってしまって、歩いて帰るというようなことがあるかと思いますが、まず1つは、帰宅する途中で災害に遭う危険が少ないということが条件として挙げられると思います。次には、できれば交通機関が動いていて、帰る手段があるということが大事です。もしも交通機関が動いていなくて、いつも使っている電車に乗れないようなことがあった場合にも、自力で帰宅できるかどうかを考えるのが重要です。人が災害時に1時間に歩ける距離は、約4kmと言われています。実際に何も荷物を持たずに運動靴で、歩きやすい格好で歩くと5kmと言われているのですが、たいていの場合、仕事の際の靴もちょっと歩きづらいものだったり、荷物も持っていたり、それから何よりも地震が起きたときには道の上にいろんなものが散乱していて歩きづらいというような状況が考えられるので、そうするとどう頑張っても4kmぐらいかなと言われています。それからもう1つは、その4kmを考慮して、日没までに家に辿り着けるかどうかというのも重要です。恐らく辺りは真っ暗になっていて、物が散乱していて非常に危険な状態の中で帰るわけですから、日没が来てしまったらもうその先は進んではいけません。そういうことを考えると日没までの自分の歩ける距離がどのぐらいなのかということが非常に大きなポイントになってきます。

例えば「車で迎えに来ればいいんじゃないか」と思う方がいるかもしれませんが、実は大きな地震が起きたときには、環七から内側には車両の乗り入れは禁止されてしまうことが既に決まっているので、お家の方が外側から車で迎えに来ることはできません。それに電車などの公共交通機関が止まってしまうと、道路はもう動かなくなってしまいますから、渋滞に巻き込まれてほとんど動けない状態になる可能性が高いです。

それともう1つは、すぐに帰宅しなくてもいいような状況をつくっておくことが大事です。一時滞在施設というような所に身を寄せて、交通機関が復旧するまでの期間、1日になるか3日になるか分かりませんが、その間はそこで滞在して、復旧してから帰るということも考慮しておいていただきたいと思います。

今は東京都が造っている一時滞在施設がだんだん増えてきていて、一般の企業のロビーや児童館、ビルのエントランスの所などに、一般の人を3日間とどめ置くというような準備が少しずつ進んでいます。東日本大震災の時もホテルのロビーを開放したり、大きな銀行のお客さま用のロビーを一晩貸したりというようなことがあちこちであったと聞いています。いつどこで、どんな状況で災害に遭うか分かりませんから、無理して帰って事故に遭ってけがをすると大変なので、まずは自分自身の身の安全の確保を考えていただければと思います。

家族の安否確認

災害時に交通機関が復旧して安全になるまでどこかに滞在して帰宅することをお勧めしましたが、家族の安否が分からないと「何とかして帰らないと」と焦ってしまうことになります。そのためにも「家族の安否をどうやって確認するか」ということが非常に大事なポイントになってくると思います。そのために考えておいていただきたいのが、安否確認の手段を複数用意するということです。恐らく最近では皆さん、携帯電話を持っていると思いますが、この携帯電話での通話というのが1つ挙げられます。ただこれはほとんどの方が経験済みだと思いますが、大きな地震が起きた後には携帯電話はつながらなくなってしまいます。電話ということでいえば、会社にいれば自分の会社の固定電話からご家族の携帯電話へ通話を試みる、それから会社の固定電話からご自宅へ電話を試みるというやり方があります。それからもう1ついうと、実はだいぶ数が減ってきましたが、公衆電話が意外と使えます。公衆電話は例えば周囲が停電していても、電話の中に電池を持っているので、この電池が続く限り通話ができるという仕組みになっています。こういったことをうまく使いながら、家族との通話を試みるというのが1つあるかと思います。

それから、少し年齢が上がったお子さんならば、通話だけではなくてSNSなどのメッセージの機能が使えると思います。携帯電話からのメールやショートメール、会社にいれば会社のパソコンからメールを送ることも恐らくできると思います。また、グーグルやヤフーなどから出しているフリーメールからメールを送信するようなやり方もあるかと思います。

もう1つとして、会社によっては安否確認システムのようなものを入れているところがありますが、その中に家族向けの伝言板機能がもし入っていたら、それを使って家族との連絡を試みることもできます。また、ドコモが提供している伝言サービスや、各携帯のキャリアが提供している携帯同士の安否確認ツールといったものも使えると思います。今挙げただけでもかなりの数があると思うので、少しずつ皆さんで日ごろから試していただいて、どうやったらいざというときに使えるかを実際に使ってできるようになっておくことが大事だと思います。たくさんの中からどれか1つぐらいはつながると思うので、いろいろな手段を持っておいて、家族みんなで共有しておくことが大事です。

あと2つほどポイントがあるのですが、1つは携帯をなくしてしまった場合の対応ということで、皆さん自分の携帯にご家族の電話番号を登録していると思いますけれど、多分覚えていないと思います。私は子どもに自分の携帯の番号を小さい時から覚えさせていて、外で迷子になったときに、どなたかに携帯を借りたり、コンビニエンスストアに飛び込んで電話を借りたりして、私の携帯に電話をかけてきてSOSを出してきたりしました。お子さんにはそういったやり方も有効なのではないかと思います。それから、遠くに住んでいる親戚を伝言板代わりに利用するということがあります。例えば東京にいて、大阪や北海道や沖縄など、離れた所に、おじいちゃん、おばあちゃんなど、親戚がいたら「そこにまずみんなで電話をしようね」というルールを作っておくと、いざというときにそれぞれの安否を伝えて、そこがハブになってくれて、伝言板代わりに機能するということも可能になります。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

会社概要 | 個人情報保護方針